休職中の過ごし方とは?有意義に過ごす9のコツと復職前後の対応について

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジの寺田淳平です。
あなたは、休職中の過ごし方でお悩みではありませんか?
次のような不安をお持ちの方は、珍しくありません。
- 体調不良で休職を検討しているけれど、休職中の過ごし方がわからない
- すでに休職中だけど、回復・復職・復職後のために必要な対応がわからない
- 休職後は、復職と転職のどちらを選ぶか迷っている
そこでこの記事では、実際にうつ病で10か月の休職を経験した私の視点から、休職中の過ごし方を徹底解説いたします。
休職中の過ごし方を知りたいという方はぜひ一度、読んでみてください。
また、休職中の過ごし方と併せて、復職後の人事の対応もご紹介いたします。
3,500人規模の勤務先で、人事担当を務めた私の経験に基づく内容ですので、休職中のご本人だけでなく、ご家族や休職中の部下を持つ方も、ぜひ参考にしてみてください。
【本文に入る前に…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは82%
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
執筆寺田淳平
てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→
目次
休職とは何か?
休職とは、雇用契約を維持したまま労働を免除、または停止させる措置のことです。(参考:大阪府※PDF『休職と休業33』、友常祐介『正しく知る 会社「うつ」の治し方・接し方』)
法律の定めとは別に、企業が独自に定める就業規則に従って適用されます。
原則的には、就労できない相当な事由を示す文書の提出など、いくつかの条件を満たす必要があります。
具体的な休職の条件として、以下の3つを掲げている企業が多いです。
- 持病や疾患といった私傷病を理由とする本人の申し出がある
- 欠勤が〇日以上継続する
- (私傷病の場合)休養を求める医師の診断書がある
なお、上記条件を満たすような場合、本人が休職を拒否しても、お勤め先が休職を命じることがあります。
休職を検討されている方は、お勤め先の就業規則を確認してみてください。
①休職までの手続き

ここでは、休職にあたっての一般的な手続きをお話しします。(参考:厚生労働省「労働災害が発生したとき」)
先述したように、持病や疾患といった私傷病による休職では、原則として診断書が必要になります。
まずは、かかりつけの病院やクリニックで、専門医による診察を受けましょう。
診断書の発行までには、初診から数か月かかる場合もありますので、不調を感じた際には早めに受診するとよいでしょう。
診断書が発行されたら、上司や人事担当者など、お勤め先の定めるルートへ面談のアポイントメントを取り、休職を申請します。
診断書には相応の効力がありますので、基本的には休職が認められるはずです。
場合によっては、休職に代わる選択肢として、配置転換などの打診が行われることもあります。
また、私傷病の原因が就業中の事故やケガ、明らかなハラスメントなどにある場合、労働災害の申請についても併せて説明されます。
原則的には、お勤め先の書式にのっとって申請書を提出し、休職の手続きが完了するはずです。
②休職前に確認すべき3つのこと

休職をする前に、以下の3点を確認するようにしましょう。
- 休職の期間
- 給与支給の有無
- お勤め先との連絡方法
これらを順に説明していきます。
①休職の期間
休職をする際には、まず「休職の期間」を確認してください。
先述したように、休職制度はお勤め先ごとの就業規則によって定められています。
休職の限度期間が半年間の場合もあれば、一年以上に渡るお勤め先もあります。
また、後述する給与支給の有無とともに、正規か非正規かなどの職位によって、内容が異なる場合もあります。
確認する際には、ご自身で規定を検めるだけでなく、人事担当者に詳しく確認をしましょう。
治療に専念するためにも、休職の取得可能な期間を把握することが大切です。
②給与支給の有無
休職する際の確認事項として、「給与支給の有無」も重要なポイントです。
お勤め先によっては支給のないところもありますので、特に注意が必要でしょう。
支給がある場合でも、例えば「6ヶ月までは満額、それ以降は50%をカットする」などの決まりを設けている場合があります。
また、支給がない場合には、健康保険組合から傷病手当金を受け取れる場合もあります。
就業規則だけではなく、保険組合にも確認を取りましょう。
③お勤め先との連絡方法
あらかじめ、人事担当者との間で「休職中の連絡方法」を決めておきましょう。
お勤め先との連絡方法が定まっていれば、休職中に何か気がかりなことがあっても安心です。
また、お勤め先としても、休職者の状況を把握しておかなくてはなりません。
連絡方法だけではなく、状況報告のタイミングなども決めておくことをオススメします。
具体的には、定期的な通院や診断書の有効期限が切れるタイミングで、受診結果や体調について報告することが多いです。
連絡方法は電話でもメールでも構いません。
あなたの状況に合わせた連絡しやすい手段を、お勤め先の担当者へ提案してみてください。
休職中の過ごし方について:有意義に過ごすコツ9選
ここからは休職中の過ごし方について、コツを9つにわけて紹介いたします。実際に私が休職中に実戦して、よかったと思えるものを厳選しました。
- コツ①自己判断で通院・服薬をやめない
- コツ②体調の回復を優先する
- コツ③自分なりのリラックス方法を探す
- コツ④就業時の生活リズムを保つ
- コツ⑤どこかへ通う習慣をつくる
- コツ⑥休職前の体力を維持する
- コツ⑦休職に至った原因を洗いだす
- コツ⑧復職後に実践したい仕事術を考える
- コツ⑨状況次第で転職に向けて動きはじめる
ただし大前提として、「かかりつけ医に相談すること」「焦らずに自分の体調と相談しながら実践していくこと」の2点を守るようにしましょう。
傷病による休職中は判断力や注意力が低下しているため、自己判断のみで行動すると、治療の妨げになる場合があります。
休職期間を有意義に過ごすために、焦らず、医者などの専門家を頼ることを原則として実践しましょう。(参考:五十嵐良雄『うつのリワークプログラム 職場復帰を支え、再休職を防ぐ!』、秋山剛『うつ病の人の職場復帰を成功させる本』)
コツ①自己判断で通院・服薬をやめない

