障害年金とは? 受給対象や受給条件、受給額を細かく解説 | キズキビジネスカレッジ  

障害年金とは? 受給対象や受給条件、受給額を細かく解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

病気やケガをしたり、障害に悩んだりしているあなたは、障害年金とはどんな制度なのか気になっているところでしょう。

または、あなたのご家族が、病気・ケガ・障害に苦しんでいるのかもしれませんね。

障害年金はわかりにくいと感じている人や、申請する条件や方法がわからず戸惑っている人も多いでしょう。

この記事では、障害年金制度の概要や受給条件・受給額・手続きの流れをわかりやすく解説します。

障害年金制度への理解が深まるとスムーズに申請できるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ただし、紹介している内容は、法改正などによって変更となる可能性があります。

この記事は、障害年金を受給する目安としていただいたうえで、「実際のあなたと障害年金」については、お住まいの市町村役場・年金事務所・街角の年金相談センターなどに確認してみましょう。

なお、このコラムは、日本年金機構のウェブサイトを参考に執筆しています。(参考:日本年金機構「障害年金」

障害年金制度とは?

障害年金制度とは、病気・ケガ・障害によって生活に影響が出た場合に受け取れる年金制度です。

どのような制度で、どんな種類の年金があるのか詳しく解説します。(参考:日本年金機構「障害年金」

障害年金制度の概要

障害年金は、病気・ケガや先天的な障害などで仕事や生活などが制限されたときに受け取れる年金です。

「事故で足を失った」「生まれつき四肢が不自由」「知的障害がある」などのケースだけでなく、発達障害・精神疾患・生活習慣病なども受給の対象になります。

一般的な年金は高齢者にならなければ受け取れませんが、障害年金は現役世代でも受給できることが特徴です。

障害者手帳とは制度が異なるので、手帳を持っていない人でも受け取れる可能性があります

障害年金は、大きく分けて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。障害厚生年金に関しては、補足的に障害手当金という制度もあります。

  • 「障害基礎年金」:国民年金加入者が対象
  • 「障害厚生年金」:厚生年金加入者が対象

加入している保険や障害のレベルによって、受け取れる年金が異なる点に注意しましょう。

種類①障害基礎年金

障害基礎年金は、以下のいずれかの期間に初診日がある、病気・ケガにより一定レベル以上の障害のある状態になった人が受け取れる障害年金です。

  • 国民年金に加入している期間
  • 年金制度に加入していない20歳未満または60歳以上65歳未満の間

国民年金とは、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度のことです。(参考:日本年金機構「国民年金」

また初診日とは、障害の原因となった病気やケガになって、初めて医師の診療を受けた日のことです。

障害基礎年金は、初診日が「年金制度に加入していない期間」の場合も、20歳以上で日本に住んでいる人であれば受給できます(逆に言うと、20歳になるまでは受給できません)。

ここでいう「病気・ケガ」については、こちらで詳しく解説します。

種類②障害厚生年金

障害厚生年金は、厚生年金保険に加入している間に初診日がある、病気・ケガによって一定レベル以上の障害のある状態になった人が受け取れる障害年金です。

厚生年金保険とは、70歳未満の公務員・対象企業に勤務する従業員が加入する、国民年金に上乗せで支払う公的年金制度のことです。

障害厚生年金は、障害基礎年金に上乗せして受け取れることが特徴です。

種類③障害手当金

障害手当金は「障害年金」ではないのですが、関連する制度として紹介します。

障害手当金とは、厚生年金に加入している間に初診日がある、病気やケガによって、軽度の障害状態になった人が受け取れる一時金です。

初診日から5年以内に病気・ケガが治った場合や、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残った場合が支給対象です。

