ASDの転職を成功させる5ステップ〜サポート団体/適職などもまとめて紹介〜 | キズキビジネスカレッジ  

ASDの転職を成功させる5ステップ〜サポート団体/適職などもまとめて紹介〜

こんにちは、精神保健福祉士の西村です。あなたは、ASD(自閉スペクトラム症)の特性がある中で、転職について次のようにお悩みではないでしょうか。

  • 「転職したいけど、どうやって進めればいいのだろう」
  • 「ASDの特性にどう対処すればいいのだろうか」
  • 「転職をサポートしてくれる場所はないのだろうか」
  • 「自分にどんな仕事・職場が向いているんだろうか」

同じようにお悩みのASD(自閉スペクトラム症)の人は少なくありません。ですが、ASDの人が自分に合う仕事・職場に転職することは、もちろん可能です。

本記事では、「ASDの特性」や「転職活動を成功させるステップ」「転職をサポートする機関」についてお伝えいたします。この記事を読むことで、きっとあなたの転職活動の参考になると思います。

【本文に入る前に…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?

「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。

キズキビジネスカレッジ(KBC)を利用した方は…

初任給
うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
就職までの期間
通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
就職率
通常52%のところ、
KBCでは82%

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

執筆西村二架

にしむら・にか。精神保健福祉士。
1992年生まれ。関西学院大学文学部卒業後に京都医健専門学校で学び、2019年に国家資格・精神保健福祉士資格を取得。2018年8月から、キズキ共育塾(不登校・中退・発達障害・社会人などのための個別指導塾)で講師として勤務。現在は主任講師として国語・数学・英語・小論文・面接の学習支援およびメンタル支援を担当。また、うつや発達障害の方々のための就労移行支援事業所キズキビジネスカレッジでも英語などを教える。2022年現在、TOEIC855点を所持。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

ASDの人の適職(向いてる転職先や職場環境など)

転職を考える際には、「具体的にどんな仕事や職場が自分に向いているんだろう…」とお考えになると思います。このコラムでは「ASDの人の転職」の一般論をご紹介していきます。

「ASDの人に向いている可能性のある具体的な仕事や働き方」は、コラム「ASDのある人に向いてる仕事をまとめて紹介〜向いてる職場環境/向いてない仕事/仕事の探し方/サポート団体も〜」で紹介していますので、よければそちらもご覧ください。

ASDの人が転職活動を成功させるための5ステップ

ホップステップジャンプする人たちのイラスト

ASDの人が転職活動を成功させるための5ステップを紹介します。各ステップを意識すれば、ASDの人が自分に合う仕事・職場への転職はもちろん可能です。

ステップ①前提〜医療機関やサポート団体との繋がり〜

転職に向けた事前準備を行う前に、まずしておくべきことは以下の2点です。

  1. 二次障害(うつ病、社交不安障害など)がある場合は、医療機関と繋がって治療を行う
  2. 発達障害のサポート団体につながる

(1)二次障害について

ASDの特性に由来する困難から、うつ病などの二次障害を併発することがあります。あなたが二次障害を併発しているようであれば、その治療を優先することをオススメします。そうすることで、「健康的に働き続けることができる転職」に着実に近づくことができます。

(2)サポート団体について

確定診断や二次障害があってもなくても、発達障害の人をサポートする各種の団体とはつながっておくようにしましょう。ASDのある人は、ない人に比べて、サポートを受けた方が転職がうまく進みやすいのです。

「ASDを疑っているが、診断は受けていない」という人も、転職・仕事・生活などについて相談できるところはたくさんあります。サポート団体の例は、後でご紹介します。

これからご紹介する各ステップも、サポート団体と随時相談することで、「実際のあなた」のための具体的な方法や内容がわかっていくはずです。

ステップ②事前準備〜特性理解、知識やスキルの獲得〜

前提を踏まえた上で、転職の事前準備には次のようなものがあります。いずれも、「自分に合う転職」を成功させるために必要です。

  1. 転職後の働き方の種類(一般枠・障害者枠・オープン就労・クローズ就労)の理解(※1)
  2. 特性に関連した自己分析(自分の特性・性質やそれへの対応法、得意・不得意などを言語化する)(※2)
  3. 特性以外の部分の自己分析(希望条件、ワークライフバランスのあり方、将来の希望などを言語化する)(※2)
  4. 必要に応じて(または可能性を広げるために)、ビジネススキル・ビジネスマナー・特性対策などの獲得

