うつ病と仕事を両立させるコツ10選 両立させるポイントや支援機関を解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の寺田淳平です。
うつ病を抱えているあなたは、仕事と両立させる方法がわからずに、悩んではいませんか?
うつ病は一朝一夕で治る病気ではないため、仕事を続けながら治療を進めている人が多いと思います。
しかし、うつ病の症状である「意欲低下」や「疲れやすさ」のせいで、仕事と両立することが難しく感じられる人も少なくありません。
この記事では、うつ病と仕事の両立に悩む方に、うつ病と仕事を両立させるコツやを両立させるために意識したいこと、頼れる支援機関などについて、徹底解説します。
実際に、うつ病を抱えながら仕事を続けた経験のある私の経験を踏まえつつ、両立のために意識したいことから、頼れる支援機関まで紹介しますので、お悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
はじめに:うつ病と仕事の両立は基本的には可能

まず前提として、うつ病と仕事の両立は基本的には可能です(もちろん、症状や状況によって難しい場合はあります)。
そしてなにより、うつ病の診断を受けたら、最優先で寛解(=社会生活に支障が無くなる程度まで症状が軽減すること)するまで「休養を取る」ことが必要です。
もちろん、うつ病の人の中には、様々な事情から治療と仕事の両立を考えなくてはならないという方も多いと思います。
経済面の不安を感じたり、休職・退職ができない場合は、お勤め先に休職制度や傷病手当金制度があるかを確認した上で、「厚生制度を利用しながら治療を優先させられないか」を考えるところから始めましょう。
その際には、職場の上司や人事担当者、後述する産業医などに相談することが大切です。
また、うつ病を治療しながら仕事を続ける場合、ご自身でうつ病に関する知識や注意点を理解しておくことも大切です。
とりわけ、「かかりつけ医への相談」は絶対に欠かさないようにしてください。
休職する場合でも、あるいは休職後に復職する場合でも、「専門医の診断書」が必ず求められます。
また、診断書が発行できる状態になると、様々な支援機関での福祉サービスが受けられるようになり、サポートの選択肢が広がります。
適切な支援を受ければ、寛解してからでも仕事に復帰することは十分可能ですので、絶対に焦らないことを心掛けましょう。
うつ病と仕事を両立させるコツ10選
ここからは具体的に、うつ病と仕事を両立させるコツを紹介します。
前提として大切なのは、無理をしないこと、そしてかかりつけ医の判断に従うことです。
もし病状が悪化した際には、医師の診断の上、しかるべき休養を取るようにしましょう。
また、自己判断での断薬は絶対にしないでください。
眠気などの副作用が気になる場合であっても、かかりつけ医と相談の上、薬の量や種類を徐々に変えていくことが必要になります。
上記の点に留意して、以下のコツを実践していくのがよいでしょう。(参考:佐藤隆『職場のメンタルヘルス実践ガイド』、川上憲人『基礎からはじめる職場のメンタルヘルス』)
コツ①通院やカウンセリングを続ける

まず、どんなに仕事が忙しくても、通院はきちんと続けるようにしてください。
臨床心理士によるカウンセリングなどを受けている場合も同様です。
通院を怠ることで、あなたの心身のリズムが崩れる可能性があります。
もし、「医師の診断にどうしても納得できない」「処方された薬を服用することに抵抗がある」という場合は、セカンドオピニオンを求めて別の病院を受診するのもひとつ手段です。
ただし、一般論として、セカンドオピニオンでも治療の方針があまり変わらないようなら、多少納得できない面があったとしても、元の方針に従うことをオススメします。
また、代替医療や民間療法ではなく、「病院」の治療を受けるようにしましょう。
コツ②定期的に産業医面談を受ける

2つ目のコツは「定期的に産業医面談を受ける」です。
産業医とは、労働者の健康管理について助言や指導を行う医師のことです。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者が在籍する事業所に1人以上、3,000人超の事業所では2人以上の産業医が配置されています。
上記の条件を満たしていれば、あなたの職場にも産業医がいるはずですので、一度確認してみてください。
人によっては、「面談の結果が人事査定に影響するのではないか」と心配されるかもしれませんが、産業医は中立的な立場から診断を行いますので、ご安心ください。
もし産業医が職場の上司から説明を求められたとしても、個人情報保護の観点から、共有してよいかを原則ご本人に確認することになります。
料金なども発生しませんし、場合によっては上司も同席の上で、業務に関する具体的な相談をすることも可能ので、ぜひ一度、利用してみてください。
コツ③支援機関に通所・相談する