補足①:受給期間は病気や障害がある限り、死亡するまで

障害基礎年金・障害厚生年金の受給期間は、基本的に病気や障害がある限り死亡する月までです。

ただし、障害が軽くなって等級が変更されたり、仕事や生活に支障がないと判断されたり、一定レベル以上の所得になったりすると、減額や支給停止になることもあります。

障害年金には、更新の必要ない「永久認定」と、数年ごとに更新する「有限認定」があります。

「有限認定」の人は、日本年金機構に、定期的、数年ごとに、更新の診断書を提出する必要があります。

この更新の診断書に書かれた障害が、前回の診断書よりも改善されて基準に該当しなくなった場合には、翌月の支給分から停止されるのです。

実際に、「就労移行支援を利用中で、通院も安定している、ご自宅住まいの精神疾患の人」が受給を更新できなかったという話は、キズキビジネスカレッジ(KBC)の事例としてもないわけではありません。

病気や障害が快方に向かうのは喜ばしいことですが、それまでにあった収入がなくなる可能性があるという意味では、注意が必要でしょう。

補足②:別の年金の受給を開始すると障害年金の支給が停止されることがある

以下のような年金の受給を選択すると、障害年金の支給は停止されます(参考:日本年金機構「老齢年金」、日本年金機構「遺族年金」

  • 老齢年金:65歳以上になると受け取れる
  • 労災年金:労働中の病気やケガで障害が残ると受け取れる
  • 遺族年金:国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなったときに、被保険者により生計を維持されていた遺族が受け取れる

受給額や税金などを考えて、いずれかを選ぶ必要があります。社会保険労務士などに相談することで、よりよい選択ができると思います。

また障害の現況届・診断書を提出しないときも、支給が停止する、または受給する権利がなくなるので覚えておきましょう。

ほかにも、刑事施設などに拘禁されているときや少年院に収容されているとき、日本国内に住所を有しないときにも支給停止となるため、注意してください。(参考:「年金制度の仕組みと考え方_第12_障害年金」

障害年金を受給するための条件

障害年金を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります

この章では、その条件を解説するので、あなたやあなたの家族が受給できるか確認してみましょう。

なお、特記がない場合、障害基礎年金・障害厚生年金のいずれも受給条件は同じです。

条件①初診日に保険へ加入している

初診日に、年金保険料を支払って保険へ加入している人は、障害年金を受給できる可能性があります。

ただし、障害基礎年金については、初診日が「20歳未満」や「60歳以上65歳未満」の保険へ加入していない場合でも、受給できます。

なお、こちらで解説したように、初診日とは障害の原因である病気やケガになって、初めて医師の診療を受けた日です。

転院したり別の医師の治療を受けることになったりしても、最初の医師の診療を受けた日が初診日になります。

注意として、ご高齢になられたり、(子どもの頃に病院に連れていってくれた)ご家族が他界していたり、通院していた病院が閉鎖したりした方は、初診日が不明で手続きに苦慮することがあります。

初診日に該当しない人も、手続きをあきらめずに、こちらで紹介する相談先に話してみてください。

条件②一定レベル以上の障害がある

障害年金を受給するためには、一定レベル以上の障害があると認定されることが必須です。

受給の申請においては、「対象の病気やケガ」であるかどうかと、障害の重さが確認されます。

具体的には、障害等級1〜3級に該当することが求められます。

ただし、障害等級3級の人が受給できるのは障害厚生年金のみという点に注意しましょう。

障害等級1〜3級の病気やケガの例については、こちらを確認してみてください。

条件③保険料の納付要件を満たしている

以下のような保険料の納付要件を満たしていることも、障害年金を受給するための条件です。

  • 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
  • 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
  • 20歳前の人の場合には、保険料の納付要件はなし