1つ目のコツは、「自己判断で通院・服薬をやめない」ことです。
体調が戻ってくると、「自分はもう大丈夫」と一人合点する人がいます。
しかし、休職中は体力が落ちているため、思いがけないところで突然、疲労を感じてダウンするケースがあるのです。
そのため、元気になってきたからといって、自己判断で通院をやめたり、薬の服用をやめたりすることは避けてください。
主治医の先生はあなたの様子を見て、薬を処方しています。
通院・服薬の必要がないと感じても、主治医が通院・服薬の継続が必要と判断したら、必ずその診断を仰ぐようにしてください。
体調を安定させるためにも、通院・服薬を突然やめないようにしましょう(治療方針が合わない場合は、「通院自体をやめるのではなく、別の病院に話を聞く(セカンドオピニオンを求める)ようにしましょう)。
コツ②体調の回復を優先する
2つ目に大切なのは、「体調の回復を優先する」という姿勢です。
休職中は新しいことに着手したり、旅行へ出たりと、アクティブに行動する方もいます。
それ自体は、問題のあることではありません。
しかし、主治医から体力が戻っていないと判断された場合は、そのような行動を控えて、安静・加療を優先しましょう。
休職中は、主治医の判断を仰ぐことを最優先にして、体調の回復に専念してください。
ちなみに、メンタル系の疾患の場合は、「気が楽になってきたかどうか」が回復してきたかどうかを見分ける方法です。
「気が楽になってきた」というと抽象的ですが、具体的には「以下の精神状態を保っていられるか」がポイントになります。
- 自分はもう取り返しがつかない、などと深刻視しなくなった
- 休職の機会を活かして、すこしずつ変わっていこうと前向きになった
- 元気になったらこれをしたい、と回復後のことが自然と思い浮かぶようになった
体調の回復を優先するとともに、上記の意味で「気が楽になってきたかどうか」を折に触れて主治医と確認するようにしましょう。
コツ③自分なりのリラックス方法を探す

次のコツは、「自分なりのリラックス方法を探す」ことです。
特に、「副交感神経」を意識して行動する習慣を身につけることがオススメです。(参考:原田賢『忙しいビジネスパーソンのための自律神経整え方BOOK』)
副交感神経とは、内臓や血管といった体内環境の働きをコントロールする「自律神経」の一種で、心身をリラックスさせる役割を担っています。
以下は、副交感神経を刺激できる習慣の代表例です。
- 深呼吸
- 長時間の入浴
- 瞑想
- アロマテラピー
- ヨガ
休職中に副交感神経を意識したリラックス方法を模索することで、職場復帰をした際の症状緩和や、再発防止につなげることできます。
コツ④就業時の生活リズムを保つ
4点目は、「就業時の生活リズムを保つ」です。
休職開始直後は、疲労や倦怠感から、日中も眠っていることが多いかと思います。
最初は体力の回復を優先すべきですので、「食事の時間が乱れる」「起床の時間にばらつきが出る」といったことも問題はありません。
しかし、起床や就寝の時間が整って体力が戻りはじめたら、徐々に生活リズムを就業時へ近づけることがオススメです。
そして、基礎的な生活リズムを保つことができたら、午前と午後にそれぞれ軽作業をしてみましょう。
少しでも疲れを感じたら、休憩を挟むことが軽作業を続けるコツです。
具体的には、以下のような軽作業が挙げられます。
- 軽い散歩に出かける
- 時間を決めて読書をする
- 文章の書き取りや音読をする
- 家の掃除や机の上の整理をする
- 四則演算などの簡単な計算問題を解く
主治医の先生と小まめに生活状況を共有しながら、無理のない範囲で行動し、少しずつ就業時の生活リズムを保つようにしましょう。
コツ⑤どこかへ通う習慣をつくる

