就労継続支援B型とは?概要・作業内容・事業所選びのコツなどを、10年間の通所経験者が紹介!

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の高見洋平です。あなたは障害・病気・ケガなどで一般就労が難しいなどの事情があって、就労継続支援B型事業所について知りたいのではないでしょうか。
「就労継続支援B型事業所ではどんなお仕事をしているの?」「私も入所できるの?」と気になると思います。
私も大学卒業後、発達障害の特性が強く、一般就労が難しかったことを理由に、2011年から10年間にわたって就労継続支援B型事業所に通所していました。
この記事では、次のようなことを解説します。
この記事で就労継続支援B型についての知識が広まり、あなたらしい働き方が見つかるきっかけになれば幸いです。
【本文に入る前に…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは82%
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→
目次
就労継続支援B型の概要

この章では、就労継続支援B型の利用対象者と利用額、利用手続きについて見ていきましょう。
①就労継続支援B型とは
就労継続支援B型とは、障害や病気・ケガなどで一般就労が難しい人へ、軽作業や生産活動の機会を提供する福祉サービスです。
障害者総合支援法に基づいた福祉サービスで、雇用契約を結ばずに自分の体調に合わせて働くことができます(後でご紹介するとおり、作業に応じて「工賃」を受け取ることができます)。作業内容は、商品の制作や調理、清掃など、事業所ごとに様々です。
②利用対象者
就労継続支援B型のサービスを利用できるのは、「一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である」人です。(出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」)
具体的には、次のような例があります。(参考:独立行政法人福祉医療機構「就労継続支援B型(非雇用型)」)
- 就労経験がある方であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった方
- 就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された方
- ①②に該当しない方であって、50歳に達している方または障害基礎年金1級受給者
- 障害者支援施設に入所する方については、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画の作成の手続きを経た上で、市区町村が利用の組み合わせの必要性を認めた方
自治体ごとに就労継続支援B型の利用条件は若干違うので、各自治体の障害福祉窓口へ相談するとよいでしょう。
なお、特別支援学校卒業後に、就労継続支援B型のサービスを受けることを検討されている方は、一般就労の経験または就労移行支援事業所でのアセスメント(※)が必要です。
就労移行事業所が行う、利用希望者の作業能力・集中力・就労意欲などを把握する調査のこと。
③利用料
就労継続支援B型を利用するためには、利用料が必要です。少しややこしいのですが、「就労継続支援B型が利用者に払う工賃」と、「利用者が就労継続支援B型に払う利用料」の、双方向の支払いがあるということです。
利用料は、「本人と配偶者の所得に応じた上限額」と「事業所に通った日数」で計算されます。本人が18歳以上であれば、同居家族の所得は対象となりません。
以下、利用料の表をご覧ください。(参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」)
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 | 収入の目安 |
---|---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 | 年収100万~200万円以下 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 | 年収100万~200万円以下 |
一般1 | 市町村民税課税世帯 (所得割16万円未満) |
9,300円 | 年収600万円以下 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 | 年収600万円以上 |
入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
所得の関係で利用料を払えなくても、それを気にする必要はありません(そもそも、そうした方々が利用できるために所得ごとの利用料が設定されています)。また、明確なソースがなくて恐縮ですが、「就労継続支援B型の利用者」の多くは、上記のうち「生活保護」や「低所得」の区分に入ると言われています。つまり利用料が無料の層が多いということです。
就労継続支援B型事業所の作業内容と工賃月額

就労継続支援B型事業所での作業内容や1か月の工賃(給料)について見ていきましょう。
①作業内容の主な例
就労継続支援B型の作業内容は、事業所ごとに多種多様です。主な例を挙げると以下のとおりです。
- 手工芸品作り
- 軽作業
- カフェやレストランの接客
- PC作業
- 清掃
- ピッキング作業
- 部品加工
- クリーニング
- 農作業
さらに近年では、次のようなクリエイティブな分野に特化した事業所も増えてきています。
- 動画編集
- ウェブデザイン
- ウェブサイト作成
- モデリング(CG作成)
- eスポーツ
- アニメ声優
- コーヒーの焙煎
②工賃月額
就労継続支援B型は、雇用契約を結ばない働き方です。そのため、作業の対価は「工賃」という名目で支払われます。また、「雇用」ではないため、最低賃金の適用はありません。
令和2年度(2020年度)の全国の平均工賃月額は15,776円です。(出典:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」)
事業所ごとに工賃月額は違いがあり、また、事業所が作業を実施する中で得た収入、利用者個人の作業時間、作業内容によっても大きく異なります。
就労継続支援B型事業所を探す3個の方法