保険料の納付要件を満たしているか確認する場合は、日本年金機構が運営するサービス「ねんきんネット」に登録するか、年金事務所に相談しましょう。

なお、国民年金に加入できない20歳未満の間に初診日がある人は、保険料の納付要件を満たす必要はありません。

障害年金を受給できる対象者

障害年金を受給できる対象者は、病気・ケガによる一定レベルの障害がある人です。

具体的な病名や障害の重さを詳しく紹介します。自分が対象者か判断する目安として活用してみてください。

対象①外部障害・精神障害・内部障害がある

外部障害・精神障害・内部障害がある人は、障害年金を受給できる可能性があります。

以下のように、目に見える障害だけでなく、一目見ただけではわからない障害も受給の対象です。

  • 外部障害(目に見えやすい障害)…眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など(ケガによるものも含む)
  • 精神障害…統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害、若年性アルツハイマーなど
  • 内部障害(目に見えにくい障害)…呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど

あくまで一例なので、ほかの病気・ケガであっても受給できる可能性があります。

障害の重さもあわせて、受給できるか知りたい方は後述する相談先に確認してみてください。

対象②障害等級1〜3級に該当する

障害年金を受給するためには、以下のように障害等級1〜3級に該当する必要があります(ただし、障害等級3級の人が受給できるのは障害厚生年金のみという点に注意しましょう)。(参考:日本年金機構「障害等級表」

  • 障害等級1級:他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度
  • 障害等級2級:必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度
  • 障害等級3級:労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度
たとえば視覚障害の障害等級は、以下のように分類されます。

  • 1級:両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの(障害者手帳の等級は1〜2級)
  • 2級:両眼の視力がそれぞれ0.04以上0.07以下のもの(障害者手帳の等級は3級)
  • 3級:両眼の視力がそれぞれ0.07以上0.1以下のもの(障害者手帳の4級~5級)

以下は、等級による支給について表にまとめたものです。

等級ごとの支給
  • 1級:障害基礎年金あり、障害厚生年金あり
  • 2級:障害基礎年金あり、障害厚生年金あり
  • 3級:障害基礎年金なし、障害厚生年金あり
  • 軽い障害:障害基礎年金なし、障害厚生年金の障害手当金のみ

上記も参考としつつ、実際のあなたが支給対象となるかどうかは、後述する申請先や社会保険労務士などに相談してみてください。

補足:就労中でも障害年金は受け取れる

障害年金は、就労している人でも受け取れます。

一般的な年金とは異なり、高齢者だけでなく現役世代も受給の対象です。また、職業訓練や就労移行支援の通所中でも受給可能です。

ただし障害基礎年金には、所得制限がある点に注意しましょう。

障害の状況を問わず、前年の所得が370.4万円を超えると年金額が2分の1に、472.1万円を超えた場合は支給停止になります。

扶養家族がいる人は、扶養家族1人につき所得制限の金額が38万円増えます。

なお、障害厚生年金には所得制限がありません。

障害年金の受給額

障害年金の受給額は、障害基礎年金と障害厚生年金で異なります

受給額を詳しく解説するので、自分ならいくら受け取れそうか確認してみましょう。

障害基礎年金は約79万〜99万円

障害基礎年金は、等級によって年間の金額が決まっています

2023年4月時点の受給額は、以下のとおりです。

等級ごとの受給額
  • 1級
  • 1956年(昭和31年)4月2日以後生まれ:99万3750円

    1956年(昭和31年)4月1日以前生まれ:99万750円

  • 2級
  • 1956年(昭和31年)4月2日以後生まれ:79万5000円

    1956年(昭和31年)4月1日以前生まれ:79万2600円

障害厚生年金は報酬比例の年金額

障害厚生年金は、以下の計算式で年金額が決まります。

  • 1級:(報酬比例の年金額)×1.25
  • 2級:(報酬比例の年金額)
  • 3級:(報酬比例の年金額)※最低保障額あり

障害等級1〜2級の人は、障害基礎年金に上乗せした金額を受け取れます

障害等級3級の人が受け取れるのは、障害厚生年金のみです。

ただし、生まれた時期によって、「報酬比例の年金額」の最低保証額が決まっています。

生年月日ごとの最低保証額
  • 1956年(昭和31年)4月2日以後生まれ:59万6300円
  • 1956年(昭和31年)4月1日以前生まれ:59万4500円