うつ病と仕事を両立したい方は、「支援機関に通所・相談する」のも、一つの手段です。
うつ病の診断が下っている人に対して、障害福祉サービスを提供している機関は、公民を問わずたくさんあります(具体的な支援機関は次の章で紹介します)。
中には、後述する就労移行支援事業所などのように、単にうつ病の症状に関する相談だけでなく、仕事で活かせる自己管理の方法や、実践的な仕事術、専門的なスキルの講習など、多様な支援を行っている機関もあります。
サービスの内容にもよりますが、基本的には「無料」でサービスを受けられるところばかりですので、そうした支援機関も、相談先の選択肢として持っておくとよいでしょう。
コツ④できる範囲で職場の同僚の理解を得る

「うつ病について職場の同僚の理解を得る」ことも大切です。
うつ病の人は、仕事中に気分が悪くなったり、通勤時に調子を崩したりすることが少なくないかと思います。
そうしたときに、職場の同僚に病状のことを伝えてあると、周囲が仕事の穴をカバーしたり、シフトに融通を利かせたりと、サポートを受けやすくなるでしょう。
また、職場の方でも、理由を明かされずに欠勤されるより、理由があらかじめわかっていた方が安心できるという面があります。
できる範囲で構いませんので、信頼できる人から、病状を話してみてください。
コツ⑤残業は極力控える

調子を大きく崩さずに仕事を続けたいのであれば、「残業は極力控える」ようにしましょう。
うつ病のような気分障害では、調子のムラが生じやすいため、日によっては「具合がいいからもっと進めておこう」「今日は残業しても大丈夫そうだ」と過信することもあると思います。
しかし、そこで無理に残業をしたりすると、週の後半に体調を崩したり、休日に身体を休めても疲れが取りきれなかったりと、どこかにひずみが生じる可能性があります。
前の章でも述べた通り、うつ病の症状を考慮に入れて、無理はせず、普段から残業をしないで済むような仕事のスケジュールを立てるようにしましょう。
コツ⑥余裕を持って行動する

6点目は「余裕を持って行動する」です。
具体的な業務の予定だけでなく、例えば、通勤時に気分が悪くなって駅で休んでも問題なく出社できる時間に家を出たり、満員電車を極力避けたりするなど、できるだけご自身の負担を減らす方向で行動を取ることが大切です。
余裕を持って行動することで、不測の事態が起こったときにも、過度に慌ててストレスを感じることが減りますので、日頃から「予定を詰めすぎていないか」という点に注意しましょう。
コツ⑦生活習慣を整える

7点目は「生活習慣を整える」です。
就寝と起床の時間は、なるべく一定にするよう心掛けましょう。
睡眠リズムの乱れは、生活リズムの乱れに直結するだけでなく、あなたの仕事のパフォーマンスや、日頃感じるストレスにも大きく影響します。
また、特に薬物療法を受けている方などは、アルコールやカフェインの摂取に注意してください。
これらの嗜好品は、薬効に悪影響を及ぼす可能性があるだけでなく、頭痛や不安の原因にもなることもあります。
また、依存性がありますので、ストレス解消につながるように思えても、控えるのが賢明でしょう。
コツ⑧自分なりのリラックス法を身につける

8点目は「自分なりのストレス対処法を身につける」です。
仕事を続ける以上、ストレスは避けて通れません。
そのため、ストレスが溜まったときに、上手に発散する方法を身につけることが大切です。
気心の知れた友人と雑談をしたり、好きなスポーツに興じたりと、あなたなりのストレス対処法を探してみてください。
また、ちょっとした隙間時間に、一人でできるリラックス法を修得するのも有効です。
一例として、私が実践しているリラックス法を挙げておきます。
- 深呼吸をする
- 簡単な屈伸運動やストレッチをする
- 職場の周りを散歩する
- 肩の力を抜き、目を閉じて数秒じっと休む
ストレスを軽減するだけでなく、発散する方法も身につけるようにしましょう。
コツ⑨短時間勤務制度などを利用する

