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「ADHDで人間関係が続かない」とお悩みの方に伝える6つの解決方法

こんにちは、ADHDの当事者・伊東里奈(仮名)です。あなたは、ADHDの特性に関連して、「人間関係が続かないこと」にお悩みではないでしょうか。

この記事では、ADHDの人が人間関係が続かない理由や解決方法(対策)を、参考書籍や私の実体験などに基づいて紹介します

ご紹介する方法には、人間関係はもちろん、仕事や日常生活にも役立つものもあります。

この記事を読むことで、そうした一つ一つの困りごとの改善方法が見つかり、自分にも自信が持て、さらによりよい人間関係の形成につながっていくはずです。(参考:姫野桂『私たちは生きづらさを抱えている』姫野桂『発達障害グレーゾーン』)

ADHDの「人間関係が続かない」を解決する6つの方法

ここからは、ADHDの人の「人間関係が続かない」を解決する(=人間関係を継続する)ための方法を、6つ紹介します。

ご自身で手軽に試せる方法から専門家に協力を求める方法まで様々あります。支援機関の例も紹介しますので、ぜひご覧ください。

方法①手帳やアプリを使ってスケジュール管理する

方法①手帳やアプリを使ってスケジュール管理する

相手との約束を守ることは、人間関係を維持する上で、最も基本的で重要なことの一つです。何か予定が入ったら、すぐにスマートフォンのスケジュールアプリやアナログのスケジュール帳を開いて記録する習慣をつけましょう

「予定そのものを忘れる」ことと、「予定をダブルブッキングする」ことの両方を防げます。人間関係も仕事も問題が改善されるので一石二鳥です。

アプリであればリマインダー(予定が近づいたときに知らせてくれる機能)も設定できます。

個人的にオススメのアプリは、カンタンに使えるグーグルカレンダー(iPhone版アンドロイド版)です。グーグルカレンダーは、「予定と日付と時刻」の他に、リマインダーの設定もカンタンです。

アナログの場合、カレンダー形式の手帳であればパッと見ただけで確認できます。

予定をよく忘れる人は、アナログ手帳とアプリの併用がオススメです。

方法②発言をする前に、数秒でいいから「言っていいのかな」と考える

言いたい言葉が頭に浮かんだり、発言したいと思ったりしたときに、「これ、今言っても問題ないかな」と考える時間を、数秒だけでいいのでつくりましょう。

そうすることで、その場にそぐわない内容や相手を不快にさせたり傷つけたりする言動を防げます。

「話したくてウズウズする!」という人は、飲み物を飲むなどして、強制的に話しづらい状況をつくりましょう。そうすることで、うかつな発言をしないで済むのはもちろん、飲み物でいったん気持ちを落ち着けることができます(筆者も実施している、オススメの方法です)。

なお、「どんな言動が問題なのか、考えてもわからない」という人は、⑤⑥のカウンセリングや相談機関の利用も併せてオススメします。

方法③自分に合ったキャパシティの交流を心掛ける

方法③自分に合ったキャパシティの交流を心掛ける

自分が一度に管理できる人間関係(人数)の把握や、誰を優先してやり取りをするか、その都度洗い出してコントロールするようにしましょう

人間関係の取捨選択は、決して自分勝手なものではありません。むしろ、無理なスケジュール組みで破綻しないようにすることで、自分にとっても相手にとってもメリットになります。

方法④自分の体調・メンタルの状態をよく確認する

(①〜③のような工夫もしつつ、)普段は問題なく人間関係を維持できているのに、ある日なぜかうまく実行できないこともあります。そんなときは、「自分はダメだ」と落ち込む前に、いったん自分のコンディションを確認してみてください

発達障害のある人はストレスに対する耐性が低い傾向がある、と言われています。ストレスが原因で心身のバランスが崩れて、それが不調に繋がっている可能性も大いにあります。