「報酬比例の年金額」とは、年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まる、障害厚生年金額の計算の基礎となる金額のことです。計算が複雑なので、ここでは省略します。

詳細は日本年金機構のウェブサイト「報酬比例部分」をご覧になるか、市区町村役所などにご確認ください。

配偶者や子どもがいると金額加算

障害基礎年金の場合は子どもの人数、障害厚生年金は配偶者の有無により、金額が加算されます。

子ども・配偶者のいずれも、障害年金を受給する人の収入で生活していることが条件です。

障害基礎年金は、子ども2人までは1人につき22万8700円、子どもが3人以上いる場合は1人につき7万6200円が加算されます。

なお、年金額が加算される対象は、18歳になって最初の3月31日までの子どもか、障害等級1〜2級の状態である20歳未満の子どもです。

障害厚生年金は、障害等級1〜2級の人に配偶者がいる場合、受給額に22万8700円が加算されます。

障害年金の申請手続き

障害年金の申請に関しては、事前に流れを把握しておくとスムーズに手続きできます。

手続きの流れや必要な書類を詳しく解説するため、ぜひ参考にしてくださいね

手続きの流れ

障害年金を申請する際は、主に以下の流れで手続きをします

障害年金申請から受給までの流れ
  1. 初診日(障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)の確認
  2. 市区町村役場や年金事務所に、受給要件や必要書類などを確認
  3. 年金事務所・年金相談センター・市町村役場の窓口などで、「年金請求書」を受け取り
  4. 必要書類を準備
  5. 書類を提出
  6. 日本年金機構による認定審査を通過後、年金証書やパンフレットを受け取り(請求から約3か月)
  7. 年金証書が届いてから1~2か月後に振り込み開始
  8. 「有限認定」の場合は、数年ごとに更新書類を提出

年金請求書や必要書類について、次で詳しく解説します。

必要な書類

障害年金の請求時に必要な書類は、以下の7点です。(参考:日本年金機構「障害年金を請求する方の手続き」

  • 年金請求書(年金事務所・年金相談センター・市町村役場の窓口で受け取り)
  • 基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類
  • 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか
  • 医師の診断書
  • 受診状況等証明書
  • 病歴・就労状況等申立書(障害の状態を補足する資料)
  • 銀行通帳
  • 印鑑

さらに、受給対象者に子どもがいる場合は、以下の書類も必要になります。

  • 子どもの戸籍謄本
  • 世帯全員の住民票の写し(マイナンバー記入の場合は不要)
  • 子どもの収入が確認できる書類(マイナンバー記入の場合や義務教育終了前の子どもは不要)
  • 医師の診断書(障害の状態にある20歳未満の子どもがいる場合に限る)

第三者が原因で障害の状態になった人は、以下の書類も用意してください。

  • 第三者行為事故状況届
  • 交通事故証明(事故証明が取れない人は、事故が確認できる書類)
  • 確認書
  • 損害賠償金の算定書
  • 同意書(損害保険会社などから届く)

そのほか、以下のように受給対象者の状況によって必要な書類があります

  • 請求者本人の所得証明書(20歳未満で障害の状態になった本人の収入を確認するため)
  • 年金加入期間確認通知書(共済組合に加入していた祈願がある人)
  • 年金証書(受給対象者やその配偶者がほかの公的年金を受け取っている人)
  • 身体障害者手帳・療育手帳(手帳を持っている人)
  • 被扶養者を扶養していたことがわかる書類(被扶養者がいる人)

症状や年齢などによって必要書類は異なります。

必ず、日本年金機構のウェブサイト「障害基礎年金を受けられるとき」や「障害厚生年金を受け取られるとき」に目を通したり、各種窓口に確認したりするようにしましょう。

補足①:障害年金の請求の種類

障害年金は、障害が確定した「障害認定日」から請求が可能です。

障害認定日は基本的に以下の日を指します。

  • 初診日から1年6か月を経過した日
  • 1年6か月以内に治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
  • 先天性障害の場合、20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)
  • 初診日が18歳6か月よりの場合、20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)