9点目は「短時間勤務制度などを利用する」です。
これは特に、調子の波が激しいことで悩んでいる方が実践したいコツです。
うつ病をお持ちの場合、「朝はつらいけど午後からなら出勤できる」「調子次第で勤務時間に融通を利かせたい」と感じることが度々あると思います。
そういった方は、短時間勤務制度を活用するだけで、仕事との両立がずっと楽になります。
まずは人事部門に制度があるかを確認し、申請方法を教わるようにしましょう。
大きく調子を崩して長期の休暇に入る前に、勤務時間を調整する工夫をしてみてください。
コツ⑩どうしてもつらいときは休職する

仕事との両立にこだわらないで、「どうしてもつらいときは休職する」という選択も大切です。
仕事をある程度長く休むことになると、通常の有給休暇をつなげるという方法もありますが、休職制度があるのなら利用した方がよい場合もあります。
というのも、休職から復職したときに、仕事への慣れを取り戻すために、最初は休みを挟みながらの出勤になることが多いからです。
ただし、お勤め先によって、休職中の「給与支給の有無」や「適用期間」など、条件が異なりますので、その点をきちんと精査してから休職に入ることが大切です。
実際に検討する際には、まずは医師に相談の上で、上司や人事担当者と面談をするようにしましょう。
繰り返しにはなりますが、なによりも優先すべきは、あなたの体調なのだということを、忘れないようにしてください。
うつ病と仕事を両立させるためのポイント5点
この章では、うつ病の程度にもよりますが、うつ病と仕事を両立させるためのポイントを解説します。
もし、仕事と両立しはじめたものの、調子を崩したというときには、無理をせずに「医師に意見を求める」ことが大切です。
あなた自身は「もう少し頑張れるはず」と思っていても、専門家の目からすると、休養が必要という場合があります。
仕事との両立を考えている方は、その点を念頭に置いて、以下のポイント5点を意識するようにしましょう。(参考:五十嵐良雄『うつ病・躁うつ病で「休職」「復職」した人の気持ちがわかる本』、厚生労働省『いわゆる新型うつの理解と対策は?|こころの耳』)
ポイント①問題を一人で抱え込まない

まずは「問題を一人で抱え込まない」ことが大切です。
ここで言う「問題」とは、うつ病の症状に限らず、仕事やプライベートなどで、あなたがいま抱えている悩みのことです。
問題を一人で抱え込むと、ストレスを溜めやすくなるだけでなく、解決の糸口になりえる新情報や適切なアドバイスを得る機会が少なくなります。
そのため、悩みがあるという人は、可能な限り、信頼できる人に相談しましょう。
また、医師やカウンセラーは、うつ病に関することだけでなく、仕事やプライベートなど一見すると関わりのないようなことも含めて、総合的に話を聴いた上でアドバイスをします。
問題を一人で抱え込む前に、まずは、そういった専門家に悩みを打ち明けることをオススメします。
ポイント②すぐに治そうと焦らない

2点目は「すぐに治そうと焦らない」です。
うつ病と仕事の両立を目指す場合、症状の影響で作業効率が下がったり、疲れが取れなかったりなど、「思うようにいかないこと」が少なくありません。
そういったことが重なると、「うつ病は甘えなんじゃないか」と人に言われたり、自分でも「努力が足りてないだけなんじゃないか?」と思い詰めたりする人もいると思います。
そのため、いち早くその状況から抜け出したいと思い、「とにかく早く治したい」「気の保ちようですぐに治せるはず」と焦りを感じることも多いはずです。
しかし、その焦りがプレッシャーになり、「早く治したいのに少しもよくならない」「こんなに長引くようだと、もう治らないんじゃないか」と落ち込んだり、症状を悪化させたりすることがあります。
「すぐに治そう」と焦るよりも、「時間がかかってもきちんと治そう」「この機会に生活習慣や環境を見直そう」と前向きに捉えた方が、心にゆとりが生まれます。
すぐに治そうと焦らずに、余裕を持って治療を進めることを意識しましょう。
ポイント③症状を受け入れる

「症状を受け入れる」ことも、仕事との両立のために大切です。
これは、自身の症状を把握した上で、予定を立てたり行動したりする、ということです。
例えば、うつ病だと、夕方になると疲れて、仕事が手につかないということも比較的多いと思います。
そうしたときに、発症以前の感覚で「夕方以降も頑張れるはず」と考えていると、スケジュール通りに進まず、モチベーションも下がる可能性があります。
そのため、「夕方は疲れが出るから、この仕事は午前に終わらせておこう」「明日に回しても大丈夫なように、納期に余裕を持たせよう」と、自身の症状を受け入れた上で予定を立てることをオススメします。
ポイント④原因を考えすぎない