就業時の生活リズムを保つことに関連してオススメしたいのが、「どこかへ通う習慣をつくる」ことです。
場所はどこでも構いません。
私は毎朝9時に、近所のカフェにモーニングを食べに行くことを実践していました。
どこかへ通う習慣をつくることは、生活リズムの定着にもつながります。
特に朝陽を浴びると、就寝と起床の時間が安定しやすくなりますので、できる限り午前中に出かけるようにしてください。
また、行動する元気が出てきた人は、後述する就労移行支援事業所などを「通う場所」として活用するとよいでしょう。
定期面談を通じてコミュニケーションを取る機会も得られますので、通う習慣をつくる際にはオススメです。
コツ⑥休職前の体力を維持する
休職中は「体力を維持する」ことも肝要です。
休職期間に入ると、就業時よりも行動する機会が減るため、どうしても体力が低下します。
このように体力が落ちた状態で復職すると、しばらくは身体が保っても、だんだん休みがちになって再度休職する恐れがあります。
実際私の勤務先でも、体力が保たないことが原因で、再び休みに入る方がいました。
体力を維持するための方法としては、30分程度のジョギングや長距離の散歩など、軽い運動がオススメです。
その日の体調に合わせてどんな運動をするかを考えることで、自分の調子を把握できるメリットもあります。
別の疾患などによって運動が難しいという方は、別途主治医に相談してみてください。
コツ⑦休職に至った原因を洗いだす

7点目は「休職に至った原因を洗いだす」です。
休職によって職場や就労から距離を置くことで、それまでの自分の状況を客観的に見つめ直すことができます。
特にあなたのお勤め先が激務だったとき、あるいは案件をこなすことで精一杯だった場合には、そのとき気付かなかった問題点を見つけやすくなっているはずです。
その状況を客観的に見ることで、復職後のあなたの仕事の進め方を、劇的に変えるヒントが隠されているかもしれません。
私の場合は自分の業務を紙に書き出して、具体的にどの業務がストレスになっていたのかを検討しました。
併せて、当時の自分の生活を見直して、負荷が掛かっていたときのサインを思い出してみると効果的です。
休職してすぐの頃に考える必要はありません。
回復を感じたら、少しずつ休職に至った原因を考えてみましょう。
コツ⑧復職後に実践したい仕事術を考える
先述した「休職に至った原因」が洗い出せれば、それに対処する方法も自然と見えてくるでしょう。
次のステップとして、その対処方法をもとに「復職後に実践したい仕事術」を考えてみてください。
例えば、復職を想定している場合、上司や人事との面談を通して、配置転換を希望することになるかもしれません。
その際に、「具体的にどの業務から外してほしいのか」、あるいは「この業務はこういう形でなら対処できる」という方策を具体的に話すことになります。
この段階で仕事術について考えておくと、今後のこうした場面で非常に役に立つのです。
また、復職後はブランクのある状態で働くことになります。
仕事術を考える際は、無理なく仕事をこなすことを優先して考慮しましょう。
「そもそも対処法がわからない…」というときは、主治医や就労支援機関などの第三者に相談して、有益なアドバイスをもらうことをオススメします。
今後実践したい仕事術について考えることは、前向きな復職への一歩にもなります。
ぜひ試してみてください。
コツ⑨状況次第で転職に向けて動きはじめる