障害年金の請求は、障害認定日に応じて、以下の3種類があります。

  • 認定日請求(本来請求)
  • 遡及請求
  • 事後重症請求

障害認定日請求は、障害認定日に障害等級に該当する障害の状態である場合、障害認定日時点での診断書を取得して、障害認定日から1年以内に請求することを指します。

遡及請求は、障害認定日に障害等級に該当する障害の状態でありながらなんらかの理由で請求をしなかった場合、障害認定日から1年以上経過した後で障害認定日時点にさかのぼって請求することを指します。

事後重症請求は、障害認定日に受給対象の障害等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して、受給対象の障害等級に該当する状態になった場合、請求することを指します。ただし、65歳に達する日(65歳のお誕生日前日)を過ぎると請求することができません。

補足②:障害基礎年金の場合の年金請求書の受取と書類提出の注意点

お住まいの市区町村役場・年金事務所・「街角の年金相談センター」のいずれかに行き、「年金請求書」を受け取ります。

「年金請求書」に必要書類を添えて、住所地の市区町村役場の窓口に提出します。

補足③:障害厚生年金の場合の年金請求書の受取と書類提出の注意点

年金事務所か「街角の年金相談センター」のいずれかに行き、「年金請求書」を受け取ります。

「年金請求書」に必要書類を添えて、年金事務所か「街角の年金相談センター」に提出します。

補足④:初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合の年金請求書の受取と書類提出の注意点

年金請求書と必要書類の提出先は、年金事務所または街角の年金相談センターになります。

※第3号被保険者:国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)のこと。(参考:日本年金機構「第3号被保険者」

補足⑤:不支給の場合は再審査請求が可能

障害年金を申請して不支給と判定されたら、再審査請求ができます。

以下のようなケースは、不支給決定後すぐに再申請が可能です。

  • 支給申請をしたが不支給になった
  • 等級認定を受けられたが、想定より低い等級だった
  • 更新時に等級が下がったことで不支給になった

ただし、更新時に1級から2級に下がった人は、1年経過してからのみ再申請できます。

再審査請求は、以下の流れで行いましょう。

  • 診断書や病歴・就労状況等申立書などの書類を再度用意する
  • 必要書類を日本年金機構に提出する

なお、再審査請求では、初回の申請で提出した書類と、再審査請求時の書類に矛盾がないように気をつけてください

一貫性がないと、信用性に欠けると判断される可能性があります。

病気・ケガで利用できる障害年金以外の支援制度11選

障害年金以外にも、病気・ケガ・障害がある人に受給・還付されるお金があります。

以下、支援制度を紹介するので、自分や家族が利用できるか確認してみてください。(詳細や利用の可否は、市区町村の窓口や、加入している保険会社に相談してみることをオススメします)。

支援制度①傷病手当金

社会保険加入者が対象。被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができないとき、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、支給されるお金。(参考:厚生労働省「傷病手当金について」

支援制度②基本手当

雇用保険加入者が対象。求職者の失業中の生活の安定を図りつつ、求職活動を容易にすることを目的とし、被保険者であった人が離職した場合において、働く意思と能力を有し、求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない場合に支給されるお金。(参考:厚生労働省「基本手当について」

支援制度③労災年金

労働災害により障害が残った人や、被災して死亡した人の収入で生活していた家族が対象。通勤中や業務中の負傷・疾病により、障害が残ったり死亡したりしたら年金が支給されるお金。(参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「休業(補償)等給付傷病(補償)等年金の請求手続)」

支援制度④高額医療費制度

医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度(参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

