大人のアスペルガー症候群の人の困りごととは? 仕事を続けるコツも紹介

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジの寺田淳平です。
近年、「大人のアスペルガー」という言葉が注目を集めています。
以前はアスペルガー症候群(現:ASD)のような発達障害は、「子どものもの」というイメージが強かったのですが、大人になってから特性を自覚する人が増えてきたことが背景にあると言われています。
あなたも「自分が大人のアスペルガー症候群(現:ASD)ではないか」「仕事が続かないのは発達障害のせいかもしれない」と思ってはいませんか?
そこで今回は、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)の特性や特性、代表的な困りごとを紹介いたします。
頼れる支援機関や、仕事を長続きさせるコツなども併せて解説しますので、アスペルガー症候群(現:ASD)の特性を感じているなら、ぜひ一度読んでみてください。
※本文中でお伝えするとおり、かつて「アスペルガー症候群」とされていた名称や内容は、医学的には「ASD」に改まっています。ただし現在でも「アスペルガー症候群」という言葉が使われる場面は多いです(日常会話や法令など)。それらを受けて、この記事では、内容的には「現行のASD」のものを紹介しつつ、表記としては「アスペルガー症候群(現:ASD)」といたします。
【本文に入る前に…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは38万円も
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは83%
目次
大人のアスペルガー症候群(現:ASD)に見られる代表的な困りごと5点
大人のアスペルガー症候群(現:ASD)に見られる困りごとには、どのようなものがあるのでしょうか?
書籍『よくわかる 大人のアスペルガー症候群』を参照しながら、代表的なものを5つ紹介いたします。
以下の困りごとの中には、発達障害ではない人でも、ある程度あてはまるものが含まれています。
現時点でアスペルガー症候群(現:ASD)の確定診断がない方は、ここで挙げられている困りごとが自分にも当てはまることを理由に「自分は大人のアスペルガー症候群(現:ASD)に違いない」と判断することは避けたほうがよいでしょう。
自分がアスペルガー症候群(現:ASD)かどうかをきちんと判断したいという方は、必ず専門医療機関を受診するようにしましょう。
この章でご紹介する内容については、あくまでも参考程度に留めておくようにしてください。
困りごと①会話が続かずに浮いてしまう

1つ目は「会話が成立せずに浮いてしまう」です。
アスペルガー症候群(現:ASD)の人は、相手が興味のない話を一方的にしてしまったり、あるいは誰かから話題を振られてもその意図を汲み取りにくかったり、冗談を理解しづらかったりする傾向があります。
特に仕事の場では、相手と打ち解け、信頼関係を築くために雑談をすることがありますが、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)を抱えている人はそうした意図がわからず、単刀直入に仕事の話だけを一方的に話してしまうといったケースも見られます。
また、職場の歓迎会や慰労会などでも、話の流れについていけず、周囲と比べて自分が浮いているように感じ、人間関係に悩みが生じることがあるようです。
困りごと②なぜか人を怒らせてしまう

2つ目は「なぜか人を怒らせてしまう」です。
社会人になると、上司や取引先との関係性を意識した発言や、適切な敬語、そして自他のプライベートな事柄に関する距離感などが求められます。
しかし、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)には、暗黙の了解や社会通念を理解するのが難しいという特性があるため、つい友達に話すような口調や内容の話を仕事の人にもしてしまうことがあると言われています。
また、先に述べたように、アスペルガー症候群(現:ASD)の人は「相手の感情を察するのが苦手」な面もあることから、悪気なく思ったことを口に出してしまうことも少なくありません。
結果として人を怒らせてしまうものの、相手が「なぜ怒っているのか」を想像することが難しく、場合によっては「怒っていることにも気づかない」ため、対人関係で困ってしまうという方もいます。
困りごと③同じ間違いを繰り返す

3つ目は「同じ間違いを繰り返す」です。
アスペルガー症候群(現:ASD)の人は、自分がこだわりを持っていることへの記憶力は優れており細かい違いにもよく気付く反面、興味のないことはあまり気に留めず、忘れてしまいがちです。
また、ひとつのことに集中すると、そのことだけに注視して周りが見えなくなる傾向に加え、同時並行して作業をするのが苦手なため、同じミスや見落としが多く見られる傾向があります。
同じ間違いを繰り返すことで、仕事が進まないだけでなく、同僚の信頼を損ねてしまったり、自分はだめだと自己否定的になってしまうことがあります。
困りごと④次にやる仕事がわからない

4つ目は「次にやる仕事がわからない」です。
学生時代とは違い、社会人になると、「やるべきこと」を自分で見つけなければならない状況が増えます。
抱えている仕事がひと段落ついたときなどが、その典型です。
しかし、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)の人は、指示された仕事はきっちりやるものの、他の人の仕事には無関心なため、周囲が忙しくても声掛けをしなかったり、できなかったりする傾向があります。
また、「ちょっと手伝って」と言われても、「ちょっと」といった曖昧な表現をされると混乱しやすいこともあり、うまくサポートできない場合もあるようです。
困りごと⑤仕事が長続きしない