最後は「状況次第で転職に向けて動きはじめる」です。
なお、転職のための行動を始めてよいかどうかは、職場復帰と同様に、必ず医師の判断を仰ぐようにしましょう。
仕事を再開する際には、現職に留まるべきか転職すべきか、迷われる方がいるかと思います。
迷った場合は、以下のポイントを判断の基準にしてみてください。
- お勤め先が配置転換や異動などを真面目に取りあってくれない
- 休職によって人事考課に多少の影響が生じる
- 過重労働を強いるなど、社員への健康配慮に欠ける
- 仕事内容を問わず、現職の業種や職場に復帰することを考えると気が沈む
- 反対に別の業種や職場への復帰を考えると前向きになれる
- 発達障害を抱えていて就労枠が合わないと感じている
配置転換を提案した際の人事の対応、昇進への影響、ご自身の体調など、総合的に踏まえた上で「現職に留まるのが得策ではない」と考えた場合は、転職を検討するとよいでしょう。
また、現職の業種や職場環境がご自身に合っているかの判断が難しい場合などは、これから説明する就労支援機関への相談もオススメです。
ちなみに、休職前の診断によってADHD(注意欠如・多動性障害)などの発達障害であることが判明するケースもあるかと思います。
その場合は、障害を開示して障害者枠で働く「オープン就労」も視野に入るでしょう。
発達障害による転職や、オープン就労にご興味のある方は、以下のコラムに詳細にまとめてありますので、併せてご参照ください。
休職中の過ごし方の事例:現職に留まることを選択した私の経験から

これまで説明してきた休職中の過ごし方のまとめとして、私の事例をお話ししようと思います。
私の場合は、休職をする際に、抑うつの診断書をもらってから人事部の担当者と面談をして、休職の手続きを取りました。
当時は激務の続く繁忙期で、その末期になって気を緩めた途端にどっと疲れが出て、ベッドから起き上がれなくなりました。
それまでも「出勤がつらい」など行動面の症状はあったものの、いわゆる燃え尽き症候群のようなかたちで張り詰めた糸が切れたのだと思います。
そうした疲れもあって、休職の初期は日中もベッドに横たわって、眠っていることが多かったです。
その後回復してからは、「生活リズムを整えること」と「体力を維持すること」の2点を念頭に置きつつ、自分のやりたいことを実践していました。
とはいえ、私の場合は、過労によるストレスが抑うつの大きな原因です。
職場復帰への恐さをなかなか拭うことはできず、何度も主治医、上司、人事担当者との面談を重ねました。
結局、そのトラウマを払拭するために、私は数か月を要しましたが、現職に留まることを選択しました。
「当時勤めていた企業は、全体的には自分に合っているという手ごたえがあったこと」「部署が合っていないだけで、配置転換には応じてもらえるということがわかっていたこと」が、現職に留まった理由です。
その後は、自分に合ったリラックス法や仕事術を実践していたので、気持ちよく働くことができました。
現在は、私傷病とはまったく別の理由で転職し、次のステップへとキャリアを進めています。
休職中に利用したい3つの支援機関
さて、この章では休職中に利用したい支援機関を3つ紹介いたします。
主治医との定期面談も大切ですが、支援機関では生活面以外の具体的な仕事の相談などをすることができます。
基本的に無料で利用できる上に、職場復帰に向けたリワークプログラムやグループワークが充実している機関もありますので、休職中の方はぜひ活用してみてください。
①就労移行支援事業所

就労移行支援事業とは、障害者総合支援法に基づいて行われる、病気や障害のある方向けの福祉サービスです。
利用のためには、原則として一般企業への就労を希望していること、病気や障害を示す診断書の提出が必要になります。
就労移行支援事業所では、定期面談や体調管理に関する助言、復職に向けたサポートなどを受けることができます。
また、転職を検討中の方を対象に、インターン先の紹介や職場探しの手伝いなども請け負っています。
基本的に最低0円からサービスを受けられますので、興味を持たれた方は一度、お近くの就労移行支援事業所に問い合わせてみるとよいでしょう。
※注意点として、就労移行支援事業所の本格的な利用のためには、一般的には「離職状態にあること(休職ではなく、退職していること)」という条件があります。現在休職中の場合は本格利用は難しいと思いますが、「一度退職(離職)」といった相談は可能です。
就労移行支援の詳細は、コラム「就労移行支援とは?サービス内容から就労継続支援との違いまで解説」にまとめてありますので、併せてご覧いただくと参考になるかと思います。
②障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づいて設置されている福祉センターです。(参考:東京労働局ホームページ『障害者就業・生活支援センターについて』)
ハローワークをはじめ、先述した就労移行支援事業所などの福祉施設と連携して、障害のある方の就労支援や企業への雇用促進を行っています。
就労に向けた準備だけでなく、生活面でのケアやアドバイスも受けられるため、興味のある方はお近くの障害者就業・生活支援センターを訪ねてみるとよいでしょう。
全国の一覧はこちらです。
③地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、障害のある方の就職や復職に際して、専門性の高い支援サービスを提供している福祉センターです。
各都道府県に最低でも1か所は設置されており、独立行政法人「高齢・障害者・求職者雇用支援機構」が運営を行っています。
専門的な職業リハビリテーションサービスだけでなく、企業や地域の関係機関に対しても、障害者の雇用管理に関する相談や援助を実施しています。
休職中のよくある悩みQ&A
最後に、休職中のよくある悩みをQ&A形式で紹介いたします。
ここに挙げられているものは、私自身が休職中に感じたことでもあります。
悩みと併せて、対処法やおすすめしたい考え方も解説しますので、ぜひご覧ください。(参考:五十嵐良雄『うつ病・躁うつ病で「休職」「復職」した人の気持ちがわかる本』、松﨑博光『新版 マジメすぎて、苦しい人たち:私も、適応障害かもしれない…』)
質問①罪悪感があって落ち込む