就労継続支援B型事業所を探す方法を見ていきましょう。
以下、詳細を解説します。
方法①検索サイト
Googleなどで、『就労継続支援B型検索サイト』と検索すると、就労継続支援B型事業所の検索サイトを見つけることができます。地域や作業内容などの知りたい情報が詳細できます。
サイトによっては、利用者や職員のインタビューも掲載されており、事業所の雰囲気を知るヒントになります。
方法②自治体の障害福祉窓口
就労継続支援B型をはじめとした障害福祉サービスの窓口は、自治体(お住まいの市区町村役所)の障害福祉担当課となっています。
就労継続支援B型事業所に詳しい担当者に相談することができ、事業所への連絡や通所の手続きなどの支援も受けることができます。
方法③障害福祉サービスの相談機関
相談機関の主な例は次のとおりです。
上記では、就労継続支援B型事業所への通所の相談だけでなく、通所決定後も生活面のサポートを受けることができます。
就労継続支援B型の利用手続き

就労継続支援B型事業所を正式利用するまでの手続き方法は、以下のようになります。
- 事業所見学・体験利用
- 事業所に利用したい旨を伝える
【並行して】
自治体の窓口に利用申請 - サービス利用計画案の提出
(1)相談事業所でサービス等利用計画案作成・提出
【または】
(2)個人でセルフプラン作成・提出 - 自治体からの障害区分認定調査
【問題なければ】
サービス利用受給者証の受け取り - 事業所と利用契約を締結
- 利用開始
大前提として、「病院とのつながりを保つ」ことは意識しておきましょう。
それぞれ解説していきます。
①まずは興味を持った事業所で見学・体験利用をしてみましょう。事業所の雰囲気や仕事内容をつかむための大きな参考になります。
②正式利用したい事業所が決まれば、事業所にその旨を伝えましょう。並行して、自治体(お住まいの市区町村役所)の窓口で利用を申し込みます。
③申し込む際には、事業所でどのような福祉サービスを受けるのかが書かれたサービス利用計画案の提出が必要です。
サービス利用計画案は相談支援事業者(※)に作成してもらうこともできますし、「セルフプラン」という形で個人で作成することもできます。
④記載内容に間違いなどがなければ、自治体の障害区分認定調査を経て、サービス利用受給者証が発行されます。
⑤サービス利用受給者証を持って、希望する事業所に行きましょう。事業所と利用契約を結び、⑥利用開始となります。
この場合の相談支援とは、「計画相談支援・障害児相談支援」と言われるものです。(B型作業所などの)サービス等利用計画についての相談及び作成などの支援が必要と認められる場合に、障害者の自立した生活を支え、障害者の抱える課題の解決や適切なサービス利用に向けて、ケアマネジメントによりきめ細かく支援します。お近くの事業者は、インターネットで「お住まいの市区町村名(または都道府県名)+相談支援事業者」などと検索すると見つかると思います。(参考:厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」)
就労継続支援B型を利用する3つのメリット

ここでは就労継続支援B型を利用する3つのメリットをご紹介します。
メリット①週に1日1時間からの利用が可能
就労継続支援B型は体調に合わせて通うことができるので、週に1日1時間だけの利用もできます。
「生活リズムを整える目的で短時間利用から通い始めて日数や時間数を増やしていく」のもオススメの利用方法です。
メリット②専門資格を持ったスタッフが多い
就労継続支援B型のスタッフには、社会福祉士や精神保健福祉士などの専門資格を持った人たちが多いです。
専門的な知見から、利用者の希望や能力を考えた作業内容のプランを立ててくれます。
メリット③友達作りや人間関係の経験を積むことができる
就労継続支援B型では、様々な障害やバックボーンを持った仲間に出会えます。友達作りや人間関係の経験を積むことができます。
就労継続支援B型を利用するときの2つの注意点