※1:各詳細は、次項などで説明します。

※2:②と③は、厳密には分けられないこともあります。

※3:上記全て、後で紹介するサポート団体を通じて理解・獲得することができます。

ステップ③自分に合う転職先探し〜業界・職種・働き方・求人など〜

事前準備を行ってから(または事前準備と並行しつつ)、自分に合う転職先(業界・職種・働き方・求人など)を探しましょう。

ここで言う働き方とは、主には後の章「ASDの人の転職活動時に知っておきたい「障害者枠/一般枠/オープン就労/クローズ就労」」で紹介する「障害者枠・一般枠」「オープン就労・クローズ就労」のことです。

転職先探しで大切なことは、「一般論」や「待遇『だけ』」ではなく、実際のあなたの自己分析と転職先候補との相性を意識することです。

「ASDの人に具体的に向いている可能性のある仕事や働き方(転職先候補)」は、コラム「ASDのある人に向いてる仕事をまとめて紹介〜向いてる職場環境/向いてない仕事/仕事の探し方/サポート団体も〜」で紹介しますので、よければご覧ください。

ステップ④エントリーシートや面接の対策・実施〜対策をしっかりと〜

転職先候補が見つかったら、希望する働き方・自己分析・求人内容などをすり合わせて、エントリーシートを作成し、面接に臨みます。

ASDの人は「社会性」「コミュニケーション」「想像力」に困難があることが多いので、サポート団体を利用して、しっかり対策を行いましょう。

ステップ③までと対策をきちんと行えば、「なぜこの仕事を希望したのか」「どういった業務を希望するのか」などをうまく伝えられるようになるはずです。

特に障害者枠やオープン就労の場合(ASDのことを転職先に伝える場合)は、特性や自分なりの対策とともに、職場にお願いしたい配慮なども言語化しておきましょう。

ステップ⑤転職後〜サポートは引き続き利用可能〜

転職後にも、サポート団体を引き続き利用することは可能です。

特にオープン就労や障害者枠の場合は、「あなた・サポート団体・職場」の三者で情報を共有したり、話し合いなどを設けたりすることもできます。

「転職した後にしんどくならずに働き続けられるのかが一番心配だ」という方もいらっしゃるのですが、ステップ④までがうまくいっていて、転職後のサポートも引き続き利用することで、自分に合った職場で、長く働き続ける可能性が高まります。

転職・就職後に受けるサポートのことを、一般的に「職場定着支援」と言います。詳細はコラム「職場定着支援とは?利用条件・利用の流れ・5つの支援団体を紹介」で紹介していますので、よければご覧ください。

転職先(や現在の職場)で利用できる「仕事の場での特性への対策」は、コラム「大人のASDに悩む人へ職場での対処法と向いている職業を解説します」をご覧ください。

ASDの人の転職活動時に知っておきたい「障害者枠/一般枠/オープン就労/クローズ就労」

パソコンで知識を得る人のイラスト

続いて、障害者枠、一般枠、オープン就労、クローズ就労について説明します。一般論としてご理解いただいた上で、「実際のあなたの転職活動」については、サポート団体と話すことで、具体的によい方向に進んでいくと思います。(既にご存知の方は、次章「ASDの人の転職をサポートする6つの団体」まで進んでOKです)

①障害者枠と一般枠

障害者枠(障害者雇用枠)

「病気や障害のある人に限定した求人・雇用」のこと

一般枠

障害者枠ではない求人・雇用のこと

障害者枠では、就職(転職)活動の時点で病気・障害について伝えます。就職後には、特性や症状に配慮を受けながら働くことができます。

②オープン就労とクローズ就労

オープン就労

就職(転職)活動の時点で、応募先に病気・障害について伝えること。障害者枠のケースが多いが、一般枠でも可能。

クローズ就労

就職(転職)活動の時点でも働き始めてからも、職場に病気・障害について伝えないこと。一般枠のみ(後述するように、障害者枠では障害者手帳の所持・開示が必須なため)。

オープン就労の詳細は、コラム「オープン就労のメリット、デメリット、条件とは?人事の視点から解説」をご覧ください。

クローズ就労の詳細は、コラム「クローズ就労のメリット、デメリット、就職先の選び方を徹底解説!」をご覧ください。

③エントリーごとに障害者枠・一般枠を選べる

障害者枠を選択肢に入れた就職活動では、次のように柔軟な求人探し・エントリーが可能です。

  • 障害者枠の求人に限ってエントリーする
  • 基本的には障害者枠の求人にエントリーしながら、向いていそうな一般枠の求人があればそれにもエントリーする
  • 基本的には一般枠の求人にエントリーしながら、向いていそうな障害者枠の求人があればそれにもエントリーする