休職中の一番の悩みが、「罪悪感があって落ち込む」というものです。
一生懸命仕事をしてきた人ほど、休職によって穴をあけることに、後ろめたさを感じるかと思います。
特にハードな職場にいた人は、同僚に負担が掛かることを申し訳なく思ってしまうでしょう。
しかし、それは人事担当者や上司など、職場が組織として調整すべきことです。
あなた個人が抱え込む必要はありません。
また、特に収入が減ったり看病が必要だったりすると、家族に対して「迷惑をかけている」と思うかもしれません。
ご家族に負担がかかる可能性については、短期的には否定しません。
ですが、休職することでよい方向に向かうのならば、長期的には迷惑ではありません。
まずは休養を取って、あなたが元気になることが何よりも大切です。
同僚やご家族に罪悪感を持たず、治療に専念することが、一番の近道だと考えましょう。
質問②回復しているのかよくわからない

「回復しているのかよくわからない」というのもよく聞かれる悩みです。
基本的には、定期的に診察を受けている主治医の先生につど尋ねるようにして、その判断を尊重しましょう。
ただし、「先生の方針に納得できない」「処方薬が効いていると思えない」といった場合は、現在の主治医以外の医師に意見をもらう「セカンドオピニオン」を求めるのもひとつの手段です。
元の先生と違う方針を示されるようであれば、あなたが安心して治療を受けられそうだと感じられる方に従ってください。
ただし一般論として、セカンドオピニオンでも方針が変わらないようであれば、多少納得できなかったとしても、今の方針に従うことをオススメします。
また、代替医療や民間療法ではなく、専門機関の治療を受けるようにしてください。
すぐに成果が出ないからといって、病院としての認可を受けていないところで治療を受けるのは避けるようにしましょう。
質問③リフレッシュを目的に旅行してもいいのか

3つ目は「リフレッシュのために旅行に出てもいいのか」です。
これは、主治医の診断に基づいて判断をする必要があります。
先述したように、回復したと感じても疲労が残っている場合もあります。
旅行へ出たいという方は、まずは信頼できる主治医に相談をして、その診断を仰ぐようにしてください。
その上で、旅行に出ることが回復に役立つ(回復の邪魔をしない)のであれば、旅行に出ても問題ありません。
とは言え、旅行が可能になった場合でも、同僚の目に触れるSNSなどに写真を載せる行為はオススメできません。
残念ながら、人によっては心証を損ない、人間関係や人事考課に影響してしまう可能性があるからです。
特に今のお勤め先への復職を視野に入れている方は、行動に注意してください。
質問④復職のことを考えると恐くなってしまう

最後の悩みは「復職のことを考えると恐くなってしまう」というものです。
これは特に、「過重労働などによって精神疾患が悪化した」「業務上のミスで激しく叱責された」などの、ハラスメントを受けた人に多い悩みです。
そういった方には、短時間勤務や隔日の勤務などの「慣らし勤務」をオススメします。
それでも恐怖感が和らがないという場合には、パートやアルバイト等の非正規の社員として転職をするのもひとつの手段です。
トラウマを払拭するために最も有効な方法は、小さな成功体験を積み重ねることです。
いきなりフルタイムでの勤務が不安な人は、非正規での雇用も検討してみてください。
休職中の部下を持つ人へ:復職前後の対応のポイント3点
この章では、視点を変えて、休職中の部下をお持ちの方向けに「復職前後の対応のポイント」を紹介いたします。
復帰直後は休職をした本人でさえも、自分がどの程度仕事ができるのか、把握をできていない場合があります。
そのようなときに、適切なフォローアップができるかどうかで、その後の職場定着が大きく変わってきます。
「今後復職したらどのような対応をされるのか」と不安に思っている休職中の方もいますので、そうした方々のためにも、ぜひお読みいただければ幸いです。(参考:中村美奈子『復職支援ハンドブック―休職を成長につなげよう』、亀田高志『改訂版 人事担当者のためのメンタルヘルス復職支援』)
ポイント①就業できる状態かを見極める