ここでは就労継続支援B型を利用する2つの注意点をご紹介します。「あなたが就労継続支援B型に何を求めるか」にもよりますが、検討することをオススメします。
注意点①工賃が安い
就労継続支援B型は、「雇用契約を結ばない福祉サービス」で「自由度が高い」ため、工賃は安くなっています(最低賃金の適用もありません)。前述したように、月額平均工賃は15,776円(令和2年・2020年度)です。
特に「一人暮らしをしたい」「経済的に自立したい」と思っている人は、工賃だけでは難しいでしょう。
「実際のあなた」が利用できそうな他の経済的な支援についても、合わせて事業所や役所に相談することをオススメします。
経済的な支援の例は、コラム「うつ病の人が利用できる7つの経済的支援と6つの就職支援」をご覧ください(主にはうつ病の人に向けた記事ですが、各支援そのものの内容はどなたにもある程度参考になると思います)。
注意点②単純作業が多い
作業内容は、事業所によって多様である一方で、単純作業や軽作業が多いことも事実です。
特に「クリエイティブなことをしたい」「自分でいろいろ考えながら仕事をしたい」と思う人にとっては、物足りなさを感じる場合があるかもしれません。
「現在や将来に、自分がしたいこと」「体調的に、現在の自分ができそうなこと」などと合わせて、事業所選びの際には作業内容を確認しましょう。
ただし、次のような可能性も、もちろんあります。
- 単純作業は向いていないと思っていたけれど、実際にやってみたら、向いていた・好きだった
- 同、工夫や改善が得意だとわかった
- 同、その作業所での内容はよかった
- やっぱり向いていなかったけど、全体的にはその作業所が過ごしやすかった
ですので、「向いてないな」と思う作業がメインだとしても、体験利用の際に試してみるのはアリだと思います。
就労継続支援B型事業所の選び方・6つの基準
ここからは就労継続支援B型事業所の選び方を、6つの基準で説明します。
ただしあくまで一般論です。「実際のあなた」が何を重視しているのか、他のサポートはあるかなども検討して、自治体の障害福祉窓口や相談機関に相談しながら、あなたに合う事業所を探してみてください(結果として、A型、就労移行支援事業所、他のサポートなどが適している可能性もあります)。
基準①あなたの障害種別が事業所の支援対象になっているかどうか

1点目は「あなたの障害種別が、その事業所の支援対象になっているかどうか」です。
就労継続支援B型には、「多くの病気・障害を対象としている事業所」と「一部のみを対象とした事業所」があります。
検索サイトで事業所のごとの支援対象の障害種別を検索できますので、事前に検索しておくことをオススメします。
基準②希望している作業ができるかどうか
2点目は「希望している作業ができるかどうか」です。
前述したとおり、就労継続支援B型は、事業所によって作業内容が多様です。
また、希望する作業に専念できる事業所と、就労のためのスキル獲得という観点から希望以外の作業をすることを求められる事業所にわかれます。
次のように、事前に希望する作業ができるのかを確認しておくとよいでしょう
- 製菓作業に専念したい
- 人生経験を積むために、PC作業でも清掃でもなんでもやりたい
ただしこれも先述のとおり、「体験利用で、興味がないことも試しにやってみる」ことにも、検討の余地はあります。
基準③体調に見合った作業ができるかどうか
3点目は「体調に見合った作業ができるかどうか」です。
障害・病気・ケガの状況によっては、長時間の作業や心身に負担のかかりやすい作業だと、疲労が溜まっていくことがあります。
事前に自身の体調を相談機関や事業所のスタッフに伝え、体調に見合った作業ができるかどうかを確認しておくとよいでしょう。
基準④事業所の雰囲気が自分と合うかどうか