最後は「仕事が長続きしない」です。
これまでに述べてきた困りごとの結果、仕事に対する苦手意識がついてしまい、出社拒否に至る人も少なくありません。
中には、うつ病や適応障害などの「二次障害」を抱えるようになり、引きこもりの状態に移行するケースもあります。
特に、対人関係に問題が生じて仕事が長続きしないというのは、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)の人の大きな悩みのひとつのようです。
仕事についてのお悩み、病気や障害についての困りごとなどを、お気軽にご相談ください。キズキビジネスカレッジの専門スタッフがお答えします!
大人のアスペルガー症候群(現:ASD)の人が利用できる支援機関3選

公民を問わず、日常生活のケアから就労のサポートまで、アスペルガー症候群(現:ASD)の大人が利用できる支援機関は多々あります。
発達障害者支援センター
代表的な支援機関の一つに、「発達障害者支援センター」があります。
発達障害者支援センターでは、発達障害に関係すると思われる困りごとを抱えている人に対し、専門的な立場から助言やアドバイスを行っています。
診断が下りていなくても、発達障害の特性を感じている人であれば相談可能ですので、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)を疑っている人は、一度、問い合わせてみることをオススメします。
障害者就業・生活支援センター
「障害者就業・生活支援センター」でも、アスペルガー症候群(現:ASD)を含む発達障害など、障害のある人の職業生活における自立をはかるために、地域の関係機関と連携しながらサポートを行っています。
いずれも、基本的にはお住いの市区町村役場が窓口になっておりますので、「どの支援機関が自分に合うのかわからない」という人は、総合窓口でその旨を相談してみてください。
就労移行支援事業所
国の法律に基づいて設置されている「就労移行支援事業所」では、日常生活のケアから仕事に役立つ専門的なスキルの講習まで、最低0円から福祉サービスの提供を受けられます(私たちキズキビジネスカレッジもその一つです)。
障害者手帳を取得していなくても、専門医による診断書があれば支援を受けられますので、ご興味があれば、ご検討中の事業所に相談するのがよいでしょう。
就労移行支援の詳細は、下記参考記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
仕事についてのお悩み、病気や障害についての困りごとなどを、お気軽にご相談ください。キズキビジネスカレッジの専門スタッフがお答えします!
大人のアスペルガー症候群(現:ASD)の人が仕事を続けるコツ4選
続いて、アスペルガー症候群(現:ASD)の大人が悩みやすい「仕事を続けるコツ」について、解説いたします。
前提として大切なのは、周囲の人を頼る姿勢です。
ここで言う「周囲の人」とは、かかりつけの先生はもちろん、同僚やご家族、支援機関の支援者などを意味します。
特に、仕事は一人では成り立たないものも多いため、周りの同僚に相談することが重要です。
ぜひ、一人で抱え込まずに、周囲の人を頼ってください。
その点に留意して、以下のコツを実践すれば、長く仕事を続けられる確率が上がるはずです。(参考:木津谷岳『これからの発達障害者「雇用」』、星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち』)
コツ①自分の特性を理解する

コツの1つ目は「自分の特性を理解する」です。
大人のアスペルガー症候群(現:ASD)に限らず、発達障害の人は、特性による向き・不向きや、得意・不得意がはっきりしていると言われます。
また、発達障害は脳の機能の偏りが原因のため、「できないこと」については努力や工夫だけで全てをカバーするのは難しいです。
そのため、仕事をする際には「何ができて、何ができないか」をより意識する必要があります。
特に、アスペルガー症候群(現:ASD)の人は、「曖昧な計画や指示が理解しづらい」「集中しすぎて体調管理が疎かになる」という特性を持っているため、以下の仕事術などが有効です。
- 日頃から具体的な計画や指示を仰ぐ
- タイマーなどを使って時間設定をする
特性を理解した上で、上記のような工夫を凝らすことが、仕事を長続きさせるコツです。
コツ②特性にあった仕事を選ぶ

コツの2点目は「特性にあった仕事を選ぶ」です。
アスペルガー症候群(現:ASD)を抱える人は、「できないこと」だけに着目するのではなく、「できること」や「特性を活かす」といった視点を持ち込むことで、より仕事の場で活躍できるようになります。
福島学院大学大学院教授の星野仁彦先生は、発達障害のある人の職人的な「こだわり」を仕事に活かせれば、定型発達者と同じか、それ以上に素晴らしい業績を残すことがあると指摘しています。
アスペルガー症候群(現:ASD)の人であれば、こだわりを活かしやすい研究職やエンジニア、集中力や忍耐力が活かせる校正の仕事などが向いていると言われています。
ぜひ、あなたの特性にあった仕事を探してみてください。
コツ③雇用枠の変更を考える