4点目は「原因を考えすぎない」です。
前にも述べた通り、うつ病には明確な原因がないというケースが多々あります。
仮に原因があったとしても、それが解消されたからといって、すぐに抑うつ症状がなくなるとは限りません。
したがって、原因についてはあまり考えすぎず、まずは症状を受け入れた上で、「どう治していくか」「どう生活していくか」といった具体的な方針・方策を考えて、実践していくことをオススメします。
ポイント⑤公私ともに無理をしない

最後は「公私ともに無理をしない」です。
うつ病だと、身体がだるかったり、疲れやすかったりするため、無理に仕事をすると、翌日まで疲労が残ることが多いです。
そのため、「公私ともに無理をしない」ことが、うつ病と仕事を両立させるための秘訣です。
うつ病と仕事を両立したい人が頼れる支援機関4選
最後に、うつ病と仕事を両立したいという人が頼れる支援機関を紹介します。
この章では、無料で相談を受け付けている公的機関のみになりますが、民間にも支援機関はありますので、興味のある方は調べてみるとよいでしょう。
もし、どの支援機関が自分にふさわしいかが分からないという場合は、基本的には、居住地の自治体の障害福祉課が窓口になりますので、そちらに相談することをオススメします。
支援機関①精神保健福祉センター

精神保健福祉センターとは、うつ病を含む精神疾患がある人のサポートを目的に、精神保健福祉法(正式名称:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)によって各都道府県に設置された支援機関です。
心の問題や病気で困っているご本人だけでなく、ご家族や関係者の方からも、精神衛生に関する相談を受け付けています。
他の支援機関と比較して、精神疾患に特化している点が特長と言えるでしょう。
匿名でも相談を受け付けていますので、面接相談であっても、まずは電話にて問い合わせてみてください(全国の一覧はこちらです)。
支援機関②就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、一般企業への就職を目指す病気や障害のある人向けに、障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づいて行われる障害福祉サービスを提供しています。
就労移行支援事業の対象となるのは、以下の条件を満たす方です。
- 原則18歳から65歳未満であること
- 一般企業への就職または仕事での独立を希望していること
- 精神障害、発達障害、身体障害、知的障害や難病を抱えていること
障害者手帳は必須ではなく、うつ病の人でも、専門医による診断書があればサービスを受けることができます。
具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、仕事相談からメンタル面の相談、自己管理の方法といったサポートを行っています。
うつ病による休職から転職に移行したいという方には、専門スキルの講習や面接指導、インターン先・就職先の紹介までと、幅広い支援を受けられるため、特にオススメです。
相談は無料ですので、支援内容に興味を抱いた事業所に一度、詳細をお問い合わせいただくとよいでしょう(私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)。
就労移行支援に関する詳細は、下記コラムをご覧ください。
支援機関③地域障害者職業センター

地域障害者職業センターでは、うつ病に限らず、障害を抱える一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業訓練などの専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しています。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『地域障害者職業センター』)
特に、仕事に関する悩みが大きいという方には、オススメです。
運営は、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」が行っており、全国47都道府県に設置されています。
また、当事者だけでなく、事業主に対しても雇用管理に関する相談・援助を実施しています(全国の一覧はこちらです)。
支援機関④障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターでは、就業及びそれに伴う日常生活上の支援が必要な障害のある方に対し、センター窓口での相談や職場・家庭訪問などを実施しています。
こちらは仕事に限らず、生活面での支障も大きいと感じている方にオススメできます。
厚生労働省の資料によると、2023年4月時点で337センターが設置されており、当事者の身近な地域において、就業面と生活面を一体に捉えた相談と支援を行っています。
障害者就業・生活支援センターの特徴は、就労だけでなく、金銭管理などの経済面や住居のことまで、多岐にわたって相談できる点にあります。
興味のある方は、お近くの事業所にご相談ください(全国の一覧はこちらです)。
改めて、うつ病とは?
この章では、改めてうつ病の概要などをお伝えします。既にご存知かも知れませんが、これまでに紹介した内容の理解も深まると思いますので、ぜひご覧ください。(参考:厚生労働省「うつ病|こころの情報サイト」)
①うつ病の概要

うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、意欲の低下が一定期間、持続する精神障害の一種です。
うつ病は、所属している環境や仕事のストレスが引き金になることもありますが、明確な原因が見当たらないまま発症することも多いため、原因による分類・定義は難しいと言われています。
一般的には女性、若年者に患者が多いとされていますが、日本では中高年でも頻度が高いです。
厚生労働省が実施している患者調査によれば、うつ病を含む気分障害の日本での患者数は2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、著しく増加しています。
また、ICD-10(世界保健機関の分類)診断によるうつ病の12か月有病率は2.2%、生涯有病率は7.5%であり、過去12か月間にうつ病を経験した人は約50人に1人、生涯にうつ病を経験した人は約15人に1人と、決して珍しい病気ではないのです。
②うつ病の症状
うつ病の症状は、精神症状と身体症状に大きく分けられます。
- 憂うつ感が続く
- 気分が重い
- 不安である
- 集中できない
- 興味が湧かない
- 罪悪感がある
- 食欲がない
- 身体がだるい
- 疲れやすい
- 動悸がする
- 頭痛、肩こり
- 胃の不快感
ただし、上記の症状は、うつ病でない人であっても、ショックな出来事などが起こった際などに、一時的に感じうるものです。
また、症状の原因が身体疾患にあるというケースもあります。
症状の程度や持続期間など、様々な基準によって「うつ病かどうか」は診断されるため、症状があるからといって自己判断せず、必ず専門医を受診するようにしましょう。
③うつ病の治療法

うつ病の治療法には、大きく分けて、薬物療法と精神療法の2つがあります。
薬物療法とは、その名の通り、症状の改善が期待できる「抗うつ薬」を服用する療法です。
精神療法では、医師やカウンセラーと会話をしながら、自身の考え方の癖や認知(思考)の歪みを修正していく「認知行動療法」などがメインとなります。
薬物療法と精神療法の比率は、疾患の内容や程度によって変わります。
気分が高揚する「躁うつ症状」を伴う場合には、うつ病ではなく「双極性障害」の可能性があるため、躁とうつの波を小さくする「気分安定薬」を使用することもあります。
また、身体疾患や、その治療のための薬剤が、うつ病の原因になっているケースもあるため、可能性がある場合には、身体疾患の治療や薬剤の中止あるいは変更を考慮することもあります。
④うつ病が仕事に与えうる影響
うつ病になると、日常生活で問題なくできていたことができなくなることもあります。仕事の場面では、以下のような影響が出ることもあるでしょう。
- 遅刻や当日欠勤が増える
- 日中、眠気に襲われることがある
- 会話の受け答えが上手くできなくなる
- 判断力が低下する
- 適切な判断ができなくなる
- ケアレスミスが増える
- うまく整理整頓ができなくなる
このような変化に自ら気づくことも、周囲からの指摘で気づくこともあります。
うつ病により仕事に上記のような影響が出ている場合、症状が悪化しないよう適切な対処をすることが大切です。
まとめ:うつ病と仕事を両立させるには周囲の助けが必要です

うつ病と仕事を両立する前に確認したい注意点から、実際に両立する上で意識したいこと、コツまでを解説してきましたが、活かせそうな情報はありましたか?
繰り返しにはなりますが、大切なのは、一人で抱え込まずに周囲の人に相談することです。
無理をすると、症状の悪化につながる可能性がありますので、かかりつけ医や産業医、支援機関のスタッフなど、専門家の意見を聴きながら、慎重に仕事を続けていく意識を保ちましょう。
周囲の助けを借りながら、焦らずに治療に励めば、うつ病と仕事を両立させることは充分に可能です。
このコラムが、うつ病と仕事の両立を目指す人の参考になれば幸いです。
うつ病と仕事を両立させるために意識した方がいいことはありますか?
一般論として、次の5点が考えられます。(1)問題を一人で抱え込まない、(2)すぐに治そうと焦らない、(3)症状を受け入れる、(4)原因を考えすぎない、(5)公私ともに無理をしない。詳細はこちらをご覧ください。
うつ病と仕事を両立させるコツを知りたいです。
例として、次の10点が挙げられます。(1)通院やカウンセリングを続ける、(2)定期的に産業医面談を受ける、(3)支援機関に通所・相談する、(4)同僚の理解を得る、(5)残業は控える、(6)余裕を持って行動する、(7)生活習慣を整える、(8)自分なりのリラックス法を身につける、(9)短時間勤務制度などを利用する、(10)つらいときは休職する。詳細はこちらをご覧ください。
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
執筆寺田淳平
てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→