4点目は「事業所の雰囲気が自分と合うかどうか」です。
就労継続支援B型は雰囲気も事業所によって様々です。
にぎやかに会話をしながら作業をしている事業所もあれば、静かに集中して作業をしている事業所もあります。利用者や職員の性格も様々です。
どんな雰囲気の事業所で作業をしていきたいかを、自分の性格と照らし合わせて考えておくとよいでしょう。
基準⑤通所方法や移動時間が自分に向いているかどうか
5点目は「通所方法や移動時間が自分に向いているかどうか」です。
一般的には、「満員電車の利用」や「長時間の移動」は心身の負担が大きくなり、継続的な通所が難しくなることが考えられます。
ただし逆に、「家の近くの事業所には行きたくない」「移動時間中に心の準備を整えたい」なども考えられます。
自宅から事業所までの移動方法、距離・時間、道順などを事前に確認して、自分に向いていそうかを考えておくとよいでしょう。
関連して、事業所の周りや通所途中の環境も確認しておくことをオススメします。
基準⑥自分の意思で進路変更しやすいかどうか
6点目は「自分の意思で進路変更をしやすいかどうか」です。
就労継続支援B型事業所の利用は、利用者が時々の希望や障害・病気・ケガの状況に応じて決めることができます。
また、ある就労継続支援B型事業所での経験を積み重ねた後の進路には、別のB型事業所に移ったり、A型事業所や就労移行支援事業所に転所したり、障害者採用で働いたり、などが考えられます。
事業所によっては、そうした進路変更をすぐには認めないところがあるのです。
理由としては、「その事業所としては、同じ事業所を継続することが利用者のためになる思っている」「作業人数を確保しておきたい」などがあるようです。
「同じ事業所の継続」と「進路の変更」のどちらがよいかは一概には言えません。ですが、一般論としては、「不本意な継続」はない方が望ましいでしょう。
自分の意思での進路変更をしやすいかどうかを、相談機関や事業所のスタッフに聞いておくとよいでしょう。
「A型」「就労移行支援」との違い

就労継続支援B型と似た名前・仕組みのものに、「就労継続支援A型」と「就労移行支援」があります。以下、それぞれの特徴や違いをカンタンに解説します。
①就労継続支援A型とは
就労継続支援A型では、利用者と事業所は、雇用契約を結びます。
そのため、労働の対価の名目は「工賃」ではなく「賃金(給与・給料)」となります。また、最低賃金以上の賃金が保障されています。
就労継続支援A型では、B型よりも、決められた時間を守ったり、チームワークで仕事を遂行したりすることが求められます。
就労継続支援A型の解説記事は、近日公開予定です。
②就労移行支援事業所とは
「就労移行支援事業所」とは、特定の病気・障害(うつ病や発達障害など)の人向けに、就労に向けた支援を行う団体のことです(この記事の運営元であるキズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)。
就労移行支援事業所では、次のような幅広い支援を受けられます(具体的な支援内容は事業所によって異なります)。
- 仕事で活かせる知識・技能の習得
- 仕事や私生活で活かせるメンタル面のサポート
- 「どのような仕事や働き方が向いているのか」のアドバイス
- 転職先候補の業務や雰囲気を体験できる「職場体験実習(インターン)」の紹介
- 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
- 面接対策
- 転職後の職場定着支援
利用の可否は、お住まいの自治体が、下記などに基づいて判断します。
- 病気・障害の有無(身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある)
- 年齢(原則として、18歳以上で満65歳未満の方)
- 就業状況(離職中の方(例外あり))
- 一般企業・公的団体への就職や仕事での独立が可能と見込まれる
※上記を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です
就労移行支援事業所の詳細は、コラム「就労移行支援とは?サービス内容から就労継続支援との違いまで解説」をご覧ください。
③A型・B型・就労移行支援の比較
就労継続支援と就労移行支援は、サービスの目的が、下記のように異なります。
- 就労移行事業所:就職を目指すためのスキルの提供
- 就労継続支援(A型・B型):就労機会の提供
そのほかの違いにも、次のようなものがあります。
就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 | |
---|---|---|---|
雇用契約 | あり | なし | なし |
賃金 (工賃) |
給料の支払いあり (最低賃金以上) |
工賃の支払いあり (最低賃金非適用) |
支払いなし |
利用可能期間 | 定めなし | 定めなし | 最長24か月 |
利用可能年齢 | 原則18歳~65歳 | 年齢制限なし | 原則18歳~65歳 |
原則として、就労継続支援事業所と就労移行支援事業所との併用はできません。
ですが、就労継続支援事業所を長年利用してきた者が就労移行支援事業所への通所を希望した場合には、環境に慣れるまで併用を認めている自治体のケースもあります。
参考:就労継続支援B型事業所に10年通所して