また、不調から情緒も不安定になり、いつもより衝動的な言動をしたり、感情の起伏が大きくなりすぎたりして、自分も周囲も振り回されてしまうこともあります。

「なんだか調子がちょっと悪いかも」と、ほんの一瞬でも感じたら、休んでみるのも手です。休んだ時間は、後で、相手との大事な時間に活きるはずです。

方法⑤カウンセリングを受けてみる

方法⑤カウンセリングを受けてみる

「自分一人でなんとか解決しよう」と抱え込むのではなく、専門のカウンセラーと話をするのも手です

「カウンセリング」というとメンタルの治療というイメージが強く、ためらわれるかもしれません。筆者もかつてそう感じていました。

ですが、実際にADHD当事者たちを対応されるカウンセラーさんに話を聞いてもらって、非常に助かった経験があります。ADHDの傾向を把握しているため、「こうしたらいいのでは」という的確なアドバイスをもらえますし、一緒に対策も考えてもらえます

また、メンタル面が不調でつらかった時期にいろいろな話を聞いてもらい、気持ちが落ち着いて持ち直したこともあります。ただただ「苦しい」という胸の内を聞いてもらえるだけでだいぶ違います。

自分の「つらい」「大変」「どうしたらいいかわからない」を共有できる相手は心強い存在ですので、気負わずに受けてみてはいかがでしょうか。

カウンセリングを行う臨床心理士は、一般社団法人日本臨床心理士会のウェブサイト「臨床心理士と出会うには」などから探すことができます。

方法⑥専門機関に相談する

専門機関(発達障害を扱う病院や、発達障害の人たちをサポートする団体など)を利用する手もあります

医療機関であれば然るべき検査も受けられ、より客観的に自分を知ることができます。カウンセリングを併設している病院なら、方法⑤と合わせて利用することもできます。

特に、それまで対人関係のトラブルで精神が疲弊している場合が多いので、その辺りのケアも一緒にしてもらえます。

人間関係の悩みを発端として、他にどのような困りごとがあるのか、それらに合わせてどのように対応していけばよいのか、自分だけでなく、専門知識のある人たちと模索できます

以下はADHDの人が人間関係についての支援を受けられる可能性のある代表的な機関です(各自治体のウェブサイトでも、発達障害の人を対象とした福祉サービスを紹介していたりします)。

  • 発達障害者支援センター(全国の一覧はこちらです)
  • 障害者就業・生活支援センター(全国の一覧はこちらです)
  • 相談支援事業所(「お住まいの市区町村名や都道府県名+相談支援事業所」で検索してみましょう)
  • 自助会・互助会・家族会(「お住まいの市区町村名や都道府県名+○○会」で検索してみましょう)
関連リンク

ADHDの人が「人間関係が続かない」4つの理由

ADHDの人の、「人間関係が続かない」「気がついたら、仲がよかった人たちと距離ができている」ことについて、具体的な理由を4つ紹介します。(※ご紹介する「特性」は、個人差があります)

自分がどの理由に特に当てはまるのかを検討することで、どのような「対策」が有効かも見えてきます

理由①スケジュール等の管理が苦手である

理由①スケジュール等の管理が苦手である

ADHDの特性として、「スケジュールを立てて管理したり、約束や予定を覚えたりすることが苦手」という面があります。

決して本人に悪気はないのですが、結果としては、仕事相手や友人知人との予定に間に合わなかったり、忘れてすっぽかしたり、ダブルブッキングをしたり、というアクシデントが多発します

「多数・大人数の人間関係」の場合はなおさらアクシデントが生じやすくなったり、信頼関係がうまく築きにくくなったりします。

キャパシティに合わない人数を管理することでオーバーヒートして、心身に支障をきたす心配もあります。そのため、信頼関係が上手く築けずに段々と疎遠になることがあるのです。

理由②同じことを続けるのが不得意である

ADHDの特性には、「集中力にムラがあり、注意力も欠如しやすいため同じことを繰り返す・続けることが苦手」ということもあります。それに加えて、「物事の優先順位をつけることも不得意」です。

そのため、誰との予定を今優先するべきなのか、どの相手と関係を続ければよいかわからず、持続(=人間関係の継続)そのものをやめることがあるのです

理由③刺激を求める

理由③刺激を求める

理由②とも関連して、ADHDには、「刺激を求め続ける(同じ人に会い続けていると飽きる)」という特性もあります。

同じ相手と接していると新しい刺激が段々と減り、面倒に感じ、人間関係を続けることをやめるようになるのです。さらにはカンタンな連絡もしなくなる…ということも起こりえます。