支援制度⑤医療費控除

国民全員が対象。一定の額の医療費を支払ったとき、確定申告を行うことで、所得税及び復興特別所得税が還付される制度。(参考:国税庁「医療費を支払ったとき」

支援制度⑥重度心身障害者医療費助成制度

身体障害者手帳の1級・2級、愛の手帳の1度・2度、精神障害者保健福祉手帳1級の人が対象。医療保険の対象となる医療費や薬剤費などの自己負担額から、一部負担金を差し引いた金額を助成する制度。(参考:東京都福祉保健局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」

支援制度⑦自立支援医療

特定の精神障害を持つ人や身体障害者手帳を取得している人などが対象。うつ病で継続的な通院が必要な場合などに、医療費の自己負担額を軽減する公費負担の医療制度。(参考:東京都福祉保健局「自立支援医療(更生医療)」

支援制度⑧生活保護制度

世帯収入が、国が定めた基準である最低限度の生活費に満たない世帯が対象。生活に必要な最低限度のお金を持つことが困難な人が、お金を受給できる制度。(参考:厚生労働省「生活保護制度」

支援制度⑨特別障害者手当

精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者が対象。重度の障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給する制度。(参考:厚生労働省「特別障害者手当について」

支援制度⑩特別障害給付金制度

1986年3月以前の専業主婦や、1991年3月以前の学生など、年金加入が任意の時期に障害の状態になった人が対象。障害年金とは異なる「特別障害給付金」が毎月支払われる制度。(参考:日本年金機構「特別障害給付金制度」

支援制度⑪特別児童扶養手当

20歳未満で精神または身体に障害がある児童を、家庭で監護・養育している父母などの保護者が対象。児童の福祉増進を目的に、毎年4月・8月・12月の3回支給されるお金。(参考:厚生労働省「特別児童扶養手当について」

補足①:障害基礎年金と児童扶養手当は併用できる?

障害基礎年金と児童扶養手当は、併用が可能です。

以前は、「障害基礎年金の額」が「児童扶養手当の額」を上回ると、児童扶養手当が支給されませんでした。

しかし、2021年3月に改正されてからは、「児童扶養手当の額」が「障害年金の子ども分の加算額」を上回る場合、その差額を児童扶養手当として受給できます

障害基礎年金と児童扶養手当の両方を受給できる場合は、両方請求するのがおすすめです。

両方とも受給できるか不安な人は、こちらのいずれかに相談してみてください。(参考:厚生労働省「「児童扶養手当」が変わります」

補足②:障害年金を受け取ると労災年金は併用できる?

障害年金と労災年金は、両方を受け取れます

ただし、障害年金を受け取ると労災年金の額は調整されるので、受給できる金額は一部です。

労災年金を調整することで、被災前に支給されていた賃金より高額になることを防いでいます。

減額時は、調整された労災年金と厚生年金の合計額が、調整前の労災年金の金額より低くならないようにしているので安心してください。(参考:厚生労働省「障害(補償)年金や遺族(補償)年金などの労災年金と厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか。」

障害年金に関する相談先6選

障害年金は、受給する条件・金額・申請手続きなどに関しては、専門家へ相談するとスムーズに進められるためおすすめです。

確実に情報を集めてスムーズに手続きするためにも、以下のような専門家に相談してみてください。

相談先①市区町村の役場・役所

お住まいの市区町村の役場・役所の年金課なら、無料で相談できます

申請書類の受付もできるので、その場で手続きを進められる点が大きなメリットでしょう。

ただし、相談できるのは障害基礎年金に限られます。

また市区町村役場はさまざまな業務を行っているので、障害年金に関する知識が不十分なこともある点に注意しましょう。

相談先②日本年金機構・年金事務所

日本年金機構・年金事務所なら、障害基礎年金・障害厚生年金のいずれも無料で相談できます。

個別の悩みについて、正確な解答を得られる点が魅力です。

障害厚生年金であれば、申請書類の提出もできます。

さらに年金記録も確認できるため、保険料の納付要件を満たしているか不安な人はぜひ相談してみてください。

原則、予約が必要です。平日の8:30〜17:15の間に予約受付専用電話(0570-05-4890)に問い合わせましょう。

相談先③街角の年金相談センター

日本年金機構の委託を受けて、全国社会保険労務士会連合会が運営している街角の年金相談センターは、日本年金機構・年金事務所と同程度に、個別の悩みを無料で相談できます。一部センターを除いて、基本的に予約は不要です。