④企業などには、障害者を雇用する義務がある

民間企業や公的団体には、規模に応じて、一定の割合で病気や障害のある人(ASDも該当)を雇用する義務があります(法定雇用率と言います)。

例えば、民間企業の法定雇用率は2.3%です(2022年6月現在)。従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用する義務がある、ということです。(参考:厚生労働省「事業主の方へ」)

また、障害者雇用に特化した「特例子会社」という仕組みもあります。

⑤障害者枠の利用には、障害者手帳が原則必要

障害者枠で転職するためには、原則的な条件として、障害者手帳を所持している必要があります。

「障害者手帳」は、下記の3つを総称した呼称です。(参考:厚生労働省「障害者手帳」)

  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳

ASDの場合は、上記のうち、精神障害者保健福祉手帳が該当します(他2種類の手帳の対象となる病気・障害などがある場合は、別途そちらも所持できます)。

手帳を取得できるかは特性の程度にもよりますので、主治医とご相談ください。

障害者手帳の詳細は、コラム「障害者手帳のメリットとは?具体例、注意点、申請手順を徹底解説」をご覧ください。

⑥一般枠でも、合理的な配慮は可能

「一般枠であれば、特性に対する配慮を得られない」というわけではありません。

一般枠でも、事業者(雇用側)は、病気・障害などへの合理的配慮を提供することが「努力義務」となっています。また、法改正に伴い、2021年6月4日から3年以内に、「努力義務」から「義務」に変わることも決まっています(事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く)。(参考:厚生労働省「平成28年4月(一部公布日又は平成30年4月)より、改正障害者雇用促進法が施行されました。

合理的配慮とは

事業主は、(略)募集・採用に当たり障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければなりません。また、(略)障害の特性に配慮した、施設整備、援助者の配置などの必要な措置を講じなければなりません。(略)(障害者雇用促進法第36条の2~36条の4)(参考:厚生労働省「事業主の方へ」)

「自身のASD特性」と「興味のある求人」を考えて、「合理的配慮があれば、この一般枠で働きたい(働けそう)」と思った場合は、配慮の申請を行ってみるとよいでしょう。

ただし、どこまでが「合理的な配慮(義務の範囲)」なのかは曖昧な部分もあります。また、特に民間企業の場合は、「障害者の応募・勤務」が現実的には十分に想定されていないこともあります。

そうした部分についても、次章「ASDの人の転職をサポートする6つの団体」で紹介するようなサポート機関に相談することで、適切な配慮を一緒に考えていくことができます。

ASDの人の転職をサポートする6つの団体

スーツの男性の手を取る人のイラスト

ASDの特性がある人が転職に関連して利用できる、代表的なサポート団体・支援機関を6つご紹介します。気になるところがあれば、問い合わせたり見学に行ったりして、利用するかどうかを検討してみてください。

①就労移行支援事業所

みんなで矢印を組み立てる3人のイラスト

「就労移行支援事業所」は、うつ病や発達障害などの病気や障害がある人に、就労に向けた支援を行っています(私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)。

就労移行支援事業所では、次のような幅広い支援を受けられます(具体的な支援内容は事業所によって異なります)。

  • 仕事で活かせる知識・技能の習得
  • 仕事や私生活で活かせるメンタル面のサポート
  • 「どのような仕事や働き方が向いているのか」のアドバイス
  • 転職先候補の業務や雰囲気を体験できる「職場体験実習(インターン)」の紹介
  • 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
  • 面接対策
  • 転職後の職場定着支援

利用の可否は、お住まいの自治体が、下記などに基づいて判断します。

  1. 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある
  2. 18歳以上で満65歳未満の方
  3. 離職中の方(例外あり)

※上記を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。

就労移行支援事業所の詳細は、コラム「就労移行支援とは?サービス内容から就労継続支援との違いまで解説」をご覧ください。

②ハローワーク

ハローワークでは、障害者枠と一般枠の求人を両方探すことができます。また、採用面接への同行やトライアル雇用といったサービスも行っています。(参考:「ハローワークのサービスについて(障害のある方向け)」)