相手にとっては急に避けられるようになったと感じられるため、再度交流を持つことが難しくなります。

理由④礼儀・マナー違反が多発する

ADHDの「衝動性」という特性から「空気が読めない」「非常識である」などと言われることがあります。

誰かとの会話中に、頭では「今話し出してはいけない」「今こんな言動をしてはいけない」とわかっていても、またはそれを考える前に、ついつい「やりたい」という気持ちを抑えられずに実行したときに指摘されがちです。

自分の欲求を優先して、適切なタイミングでの適切な言動ができず、それがマナー違反などに繋がり、人間関係の継続が難しくなるのです

決して欠点だけではないADHDの「社交性」の3つの長所

ここまで読んでいて、ADHDの特性は悪いところだらけに見えたかもしれません。ですが、ADHDの特性は、決してマイナス面だけではありません。人間関係・仕事・私生活などで、よい方向に影響することもあるのです。(※ご紹介する「長所」は、個人差があります)

長所①その「社交性」で多くの人と関われる

長所①その「社交性」で多くの人と関われる

ADHDの「衝動性」や「刺激を求める」といった特性によって、初対面の相手でも距離を詰めることができます。

いろんな人々と知り合えるチャンスが多く、交友関係を広げたり、新しい物事にチャレンジするチャンスを得たりする機会も増えていくのです。

長所②臆せず踏み出せる「ファーストペンギン」になることもある

興味のある物事には臆せず挑戦できるのもADHDの特徴です。これが実は、集団内でもよい方向に作用する可能性があることをご存知でしょうか?

「ファーストペンギン」とは、「群れの中で天敵に襲われるリスクを恐れず最初に海に飛び込むペンギン」のことを指します。自分が先導となって集団内で最初に挑戦する人は、所属するチームが新しいことに取り組む呼び水になる可能性を秘めています

長所③どんな相手にも自分の意見を述べられる

長所③どんな相手にも自分の意見を述べられる

長所②とも関連して、相手や場所などに臆せず自分の考えを表現することができる側面もあります。

例えば、会議で上司から意見を求められたとき、堂々と発言できない人はたくさんいます。一方、ADHDの特性のある人の場合は(礼儀・マナーを念頭に置きつつも)きちんと「自分はこう思う」と発言できるという長所もあります。

この特性がよい方向に作用すれば、会議を円滑に進めたり、人間関係を良好に保ったりする手助けになります。

「職場の人間関係」については、就労移行支援事業所の利用もオススメ

「職場の人間関係」については、就労移行支援事業所の利用もオススメ

現在離職中だったり、退職を検討していたりするなら、「再就職した職場での人間関係」のために、就労移行支援事業所の利用もオススメです

就労移行支援とは、障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づいて行われる、「病気や障害のある人の(再)就職・転職を援助する福祉サービス」のことです。

各事業所は、公的な認可を得た民間事業者が運営しています。そのサービス内容は多岐にわたります。多くの事業所で、「職場でのコミュニケーション方法」を学ぶことができます。

就労移行支援事業所のサービス例
  • 職場での人間関係を良好に築く・保つ方法の習得
  • 転職のための知識・技能の習得
  • 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
  • メンタル面のサポート
  • 再就職・転職先候補や、職場体験実習(インターン)の紹介
  • 転職後の職場定着支援

利用の可否は、お住まいの自治体が、下記などに基づいて判断します。

就労移行支援事業所の利用条件
  1. 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある
  2. 18歳以上で満65歳未満である
  3. 離職中である(例外あり)

※上記を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。

ご自身が利用できるかどうかは、自治体や、各就労移行支援事業所に相談してみましょう。

就労移行支援についてさらに詳しく知りたい人は、下記コラム・関連リンクをご覧ください。

関連リンク

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、うつ病や発達障害などの人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、通える範囲にお住まいであれば、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

改めて、ADHDとは?

改めて、ADHDとは?

