うつからの復職前にすべき6つの行動〜復職直後の5つの注意点も〜

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジの寺田淳平です。
うつで仕事を休んでいるあなたは、そろそろ復職に向けて行動したいと考えているのではないでしょうか。
しかし、次のように悩んで答えが出ない、ということもよくあります。
- 具体的になにをしたらいいか
- 復職後にうつが再発しないか
- どうすれば復職後もつらくならずに済むのか
そこで今回は、復職を考え始めた人がすべき準備と、復職後の注意点をあわせて解説いたします。
復職それ自体はゴールではありません。
復職後も働きつづけることを見据えた準備が大切です。
実際に私自身の「うつからの復職、職場定着」までのプロセスを経ることで痛感したことも書いています。
復職に向けた準備を考えている人の参考になれば幸いです。
割と長文ですので、全体を読むのが大変な場合は、目次の気になる項目だけを読んでみてください。
また、ご本人に向けた内容ではありますが、「うつ病で休職中の人のご家族」「うつ病からの復職者のいる職場の人」にも役立つ情報となっています。
【本文に入る前に…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは82%
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
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翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
執筆寺田淳平
てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→
目次
復職に向けた準備の前に:うつから回復したかを確認する3つのポイント
復職に向けて動きだす前に、まずはうつ病から回復しているかを確認することが大切です。
ご自身の回復状況を見誤ったまま準備をはじめると、どこかで続かなくなる可能性があります。
とは言え、具体的に何をもとに判断すればいいのか、難しいですよね。
そこで以下に、復職準備に入っていいかを確認する際のポイントを3つにまとめました。
なお、大前提として、自己判断で通院や服薬を中断するのはやめましょう。
ご自身で問題がなくなったと判断されても、専門家の目から見れば加療が必要な場合があるので注意してください。
上記の点に注意しながら、ポイントを順に見ていきましょう。
ポイント①生活リズムが安定してきたかどうか

最初に確認すべきことは、「生活リズムが安定してきたかどうか」です。
うつの病初期には、疲労や倦怠感から日中でも眠くなることが多いかと思います。
そうすると、食事の時間が不規則になったり、起床や就寝の時間にばらつきが出たりします。
しかし回復期に入ってくると、寝食の時間といった基礎的な生活リズムが安定してくるようになります。
徐々に日中の眠気や倦怠感が収まってきて、以前よりも行動力が湧いてきたことを実感できるでしょう。
ただし、調子が上向いてきたことに気をよくして、行動しすぎないように注意してください。
まだ病み上がりの状態のため、体力が元に戻ったわけではありません。
その時期に動きすぎると、また生活リズムが崩れがちです。
主治医の先生とこまめに生活状況を共有しながら、ひとまずは生活リズムが安定してきたかどうかを見極めましょう。
ポイント②以前よりも気が楽になってきたかどうか

2番目のポイントは、「以前よりも気が楽になってきたかどうか」です。
「気が楽になってきた」というと抽象的ですが、具体的には以下のような考え方や精神状態を保てられる状態になったかどうか、と考えてください。
- うつ病の自分は取り返しがつかない、などと深刻視しなくなった
- うつ病は特別なことではない、と気楽に考えられるようになった
- 元気になったら何をはじめよう、と回復後のことを自然と考えるようになった
うつ状態のときはなにをやってもダメだ、なにもしたくない、と思いがちです。
しかし回復するにつれて、元気になったらなにをしようという前向きな行動意欲が強まってきます。
回復してきたかどうかを判断する基準として、上記の意味で「気が楽になってきたかどうか」を考えてみましょう。
ポイント③主治医から肯定的な診断が得られているかどうか
3つ目のポイントは、「主治医から肯定的な診断が得られているかどうか」です。