スケジュールを立てるのが苦手な人でも、相談しやすいでしょう。

ただし街角の年金相談センターは、栃木・山梨・鳥取・島根・高知・沖縄といった地域にはありません。

都市部に多いので、近くにある人はぜひ利用してみてください。

相談先④社会保険労務士事務所

社会保険労務士事務所は、国家資格を持った専門家に相談できます。

費用は有料ですが、申請を代行してくれる点が魅力です。

年金事務所や医療機関へ行くことや書類作成など、負担がかかることをサポートしてもらえます。

また専門家が書類を用意するため、不備をなくして受給できる可能性を高くしてくれるのも嬉しいポイントです。

申請を任せて治療に専念したい人は、社会保険労務士事務所への相談も検討してみてください。

相談先⑤民間の年金サポートセンター

障害年金について相談するなら、民間企業が行う年金サポートセンターも選択肢のひとつです。

年金サポートセンターによって、無料電話相談・無料出張相談・社会保険労務士の紹介などのサービスを受けられます

有料で、代行申請を受け付けている企業もあります。

お住まいの地域に相談できる専門家がいない場合や、気軽に相談したいときは、民間の年金サポートセンターがおすすめです。

相談先⑥キズキビジネスカレッジ(KBC)

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)でも、KBC利用者さんからの相談を受け付けています

この記事をお読みのあなたも、次のようなことをお知りになりたい場合は、お気軽にご連絡ください。

  • 障害年金を受給しながらの就職活動の例
  • 障害年金に関わらず、病気・ケガ・障害がある状態での就職活動方法

利用を開始した人であれば、「受給の条件を満たしているか」「手続きについて詳しく知りたい」といった直接的な相談も承っています。

まとめ:障害年金について、詳しくは各種相談先に確認しましょう

あらためて、障害年金は、病気やケガで障害のある状態になり、生活や仕事に支障が出たときに受給できる年金制度です。高齢者だけでなく、就労中の現役世代の人でも受給できます。

ただし、最初にもお伝えしたとおり、年金に関する法律は、頻繁に変更する可能性があります。

この記事は、「病気・ケガ・障害で働けなくなったら障害年金などの支援制度を利用できるかもしれない」と安心する材料のひとつとしてください。

「実際にあなたが障害年金を受給できるのか」「あなたが受給できる金額はいくらか」ということは、市区町村役場・日本年金機構・年金事務所など各種相談先へ確認してみましょう。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)でも、障害年金の相談も受け付けているので、お気軽にご相談ください。

よくある質問(1)

障害年金の受給期間を教えてください。

障害基礎年金・障害厚生年金の受給期間は、基本的に病気や障害がある限り死亡する月までです。

詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

障害年金の受給条件を知りたいです。

次の条件に全て当てはまる人が受給できます。

  1. 初診日に保険へ加入している
  2. 一定レベル以上の障害がある
  3. 保険料の納付要件を満たしている

詳細はこちらをご覧ください。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

執筆内田青子

うちだ・あおこ。1982年生まれ。上智大学文学部卒。
大学卒業後、百貨店勤務などいくつかの仕事を経た後、2018年から発達障害・不登校・中退経験者などのための個別指導塾・キズキ共育塾で講師として国語(現代文・古文・漢文)と小論文を指導し、主任講師となる。
並行して、聖徳大学通信教育部心理学科を卒業。現在、公認心理師の資格取得を目指して、発達障害や不登校支援についてさらに勉強中。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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