トライアル雇用とは

病気などのために安定的な就職が困難な方のための制度。3か月の試行雇用(お試し期間)を経て、雇用者・被雇用者の両方が同意した場合に、期間の定めのない雇用へ移行することができます。詳細は、コラム「トライアル雇用とは?トライアル雇用の利用を考えている求職者・企業の方への情報まとめ」をご覧ください。

さらに、ハローワークは、「病気・障害のある方向け」のサービスとして、専門的な知識を持つ職員・相談員を配置しており、就職に関する相談に乗っています。障害者手帳を持っていない人でも相談できます。

また、相談を通じて、就労に必要なスキルなどを身につけるための職業訓練(ハロートレーニング)につながることもできます。

先述したように、障害者枠の紹介なども行っているので、ASDを含む発達障害に関する相談にも乗ってもらいながら求人を探すことが可能です。

ハローワークの全国一覧はこちらをご覧ください。

補足

現実として、仕事探し・転職活動は、ハローワーク「だけ」で行うことはオススメしません(ハローワークに求人を出していない企業・団体も多いため)。ハローワークで相談したり仕事を探したりする場合も、次項の転職エージェント(転職サイト)の併用をオススメします。

③転職エージェント

現代の仕事探しでは、転職エージェントの利用は一般的な方法と言えます。ASDのことを明かさないクローズ就労で利用できるのはもちろん、近年では、病気や障害のある人への転職支援も行っているところが増えてきています。

いずれも、基本的なサービスとして、「就職準備のサポート」「キャリア相談」「求人紹介」「求人元と就職希望者の条件の調整」などを行っています。

いくつか話を聞いてみて、ご自分に合いそうなところを(並行的に)利用してみることをおすすめします。

病気・障害に特化したエージェントの例
補足(1)

エージェント(担当サポーター)のつかない「転職サイト(求人サイト)」の利用も、もちろん可能です。ただし一般論としては、ASDなどの特性がある場合は、自分の特性をエージェントとしっかり話した方が、「自分に合う仕事」が見つかりやすくなります。

補足(2)

最近では、「無期雇用派遣」という働き方の求人を取り扱う人材派遣会社も増えてきました。無期雇用派遣には、大きく次の二つの特徴があります。

1:派遣元の会社と、期間を定めずに雇用契約を結ぶ(派遣先での業務が終わっても、派遣元との雇用契約は続く)

2:派遣先がない時期にも、派遣元の会社から給与や休業手当を受け取ることができる

転職エージェントとは異なり、またうつ病の人に特化しているわけではありませんが、ご興味があれば、下記のような人材会社と話してみることをオススメします。

無期雇用派遣を取り扱う人材会社の例

④発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、当事者や家族の生活をサポートする支援機関です。運営は、公的な認可を受けた法人が行っています。

発達障害の大人も支援の対象です。また、確定診断が下りていなくても、発達障害の可能性がある人であれば、窓口での相談が可能です。あなたが「ASDかどうかまだわからない」という状態でも相談できます。

具体的な支援内容は事業者や自治体ごとに異なりますが、生活上の相談の他にも、就労支援事業として、ハローワークなどの関連機関と連携した求人に関する情報提供や、就業先への障害特性に関するアドバイスなどを行っています。

特に精神保健福祉士や社会福祉士などが在籍しているセンターでは、より「ASDなどの発達障害に特化したサポート」を受けられます。

窓口は、各都道府県や指定の事業所に設置されていますので、ご興味のある方はお近くの相談窓口を探してみてください。

⑤障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害のある人の就業面と生活面の支援を一体的に行うサポート機関です。

専門の支援員が、「長く働くためにはどうすればいいか」「次こそは自分に合った環境で働きたい」「自分の特性を理解しつつ次の就職先を探したい」といった方の相談を受けています。

以下のような方を対象に、様々なサポートを提供しています。(参考:障害者就業・生活支援センターについて、京都府

対象(例)
  • 求職中の人
  • 仕事を辞めたがまた働きたいと考えている人
支援内容(例)
  • 求職相談
  • 職場定着相談
  • 生活相談
  • 職場の環境改善などの相談
  • 求職活動を支援するために、ハローワークや事業主等との調整
  • 職業準備訓練のあっせん
  • 実習先との連絡調整
  • 就職後の職場定着にかかる相談