最初にお伝えしたとおり、筆者自身にも就労継続支援B型事業所の利用経験があります(現在は、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジを利用しています)。
参考として、私自身の経験をお伝えします。
私は2011年からの11年間、一つの就労継続支援B型事業所に通所していました。
学生時代に発達障害と診断されて、卒業してからも2年ほど相談機関に通いながら障害者就労をしていたものの、仕事のしきたりや上司の指導にあわせられず、すぐに辞めた仕事がほとんどでした。
障害者就労が上手くいかない中で、母に「地元のB型事業所に通所してみれば」とすすめられ、通所することになった次第です。
私自身、B型事業所は重度の障害の方が通うイメージで、私には合わないと思っていました。
ところが体験してみると、以下のような活き活きと働く先輩ばかりでした。
- 利用者のリーダー的存在で、カフェのコーヒーマスターのAさん(脳性まひ・聴覚障害)
- 寡黙ながらもシール貼りやお風呂掃除が早く、俳優のエキストラ経験もあるBさん(知的障害・聴覚障害)
- かわいいキャラクターと食べることが大好きで、編み物が上手なCさん(知的障害・統合失調症)
そんな方々を見て、「まずは自分のできることからコツコツと働こう」と思い、通所を決めました。
通所する年月が経つうちに気づいたのは、失敗を繰り返しながら成長することの大切さです。
私は、仕事が忙しくて頭が回らないときや、個人的に気に入らない言い方で注意されたとき、たまにパニックになって怒っていました。
怒った後は後悔しがちでしたが、先輩や職員さんは私をとがめることなく、すぐに仕事に復帰させてくださいました。
失敗を恐れ続けてきた私にとって、この環境は大きかったです。
そのように接してくれた理由は、はっきりとは聞いていません。ですが、少しでも成長して社会の中で働けるように考えてくださっていたのではないかと感じています。
怒りのコントロールにまだ課題は残っていますが、ストレスや人の反応に対して冷静に対処できるようになりました。
また、思い出すのは、事業所の代表の「あなたはこれからどんな生活をしたいかを教えてください」という言葉です。
B型事業所から卒業するときは寂しかったですが、今後仕事をしていく上で必要な力をつけて成長したくKBCへの通所を続けています。
B型事業所での11年間は私にとってかけがえのない日々です。
まとめ

就労継続支援B型事業所の利用対象者や利用料、作業内容、探し方、選び方を解説してきましたが、参考になりましたでしょうか。
就労継続支援B型という難しい名称で、なかなかイメージがわきにくいかもしれません。ですが、あなたが今できることを繰り返しながらゆっくりとステップアップしていく場所だと考えれば少しわかりやすくなるかもしれません。
その時々であなたの作業能力や生活の現状を客観的に振り返りながら、これからつけたい力や希望する生活を思い描いて、引き続き利用するのか新たな進路を選ぶのかを考えるとよいでしょう。
この記事があなたの人生がよりよい一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
【最後に改めて…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは82%
B型作業所を利用するメリットを知りたいです。
一般論として、次の3点が挙げられます。(1)週に1日1時間からの利用が可能、(2)専門資格を持ったスタッフが多い、(3)友達作りや人間関係の経験を積むことができる。詳細はこちらをご覧ください。
B型作業所を利用する際の注意点を知りたいです
一般論として、次の2点が挙げられます。(1)工賃が安い、(2)単純作業が多い。詳細はこちらをご覧ください。