復職にむけて準備をしたいと考えている人は、ぜひその旨を主治医に相談してみてください。
自分の調子は自分がよくわかっていると思うかもしれませんが、そういった考えがなかなか通用しないのがうつ病の難しいところです。
自分が大丈夫だと思っていても、実際はもうすこし加療が必要だというケースが往々にしてあります。
復職を考えている人は、必ず主治医の判断を仰ぐようにしましょう。
なお、主治医の方針にどうしても納得できなかったり、処方された薬でよくなっている実感が持てなかったりする場合は、セカンドオピニオンを求めて別の先生に診てもらうのもひとつの手です。
元の先生と違う方針を示されるようであれば、自分に合いそうな方に従ってください。
ただし一般論として、セカンドオピニオンでも治療の方針があまり変わらないようなら、多少納得できないところがあっても、いまの方針に従うことをオススメします。
また、代替医療や民間療法ではなく、「病院」の治療を受けるという点も重要です。
成果がすぐに出ないからといって、専門機関でないところへ治療を求めるのは避けましょう。
復職準備に入る前に、専門機関の先生から肯定的な意見を得られるかを確認してみてください。
うつからの復職前にすべき6つの行動
調子も安定してきて主治医の先生からも肯定的な意見を得られたら、具体的な復職準備に入っていきます。
復職に向けて行っておくとよい行動は、主に次の6つになります。
上述したものは、復職を支援している日本うつ病リワーク協会の復職支援プログラムをもとに、私が実践して効果を感じられたものです。(参考:『うつ病の人の職場復帰を成功させる本』)
上記のプロセスを経ることで、私は10か月という長期休職から復職できました。
職場定着も無事に進み、復職して2年が経過したいまも調子を崩していません。
なお、「このプロセスを踏まないと絶対に復職できない」というわけではありませんので、ご安心ください。
人によってはハードに思うものがあるかもしれません。
つらくなったら主治医の先生と相談しつつ、休み休み進めていきましょう。
最優先すべきはあなたの健康だということを忘れずにいてください。
①就労時と同じ生活リズムを定着させる

まずは就労時と同じ生活リズムを再現・定着させることからはじめましょう。
これは、起床・就寝といった基礎的な生活リズムを保つことから一歩進んで、午前と午後に簡単な作業をすることを指します。
つまり、自分が就業しているときの生活リズムを再現して、無理なく生活を送れるかどうかを確認してみてください。
ただし、日中に行う作業は疲れにくい簡単なものにしましょう。
以下に私が実際に行っていたことを挙げますので参考にしてください。
- 軽い散歩に出かける
- 読書をする
- 文章の書き取りや音読をする
- 四則演算の簡単な計算問題を解く
- 部屋の掃除や整理整頓をする
- 料理をつくる
もし疲れを感じることがあったら作業をやめて休みましょう。
無理のない範囲で行動し、徐々に慣らしていくことが肝要です。
少しずつで大丈夫ですので、働いているときの生活リズムを定着させていきましょう。
②どこかへ「通う」習慣をつける

次のステップとしてオススメしたいのが、どこかへ「通う」習慣をつけることです。
場所はどこでも構いません。
近所の図書館や公園まで行くといった簡単なものでも、十分に効果があります。
私の場合は、毎朝9時に近所のカフェにモーニングを食べに行くというのを実践していました。
「通う」習慣をつけることは生活リズムの定着にも有効です。
特に朝、外に出て陽の光を浴びることで、就寝と起床の時間が安定しやすくなります。
また、体力などに余裕のある人は、「通う」場所として復職支援を行っている就労移行支援事業所などを活用するのもオススメです。
主治医とはまた別の観点から相談に乗ってもらえるため、「通う」習慣をつける段階で一度検討してみてるのもよいでしょう。
生活リズムが定着してきた人はぜひ、どこかへ「通う」習慣を身につけてください。
③軽い運動をして体力をつける

復職前には、軽い運動をして体力をつけることが重要になります。
うつ状態のときは、気力だけでなく体力も低下しています。
人によっては、不安から来る動悸がもとですぐに息切れをしするのではないでしょうか?
体力が落ちた状態で復職すると、数週間は身体がもっても、日が経つに連れて休みがちになる可能性があります。
体力が続かないという理由で、うつからの復職後、10日を待たずにまた休みに入った知人もいます。
軽い運動の具体例として私が実践したことを以下に挙げます。
- 20分程度のジョギング
- 10分程度の縄跳び
- 1時間近い長距離の散歩
もちろんすべてを1日で行うのではなく、その日の調子や気分でどの運動をするかを考えて取りいれてみてください。
別の疾患によって運動が難しい場合は、主治医の先生に体力をつけたいことを伝えて相談しましょう。
④人と接する機会を増やしていく