3点目は「雇用枠の変更を考える」です。
大人のアスペルガー症候群(現:ASD)にお悩みの人の中には、障害のことを開示せずに、「一般枠」で働いていることがあります。
その場合は、「障害者雇用枠」に移ることで、現状よりもずっと働きやすくなる可能性があります。
障害者雇用枠では、業務内容や仕事量について、障害に対する配慮を受けることが可能です。
ただし、「給与が下がることがある」などのデメリットもあります。
また、応募の際には原則として、障害者手帳の所持が条件になる点にも注意してください。
なお、障害を開示して働くことを「オープン就労」と言います。そのメリットとデメリットなどは、下記参考記事をご覧ください。
コツ④定着支援を受ける

最後のコツは「定着支援を受ける」というものです。
発達障害に限らず、障害のある人は職場に馴染むことに苦労しがちなため、「職場定着」が課題と言われています。
定着支援は、こうした職場定着を助けるための手段として特に有効と考えられています。
実際に、障害者職業総合センターの統計によれば、職場定着支援を受けた人とそうでない人で、1年後の職場定着率に「20%」近い差が出ています。(参考:障害者職業総合支援センター『障害者の就業状況等に関する調査研究』)
定着支援は、先述した就労移行支援事業所などで受けることが可能です。
大人のアスペルガー障害(現:ASD)で、特に仕事にお悩みであれば、こうした就労支援機関を利用してみるとよいでしょう。
仕事についてのお悩み、病気や障害についての困りごとなどを、お気軽にご相談ください。キズキビジネスカレッジの専門スタッフがお答えします!
改めて、大人のアスペルガー(現:ASD)とは?
この章では、「大人のアスペルガー(現:ASD)」について改めて解説します。
既にご存知かもしれませんが、これまでに紹介した内容の理解も深まると思いますので、ご覧ください。(以下参考:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』、姫野桂『発達障害グレーゾーン』、厚生労働省「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」)
①ASDの概要

ASDとは、「自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)」を意味する発達障害の1種です。
ASDには多くの特性がありますが、その中でも下記の2点がよく見られるものとして挙げられます。
- 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥
- 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式
他に、感覚過敏(光や音や刺激への敏感さが目立つ)、発達性協調運動障害(不器用さが目立つ)などの特性がある人もいます。
なお、「スペクトラム」というのは、特性に様々なグラデーションがある、という意味です。一口に「ASD」と言っても、その特性の現れ方はひとりひとり異なります。
②ASDという名称・分類について
ASDという名称・分類が使用されはじめたのは、2013年に、アメリカ精神医学会が前掲の『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』を定めてからです。
それよりも昔には、「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などという名称・分類であり、診断基準も現在とは異なっていました。
かつての分類では、「言語発達に遅れのある場合を自閉症」、「知能が定型の人と同等で言語発達の遅れがないケースをアスペルガー症候群」と区分して判断する傾向がありました。
一方、ASDという分類では、厳密な区分ではなく、「地続きの障害(=スペクトラム)」としてとらえようとしています。
なお、現在も「正式な医学用語」以外の場面(日常会話や法令名など)では、アスペルガー症候群などの旧名称・分類が残っていることもあります。
③ASDによる具体的な困難について

ASDの特性は、具体的には次のような形・傾向で現れることがあります(例であり、「ASDの人には必ずこのような傾向がある」「このような傾向があれば必ずASDである」というものではありません)。
- 人と目線が合いにくい
- 場の状況や上下関係に無頓着である
- 名前を呼ばれても反応しない
- 一方的に言葉をまくしたてる
- 会話による意思疎通がうまくできず、コミュニケーションの齟齬が生じやすい
- 他人の発言をそのまま繰り返す
- 相手の身振りの意味、意見・気持ちなどを察しづらい
- 自分の考えと別の可能性を想定しづらい(相手の立場に立って考えることが苦手)
- 質問の意図や発言の狙いを理解しづらい
- 比喩や冗談を理解しづらい
- 表情から気持ちを察しづらい
- 自分だけのルールにこだわる
- 決まった順序や道順にこだわる
- 予定が急変するとパニックになる(パターン化した行動をする方が落ちついた生活を送ることができる)
④ASDの診断は医師だけが可能