改めて、ADHDの概要を紹介します。既にご存知かもしれませんし、これまでに紹介した内容と重複する部分もありますが、全体的な理解が深まると思いますので、よければご覧ください。
(参考:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、田中康雄『大人のAD/HD』、岩波明『大人のADHD:もっとも身近な発達障害』)

①ADHDの概要

①ADHDの概要

ADHDとは、「注意欠如・多動性障害(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)」を意味する発達障害の一種です。

ADHDには多くの特性がありますが、その中でも下記の2点がよく見られるものとして挙げられます。

  • 不注意…忘れ物やケアレスミスが多く、確認作業を苦手とする
  • 多動・衝動性…気が散りやすく、貧乏ゆすりなど常に身体を動かしていないと落ちつかない

その他にもよく挙がる特性の現れ方として、「マルチタスクやスケジュール管理が苦手」といったものがあります。

②ADHDの診断は医師だけが可能

②ADHDの診断は医師だけが可能

「自分が(ある人が)発達障害(ADHD)かどうか」の診断は医師による問診や心理士が実施する心理検査を中心に行われます。逆に言うと、医師以外には「発達障害かどうか」の診断・判断はできません。

あなたが(ある人が)「発達障害かどうか」をハッキリさせたいのであれば病院を受診してみることをオススメします。

「診断を受けるのが不安」と思う人は、発達障害者のサポートを行う団体(各都道府県にある発達障害者支援センターなど)に「病院に行くべきかどうか」「診断をつけるメリットやデメリット」などを相談することができます。

③ADHDの医学的な診断基準

下記は、2013年にアメリカ精神医学会がまとめた『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』に挙げられているADHDの診断基準です。

次のような診断基準に当てはまればADHDの可能性があります(あくまで可能性です。「どの程度なら『当てはまる』と言えるか、他の病気や障害の可能性はないかなども含めて、「ある人がADHDかどうか」は、医師だけが判断できます)。

不注意
  • (a)学業、仕事、または他の活動中に、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする
    (例:細部を見過ごしたり、見逃してしまう、作業が不正確である)
  • (b)課題または遊びの活動中に、しばしば注意を持続することが困難である
    (例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)
  • (c)直接話しかけられたときに、しばしば聞いていないように見える
    (例:明らかな注意を逸らすものがない状況でさえ、心がどこか他所にあるように見える)
  • (d)しばしば指示に従えず、学業、用事、職場での義務をやり遂げることができない
    (例:課題を始めるがすぐに集中できなくなる、また容易に脱線する)
  • (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である
    (例:一連の課題を遂行することが難しい、資料や持ち物を整理しておくことが難しい、作業が乱雑でまとまりない、時間の管理が苦手、締め切りを守れない)
  • (f)精神的努力の持続を要する課題(例:学業や宿題、成人では報告書の作成、書類に漏れなく記入すること、長い文書を見直すこと)に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う
  • (g)課題や活動に使うようなもの(例:学校教材、鉛筆、本、道具、財布、鍵、書類、眼鏡、携帯電話)をしばしばなくしてしまう
  • (h)しばしば外的な刺激(成年後期および成人では無関係な考えも含まれる)によってすぐ気が散ってしまう
  • (i)しばしば日々の活動(例:用事を足すこと、お使いをすること、青年後期および成人では、電話を折り返しかけること、お金の支払い、会合の約束を守ること)で忘れっぽい

上記の項目のうち、6つ以上の項目が少なくとも6か月以上続いている
症状のいくつかが2つ以上の環境(職場・家庭・学校など)で見られる
12歳以前から複数の症状が見られる。

多動性および衝動性
  • (a)しばしば手足をそわそわ動かしたりトントン叩いたりする、またはいすの上でもじもじする
  • (b)席についていることが求められる場面でしばしば席を離れる
    (例:教室、職場、その他の作業場所で、またはそこにとどまることを要求される他の場面で、自分の場所を離れる)
  • (c)不適切な状況でしばしば走り回ったり高い所へ登ったりする
    (注:成人では、落ち着かない感じのみに限られるかもしれない)
  • (d)静かに遊んだり余暇活動につくことがしばしばできない
  • (e)しばしば”じっとしていない”、またはまるで”エンジンで動かされているように”行動する
    (例:レストランや会議に長時間留まることができないかまたは不快に感じる;他の人には、落ち着かないとか、一緒にいることが困難と感じられるかもしれない)
  • (f)しばしばしゃべりすぎる
  • (g)しばしば質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう
    (例:他の人達の言葉の続きを言ってしまう;会話で自分の番を待つことが困難である)
  • (h)しばしば自分の順番を待つことが困難である
    (例:列に並んでいるとき)
  • (i)しばしば他人を妨害し、邪魔する
    (例:会話、ゲーム、または活動に干渉する;相手に聞かずにまたは許可を得ずに他人の物を使い始めるかもしれない;青年または成人では、他人のしていることに口出ししたり、横取りすることがあるかもしれない)