人と接する機会を増やすというのも、復職前の準備として大切なプロセスです。
うつ病のときは、誰かと会話するだけでやたらに疲れますよね。
特に対人不安の強い人は、調子が戻るまでは一人にしてほしい思うこともあるでしょう。
そもそも何を話していいかも思いつかない、という人もいるかと思います(私がまさにそうでした)。
しかし、職場復帰をすると、ある程度人と接する機会が生じます。
そのたびに心をすり減らさないよう、少しでも人に慣れることが大切です。
最初は、家族や信頼できる友人と会話する程度でOKです。
実際に会うのが難しい場合は、メールやSNSのやりとりからはじめましょう。
あまり疲労を感じずに自然体で接することができるようになったら、顔を合わせる機会を増やしてみてください。
何を話していいかわからないという人には、一緒に映画を見に行くのがオススメです。
行動をともにしつつ、会話の機会が多くならずに済みます。
鑑賞後は映画の話ができるので、話題が思いつかないという不安を軽減できるはずです。
ただし、人と会うのはとても体力を使うことですので、決して無理はしないようにしましょう。
⑤復職後の仕事の進め方を考えてみる

この段階まで来たら、今度は復職後の仕事の進め方を具体的に考えてみましょう。
仕事を休む前のことを思いだすのはつらいことかもしれません。
しかし、順調に回復していれば、なぜ働くのがつらくなったのか、何が問題だったのかを冷静に考えられるようになっているはずです。
私の場合は、自分のやっていた仕事を洗い出して、具体的にどの業務がストレスになっていたのかを考え直しました。
また、その業務がストレスにならないためにはどういう仕事の進め方をすればよかったのかということも検討しました。
このときに大切なのは、復職してから具体的に何をすればよいのかというところまで考えることです。
場合によっては、上司との面談で「この業務は負荷が大きいから担当を外してほしい」といったことを伝える必要があります。
復職後、多少ブランクのある状態で働いたときに問題なくこなせそうかどうかを考えておくことが肝要です。
また、復職後の仕事の進め方を考える上では、できるだけ主治医やカウンセラーなどの第三者に相談するようにしましょう。
主治医からアドバイスをもらえない場合は、先述した復職支援を行っている就労移行支援事業所などの職員に相談するのもひとつの手です。
あなたがうつになっているということを理解した上で、仕事の進め方や実践できそうな工夫を一緒に考えてくれるはずです。
周囲の人を頼りながら、復職後の仕事の進め方について考えてみましょう。
⑥復職後の業務について、上司や人事担当と面談して調整する

復職前の最後のプロセスとして、上司や人事担当者との面談があります。
面談は、主治医の先生から「復職しても問題ない」という許可をもらってからにしてください。
実際に復職することになった場合、一般的には医師の診断書が必要になります。
上司や人事担当者と面談する際には、以下の点に注意して調整を進めましょう。
- 具体的にいつから復職するか
- どういった業務ならできそうか
- どの程度の業務量ならこなせそうか
- 現在の職場の状況はどうか(繁忙期などではないか)
- 職場の同僚にはどういう伝え方、接し方を望むか
特に、どの程度の業務あるいは業務量ならこなせるかということはきちんと伝えた方がいいです。
この段階ですりあわせができていないと、復職してからの職場定着が難しくなる可能性があります。
先述した「復職後の仕事の進め方を考えてみる」というプロセスがここで活きてくるはずです。
また、個人的には、現在の職場の状況を知っておくのが、意外と重要かと思います。
私の場合はやむをえず忙しい時期に復職したため、職場の空気がどうしてもピリピリしているのを感じて、ストレスになりました。
可能であれば、職場に余裕がある閑散期に復職するのがオススメです。
そして、復職日は翌日が休みの日にするとよいでしょう。
いきなり連勤すると体力が尽きかねないので、月曜日からの勤務は避けるのがベターです。
必要であれば何度も上司と面談して、復職後の仕事の仕方について意思疎通を進めてください。
うつからの復職直前はどんな気分でいればいいのか
さて復職の準備が整い、「来週にはもう初出勤日を迎える」といった復職直前になると、様々な考えが頭を過ぎるかと思います。
復職直前の人が陥りがちな悩みとして以下のようなものがあります。
上記は、実際に私が復職をする際に感じたことや、復職前の同僚から受けた相談をもとにしたものです。
それぞれの悩みについて対処法を解説していきますので、順に見てゆきましょう。
①職場にどんな顔でいけばいいかわからない