「自分が(ある人が)ASDかどうか」の診断は、医師による問診や心理士が実施する心理検査を中心に行われます。
逆に言うと、医師以外には「ASDかどうか」の診断・判断はできません。
あなたが(ある人が)「発達障害かどうか」をハッキリさせたいのであれば病院を受診してみることをオススメします。
「診断を受けるのが不安」と思う人は、発達障害者のサポートを行う団体(各都道府県にある発達障害者支援センターなど)に「病院に行くべきかどうか」「診断をつけるメリットや注意点は何か」などを相談することができます。
⑤ASDの医学的な診断基準
下記は、2013年にアメリカ精神医学会がまとめた『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(精神障害の診察基準などを記した書籍)に挙げられているASDの診断基準を抜粋・一部編集したものです。
次のような診断基準に当てはまればASDの可能性があります(あくまで可能性です。「どの程度なら『当てはまる』と言えるか、他の病気や障害の可能性はないかなども含めて、「ある人がASDかどうか」は、医師だけが判断できます)。
- 相互の対人的-情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやり取りのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ
- 対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりのわるい言語的、非言語的コミュニケーションから、アイコンタクトと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ
- 人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ
- 情動的または反復的な身体の運動、ものの使用、または会(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同行動、反響言語、独特な言い回し)
- 同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)
- 強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限局したまたは固執した興味)
- 感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音または触感に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)
⑥いわゆる「大人のアスペルガー(現:ASD)」とは
「大人のアスペルガー(現:ASD)」という言葉を聞くことがあるかもしれません。「大人のアスペルガー(現:ASD)」とは、医学的な定義がある言葉ではありません。次のような状態を指す俗語です。
- 学童期には目立った特性や困難が見られなかった、またはその診断等を受けることはなかったものの、成人してから仕事の場などでその特性が顕在化し、ASDの診断を受けることになった例
- 子どもの頃からASDの診断を受けていた人が大人になった状態
1に関連して、発達障害は生まれつきのものであり、「大人になって(大人になるにつれて)発達障害になった」ということではありません。その上で、大人になって受けた検査でASDであることが初めて判明したというケースは少なくないようです。
⑦大人のASDの「グレーゾーン」とは?
ASDの傾向が確認されるものの、確定診断が下りるほどではないほどの状態・人のことを俗に「(ASDの)グレーゾーン」と言います。
グレーゾーンの場合、確定診断がないことから利用できる公的なサービスが限定されることがあります(例:障害者手帳を取得できないため障害者手帳が必須なサービスを利用できない)。
ただし、グレーゾーンの人でも「発達障害者支援センター」のようなサポート団体への相談は可能です。
確定診断があってもなくても、またASDに関係してもしなくても「発達障害に関する悩み事」は専門的な知識を持つ人たちに相談した人が対策や解決策を見つけやすくなるでしょう。
⑧ASD以外の発達障害
発達障害はその特徴によって、いくつかのグループに分けられています。
ASD以外の主な発達障害には、ADHD(注意欠如・多動性障害)、SLD(限局性学習障害)などがあります。
ASDとADHDの主な違いは、対人関係でのコミュニケーション能力の差にあらわれます。
他人の身振りの意味などを察することや、状況の推測・暗黙の了解を理解しにくいことが多いです。運動が苦手なことも多いです。
ASDの人と比べると、コミュニケーションに大きな齟齬が生じたり、会話のやり取りや身振りの意味の理解に不自由さが生じたりするということは少ないです。
一方で、書類の記入間違いや物忘れといったミスが多いです。
ASD・ADHD・SLDの複数が併存する人もいます。気になる人は、下記参考記事をご覧ください。
仕事についてのお悩み、病気や障害についての困りごとなどを、お気軽にご相談ください。キズキビジネスカレッジの専門スタッフがお答えします!
まとめ:大人のアスペルガー症候群(現:ASD)をサポートする団体はたくさんあります

大人のアスペルガー症候群(現:ASD)の困りごとから、頼れる支援機関、仕事を長続きさせるコツまで解説してきました。あなたに役立ちそうな情報はありましたか?
病院をはじめ、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)をサポートする人たちはたくさんいます。困りごとの内容にあわせて、適切な支援機関を利用することをオススメします。
このコラムが、大人のアスペルガー症候群(現:ASD)でお悩みのあなたの助けになれば幸いです。
【最後に改めて…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは38万円も
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは83%
アスペルガー症候群(現:ASD)の大人が利用できる支援機関を知りたいです。
「発達障害者支援センター」「障害者就業・生活支援センター」「就労移行支援事業所」などがあります。詳細はこちらをご覧ください。
アスペルガー症候群(現:ASD)の自分が仕事を続けるためのコツを知りたいです。
一般論として、次の4点が考えられます。「自分の特性を理解する」「特性にあった仕事を選ぶ」「雇用枠の変更を考える」「定着支援を受ける」。詳細はこちらをご覧ください。
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。
臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。
【著書など(一部)】
『子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数
日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」
監修角南百合子
すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。
執筆寺田淳平
てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→