休職中の社員が職場復帰を希望する場合、まずは面談を通じて「就業できる状態かを見極める」ことが大切です。
面談を行う際には以下のような質問を投げかけるとよいでしょう。
- 主治医は職場復帰についてどのように述べているか
- 生活リズムは安定してきているか
- 日中はどのようなことをして過ごしているか
- 以前はどのような症状があり、いまはどの程度緩和されているか
- 自己判断ではなく、支援者やご家族も復帰に前向きか
ただし日中の過ごし方などを深掘りすることは、プライベートな内容を追及することにもなるため、注意が必要です。
また、質問をする際には、できるだけ緊張感を和らげるように意識して話しかけるとよいでしょう。
その際、「相手に挙動不審なところがあるか」「人慣れしていない感じが過度に表れていないか」も確認してください。
職場復帰をすることになれば、人とコミュニケーションをする機会が増えます。
そうしたときに、十分なコミュニケーションが取れる程度まで回復できていないと、またストレスを抱えて再度休職する可能性があります。
場合によっては、面談を重ねて、仕事向けのコミュニケーション感覚を取りもどすためのリハビリも必要かもしれません。
就業できる状態を見極める際に、注視してみるとよいでしょう。
ポイント②休職者の懸案事項を洗い出す
ポイントの2点目は、「休職者の懸案事項を洗い出す」です。
今後の方針を決めるためにも、休職者の体調だけでなく、「休職者が何を不安に思っているか」もしっかりヒアリングしましょう。
主に、以下のような点を確認してください。
- どのような業務ならできそうか
- どの程度の業務量なら問題なさそうか
- 具体的にいつから復職するか
- 職場の同僚にはどういう伝え方、接し方を望むか
特に、業務内容と業務量については綿密に打ち合わせておきましょう。
この段階ですりあわせができていないと、職場定着が難しくなってしまう可能性があります。
また、休職中に人員が替わっている場合もあるため、現在の職場の状況を併せて伝えるようにしてください。
何よりも大切なのは、休職者の不安を軽減することです。
休職者の懸案事項は、復帰の前までに洗い出しておきましょう。
ポイント③短時間勤務や配置転換を検討する

最後のポイントは「短時間勤務や配置転換を検討する」です。
休職中の方の中には、ご自身の口から短時間勤務や配置転換の話を切り出せる人もいますが、希望をうまく伝えられない人もいます。
短時間勤務や配置転換の必要の有無については、先述した懸案事項などの洗い出しの中から判断して、職場側から打診をするというのもひとつの手段です。(参考:厚生労働省『Q3:いわゆる新型うつの理解と対策は?』、厚生労働省『適応障害|病名から知る|こころの病気を知る』)
特に「適応障害」などの場合、職場を変えただけで一気に調子を取り戻すということもあります。
もちろん、異動という話になれば、受け入れ先などの調整が必要になります。
しかし、短時間勤務や配置転換は、離職を防ぐための有効な対応策のひとつとして、頭に留めておくようにしましょう。
まとめ:休職中の過ごし方を知って有意義な休職生活を!

休職中の過ごし方について徹底解説してきましたが、実践できそうな情報は見つかったでしょうか?
繰り返しになりますが、「主治医と相談すること」「焦らずに無理のない範囲で改善策を実践していくこと」が大切です。
実際に私は休職期間を有意義に過ごせたことで、仕事だけでなく日頃の体調管理の面でもよい習慣を見つけることができました。
休職中の過ごし方次第で、その後の生活は大きく変わります。
本コラムが休職中の過ごし方で悩んでいる方が有意義な休職生活を送る手助けになれば幸いです。
【最後に改めて…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?
「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。
を利用した方は…
- 初任給
- うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
- 就職までの期間
- 通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
- 就職率
- 通常52%のところ、
KBCでは82%