どんな顔をして出勤すればいいかわからないという人には、前もって職場に挨拶へ行くことをオススメします。
菓子折りなどかしこまった準備をする必要はありません。
目的はあなたの緊張をほぐすことですので、ふらっと挨拶へいくだけでいいのです。
職場への顔出しというステップを踏むことで、復職日の前に抱え込みがちな不安を解消できます。
実際に私は復職直前に職場を訪問したことで、初出勤のときに緊張しすぎることなく業務へ移行することができました。
職場への顔出しをせずに出勤すると、場合によっては事務的な会話から入ることになるため、打ち解けた雰囲気をつくるのが難しくなります。
緊張するのはあなただけではありません。
一緒に仕事をする同僚も同じです。
互いに心の準備をするためにも、挨拶へ行く日を上司に相談し、周知してもらった上で、職場を訪問するとよいでしょう。
ただし、直前になって気分が悪くなった人は、決して無理をしないようにしてください。
うつが快方に向かっているときでも、不意に調子を崩すことがないわけではありません。
症状を主治医に相談した上で、職場へ挨拶に行けるかどうかを判断しましょう。
②復職後のことを考えすぎて不安になる

復職後のことを考えすぎて不安になる場合は、「ひとまず1週間を乗り切る」と短期的な目標設定をするようにしましょう。
先のことは仕事に慣れてから休み休み考えればいいことです。
日が経つにつれて、だんだん働くことにも慣れてきます。
気づかないうちに、うつがすっかり治ってしまったということもあるかもしれません。
そうすればまた、状況は変わってきます。
復職というのは、それだけでもとても大きな前進ですから、それを1週間続けただけでも、あなたは以前より強くなっているはずです。
自信を持ってください。
不安を感じる場合は、まず目先の目標を設定して、遂行することだけを考えましょう。
③直前になって気がふさいだ

直前になって気がふさいだときは、睡眠時間を増やすのが有効です。
私は復職直前にどうしてもネガティブなことを考えがちなときにたくさん眠ることで、いい意味で思考を停止することができました。
何も考えずにとりあえず出勤してみる、という程度の気楽さでちょうどいいのです。
復職日に周囲がどんな反応をするかなど気になるかもしれませんが、人の考えることは自分ではコントロールできません。
気にしても仕方のないことが気になるときは、とにかくたくさん眠って当日を迎えましょう。
そして、復職日になっても気分が優れない場合は、上司に連絡して復職を遅らせる決断をくだすことも必要です。
復職したことでまた健康を害しては元も子もありませんから、無理だけはしないでください。
復職が遅れたとしても、一度は職場復帰の直前までいったという経験は確実にプラスになります。
復職直前にどうしても気が塞ぐときは、素直に復職日を延期するようにしましょう。
うつからの復職直後に気をつけたい5つの注意点
この章では、復職した後の注意点を解説いたします。
うつの場合、復職直後に調子がどう変わるのかは専門家でも見極めが難しいものです。
職場定着までいける場合もあれば、うつをぶり返す場合もあります。
そのためには、できるだけ調子を崩さないための予防線を張っておくことが重要です。
以下に解説する予防線を意識するだけで、うつが悪化する可能性を軽減できますので、ご安心ください。
それでは復職直後の注意点を具体的に5つにわけて見ていきましょう。
①自分ができる業務量・業務時間を少なめに見積もっておく

復職直後は消耗が激しくなるため、可能な業務量と業務時間を少なめに見積もるようにしましょう。
職場に戻ると、つい復職前の感覚を取り戻そうとして焦る場合があります。
特に、休職期間が短いほど、自分はすぐに元の業務スピードに追いつけると思って、ペース配分を間違えがちです。
また、自分の業務遂行力を多めに見積もると、予想よりも仕事が難航した場合に、落ち込む可能性があります。
就労のリズムに慣れていないうちは、業務量と業務時間を「これくらいならできるだろう」という自分の予想より少なめに見積もることを意識しましょう。
②自分の状態について上司や同僚に正しく理解してもらう