障害者就業・生活支援センターの全国一覧はこちらをご覧ください。

⑥精神保健福祉センター

精神保健福祉センターとは、うつ病を含む精神障害の人のサポートを目的に、精神保健福祉法によって各都道府県に設置された支援機関です。ご本人だけでなく、ご家族や関係者の方からも、精神衛生に関する相談を受け付けています。

前にも述べたとおり、発達障害の人は、二次障害として別の精神疾患を抱えることもありますので、相談先として精神保健福祉センターを知っておくことは有益かと思います。

精神保健福祉センターは、他の支援機関と比較して、精神疾患に特化している点が特徴と言えるでしょう。

匿名でも相談を受け付けています。(参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」)

全国の精神保健福祉センターの一覧は、厚生労働省のウェブサイト「全国の精神保健福祉センター一覧」をご覧ください。

ASDの特性

最後に改めて、ASDの特性について簡単に説明します。これまでご紹介してきた内容と併せてご覧いただくことで、理解が一層深まると思います。

①ASDの特性の概要

ASD(Autism Spectrum Disorder、自閉症スペクトラム障害)とは、次の3つについて、いずれかまたは複数に困難を持つ発達障害の一種です。

  1. 社会性
  2. コミュニケーション
  3. 想像力

具体的には、次のような特徴を示すことがあります。

  • 対人関係を築くことが苦手
  • 比喩や冗談を文字どおり受け取る
  • 相手の表情から気持ちを察することが苦手
  • 自分のルールに対するこだわりが強い

ASDという診断名は、以前よりも社会に知られるようになりました。ですがまだ、その特性などが正確に理解されているとは言えないでしょう。

②まだ診断を受けていない方は、サポート団体や病院に相談

「ある人がASDかどうか」は、医師のみが診断できます。

ASDの診断を受けた方が、「これまでの悩み事の原因がわかって安心した」とおっしゃることは少なくありません。一方で、「自分に『障害』があると確定するのが怖くて、診断を受けたくない(受けられない)」とおっしゃる方もいます。

もしあなたが「自分はASDなのではないか」と悩んでおり、診断を受けるかどうか迷っているようでしたら、病院の前に(病院と合わせて)これまでに紹介したサポート団体に相談することをオススメします。

そうすることで、「診断を受けるべきかどうか」について考えをまとめることができます。また、診断を受けない場合でも、自分の特性について深く理解する助けとなるはずです。

③ASDの特性詳細を知りたい方へ

ASDの特性をさらに詳しく知りたい方は、コラム「ASDで仕事が続かない人必見!ASDの人ができる仕事の工夫と適性」の第1章「ASD(自閉症スペクトラム障害)とは?3つの特性で解説」をご覧ください。

上記コラムの2章以下では、仕事の場面でできる工夫なども紹介しいます。このコラムで紹介する「転職のためのポイント」などと合わせて読んでいただくことで、「ASDの方が働くこと」について、理解が一層深まると思います。

サポート機関につながり特性をより深く知ることで、転職を実現しよう

双眼鏡を覗く人のイラスト

ASDの特性があっても、あなたに合う仕事・職場への転職はもちろん可能です。ただ、障害特性があり、悩みの中にある方が転職について一人で考えていると、考えが悲観的な方向へ進むことはよくあります。

ご紹介したように、ASDの人が利用することのできるサポート団体はたくさんあります。そうしたところとしっかり話しながら、一緒に対策を考え、転職先を探していくことで、あなたの転職活動はうまく進んでいくことでしょう。

この記事が、あなたの転職に役立てば幸いです。

【最後に改めて…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?

「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。

キズキビジネスカレッジ(KBC)を利用した方は…

初任給
うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
就職までの期間
通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
就職率
通常52%のところ、
KBCでは82%
よくある質問(1)

ASDの自分が転職を成功させるためのステップを知りたいです。

一般論として、次の5点が考えられます。(1)医療機関やサポート団体と繋がる、(2)特性を理解し、知識やスキルを獲得する、(3)自分に合う転職先を探す、(4)エントリーシートや面接の対策をする、(5)転職後もサポートは引き続き利用する。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

ASDの転職のサポート団体を知りたいです。

よくある例として、次の6つが挙げられます。(1)ハローワーク、(2)転職エージェント、(3)就労移行支援事業所、(4)発達障害者支援センター、(5)障害者就業・生活支援センター、(6)精神保健福祉センター。詳細はこちらをご覧ください。

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