上記の項目のうち、6つ以上の項目が少なくとも6か月以上続いている
症状のいくつかが2つ以上の環境(職場・家庭・学校など)で見られる
12歳以前から複数の症状が見られる。

④ADHDの「治療」について

ADHDの特性に働きかける薬や対応などの治療は確立されてきています。

その例は下記コラムをご覧ください。

⑤ADHDは、生まれつきのもの

⑤ADHDは、生まれつきのもの

ADHD(発達障害)は、生まれつきのものです。ADHDの特徴は幼少期から見られます。

そのため「成長してからADHDになる(成長につれてADHDになる)」ということはありません。

また、以前は「ADHDは、子ども特有のもの」と考えられていましたが、現在の医学では、「ADHDの症状は、大人になっても継続するもの」であるとされています(ただし、多動・衝動性の特性は、一般的に成長するうちに薄れることも多く見られます)。

このコラムでもご紹介してきたとおり、対策、相談先、特性を緩和する薬などもたくさんあります。苦労や困難が生じることもあるとは思いますが、必要以上に不安に感じる必要はありません。

⑥いわゆる「大人のADHD」とは

近年、「大人のADHD」という言葉が使われるようになってきました。

大人のADHDとは?
  • 幼少期からADHDの特性はあったものの、「大人になってからADHDだと気づいた状態」を指す俗語のことです。決して「大人になってからADHDになった」わけではありません。
    就職後に正確な処理・確認作業・管理業務を求められるようになったことで、困難に直面しADHDの特性があることに気付いたという人は少なくありません。

「大人のADHD」について詳しく知りたい人は下記コラムをご覧ください。

⑦いわゆる「グレーゾーン」とは

⑦いわゆる「グレーゾーン」とは

ADHDの傾向が確認されるものの、確定診断が下りるほどではないほどの状態・人のことを俗に「(ADHDの)グレーゾーン」と言います。

グレーゾーンの場合、確定診断がないことから利用できる公的なサービスが限定されることがあります(例:障害者手帳を取得できないため障害者手帳が必須なサービスを利用できない)。

ただし、グレーゾーンの人でも「発達障害者支援センター」のようなサポート団体への相談は可能です。

確定診断があってもなくても、またADHDに関係してもしなくても「発達障害に関する悩み事」は専門的な知識を持つ人たちに相談した人が対策や解決策を見つけやすくなるでしょう。

⑧ADHD以外の発達障害

発達障害はその特徴によって、いくつかのグループに分けられています。

ADHD以外の主な発達障害には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、SLD(限局性学習障害)などがあります。

ADHD・ASD・SLDの複数が併存する人もいます。気になる人は下記コラムをご覧ください。

まとめ:ADHDの「人間関係が続かない」は変えていけます

まとめ

いかがでしたでしょうか。これまで「どうして自分は人間関係が続かないんだろう」と悩むことが多かったのではないでしょうか。

それはあなたが薄情・不誠実というわけでは決してなく、ADHDの特性が大きく関係しているはずです。

自分の特性を理解し、それに合わせた対策をすることで、よりよい人間関係を形成できるようになります。また、あなた一人で悩むのではなく、第三者の客観的な意見や専門的なアドバイスを求めることで、よりうまくいくはずです。

この記事が、あなたの「人間関係が続かない」というお悩みの解決の一助となれば幸いです。

よくある質問(1)

ADHDの特性には、人間関係などに活かせるものはあるのでしょうか。

一般論として、次の3点が考えられます。(1)その「社交性」で多くの人と関われる、(2)臆せず踏み出せる「ファーストペンギン」になることもある、(3)どんな相手にも自分の意見を述べられる。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

ADHDの「人間関係が続かない」を解決する方法を知りたいです。

一般論として、次の6点が挙げられます。(1)手帳やアプリでスケジュール管理する、(2)発言をする前に、「言っていいのかな」と考える、(3)自分に合ったキャパシティの交流を心掛ける、(4)自分の体調・メンタルの状態をよく確認する、(5)カウンセリングを受けてみる、(6)専門機関に相談する。詳細はこちらをご覧ください。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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