2番目に大切なのは、周囲に自分の状態を正しく理解してもらうということです。
復職前に上司と調整を進めていても、いざ復職してみたら想像とは違っていた部分が必ず出てくるはずです。
そんなときにひとりで悩みを抱え込むと、場合によっては職場定着が遅れるかもしれません。
復職直後は、職場の同僚もあなたの調子を気にかけているものです。
いまはどんな状態なのかを理解することで安心して仕事を割り振るためにも、あなたに話してもらえるのを待っている人がいるかもしれません。
自分の現在の状態について、できるかぎり所属長や同僚に相談するようにしましょう。
③休む時間をきちんと取る

復職直後は、休む時間をきちんと取るようにしましょう。
職場によっては、復職した後に飲み会などのつき合いが発生するかと思います。
あなた自身も復職できたことで気分が舞いあがり、アフター5もどこかへ遊びに出たりと、活発になるかもしれません。
しかし、復職直後はあなたが思っている以上に疲労が蓄積しやすい状態にあります。
仕事が終わったらできるだけ早めに帰宅し、身体を休めるように心がけましょう。
また、就業中であっても、気分が優れなかったり、疲れを感じたりしたときには、上司に伝えて休憩を取るようにしてください。
大切なのは、職場に通い続けることです。
最初は仕事のよしあしはあまり気にせずに、適度な休憩をはさみながら業務に取り組むようにしましょう。
④徐々に慣らしていくという意識を持つ

復職直後に持っていてほしい考え方は、「自分の身体を徐々に慣らしていく」です。
復職してすぐは負荷が掛かりやすいため、相当につらく感じられることがあるかもしれません。
しかし、そのストレスは出勤日数が増えていくことで軽減されていくものです。
復職前に行なった運動や、人と接する機会を増やしていったときの過程を思いだしてください。
仕事に慣れていくのもそれと同じで、徐々に身体と頭が就労後のリズムに慣れてくるものです。
復職直後にひどく疲れても、1日目、2日目と経過していくうちに楽になってくるということを忘れずにいましょう。
⑤通院を突然やめたり怠薬したりしないように注意する

最後に注意したいのは、「通院や服薬を突然やめたりしない」ということです。
復職して仕事に慣れてくると、「自分は元に戻った」と一人合点しがちです。
しかし、うつになると、思いがけないところで突然疲労を感じることが往々にしてあります。
今後うつの症状を感じたときのために、主治医やカウンセラーとの付き合いは継続するようにしましょう。
また、あなたの判断で薬の服用をやめたり減らしたりすることは避けてください。
主治医の先生はあなたの様子を見て、薬を出しています。
必要がなくなったように感じたのなら、それをきちんと相談してからやめるのがベターです。
職場復帰を確実なものにするためにも、通院や薬の服用を突然やめないように気をつけましょう。
うつから復職後に職場定着してきたら:休職を繰り返さない方法4選
職場に定着してきた人は、長く働くうちにまたうつがぶり返して休職に入らないかと不安に感じることもあるかと思います。
実際、厚生労働省のまとめた調査によると、休職した社員のうち5年以内にうつを再発して再休職を取った人は47.1%にのぼるという結果が出ています。
さらに1回目の休職期間が平均107日なのに対し、2回目は平均157日と1.5倍も伸びています。(出典:厚生労働省※PDF「主治医と産業医の連携に関する有効な手法の提案に関する研究」)
しかし、安心してください。
上述した資料のなかでは職場のフォローアップが課題であると説かれていましたが、あなた自身にもできることはあります。
休職を繰り返さないためにできること、意識した方がよいことを大まかに4つまとめましたので、順に見ていきましょう。
方法①無理はしないということだけは忘れずにいる

何よりも大切なのが、無理はしないという意識を持つことです。
職場定着が進んで働くことに慣れると、あなただけでなく周囲の同僚まで前と同じように働けるのだと思い、仕事を振ってくるようになります。
これは非常にありがたいことです。
しかし、気をよくして仕事を受けすぎると、また調子を崩す可能性があります。
復職者(=あなた)の側でも、割り振られた仕事が適切かどうかを判断することが重要です。
特に繁忙期や、あるいはその後に燃え尽き症候群のような状態になっていないかをセルフチェックするようにしましょう。
無理はしないという心がけをすることで、うつの再発を予防することにつながります。
方法②「新しい仕事」の可能性をつくっておく

うつを再発しないための方法として、「新しい仕事」の可能性をつくっておくというものがあります。
具体的には、スキルアップや副業をはじめてみるということが挙げられます。
新しい仕事の可能性をつくることで、万が一いまの職場がつらくなったときに別の道にスムーズに進めます。
実際に転職・独立をしなくても、「この職場じゃなくても大丈夫」という安心感を持つことができます。
その結果、自分を追い詰めずに済むというメリットが生まれます。
ただし、スキルアップや副業は、閑散期などで仕事に余裕がある時期におこなってください。
ダブルワークの忙しさが理由で調子を崩しては意味がありません。
精神的に余裕を持つためにも、新しい可能性をつくっておきましょう。
方法③信頼できる人間関係を築く

3番目は、信頼できる人間関係を築いておくということです。
うつが再発しそうになったときのために、日頃から気軽に話ができる相手を持っておきましょう。
まずは、家族、友人、職場の同僚などが考えられます。
実際にうつの状態を話すかは別として、相談相手になりうる存在がいるというだけで心に余裕ができます。
加えて、これまでの主治医やカウンセラー、復職時に活用していた就労移行支援事業所など、専門家の視点から意見をくれるような場所も持つようにしてください。
数は多くなくてよいので、信頼して話せるような人間関係を築くようにしましょう。
方法④弱っているときは医療機関に頼る

最後に、忘れずにいてほしいことは、弱ったときには医療機関に頼るということです。
復職したあとにまた気分が落ち込んだとき、うつの再発を認めたくないという気持ちが勝って、通院を避ける人がいます。
しかし、意固地になって診察を受けないでいると、うつを悪化させて、回復に時間がかかるという事態招きかねません。
弱っていると感じているときは、必ず医療機関を頼るようにしてください。
そのときは先述したように、代替医療や民間療法に頼るのではなく、専門機関を訪れるようにしましょう。
まとめ〜無理せず、一歩ずつ準備していきましょう〜

うつから復職する場合は、復職後までを見据えた準備が大切になってきます。
5章で述べたように、復職後のうつの再発を防ぐというのは大きな課題です。
復職前の準備の中には、あなたが復職後に調子を崩してもまたすぐに回復する方法を身につけるということも含まれています。
休職を繰り返さないためにも、気分が落ち込んだときに有効な行動や、うつからのリハビリ法も心がけるようにしましょう。
ただし、あなた一人だけでがんばる必要はありません。
主治医を適切に頼りつつ、家族や友人、職場の人などへも自分のことを相談しましょう。
そうすると、きっと復職はうまくいきます。
また、うつ病からの復職は同じ会社・同じ部署だけに限らず、転職という可能性も考えられます。
転職を考える際には、第一に主治医のアドバイスに従いつつ、就職エージェントや就労移行支援事業所など、うつ病の就労者に理解のある機関を頼ることをオススメします。
就職後の職場定着までサポートしてくれるところもありますので、有効に活用してください。
この記事が、うつからの復職を目指すあなたの一助となったなら幸いです。
【最後に改めて…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは82%
うつからの復職前にすべきことはありますか?
主な6行動として、「就労時と同じ生活リズムを定着させる」「どこかへ「通う」習慣をつける」「軽い運動をして体力をつける」「人と接する機会を増やしていく」「復職後の仕事の進め方を考えてみる」「復職後の業務について、上司や人事担当と面談して調整する」があります。詳細はこちらをご覧ください。
うつからの復職直後の注意点はありますか?
主な6点として、「自分ができる業務量・業務時間を少なめに見積もっておく」「自分の状態について上司や同僚に正しく理解してもらう」「休む時間をきちんと取る」「徐々に慣らしていくという意識を持つ」「通院を突然やめたり怠薬したりしないように注意する」があります。詳細はこちらをご覧ください。