リウマチの人に向いてる仕事 仕事を続ける方法や仕事探しの相談先をまとめて紹介

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の西村です。
あなたは、リウマチになったことで、次のようにお悩みではないでしょうか。
- 「これまでしていた仕事が満足にできなくなった」
- 「今後どう働いていけばいいかわからない」
この記事では「リウマチの人に向いている仕事」「リウマチと付き合いながら仕事を続けていく方法」についてお伝えします。
また、合わせて「仕事探しの際に利用することができる支援機関や支援制度」についてもご紹介します。
この記事を読むことで、リウマチにお悩みのあなたが、自分に合った仕事を見つけていくための参考になるはずです。
リウマチについては、リウマチ専門医の治療を受けることが何よりも大切です。
あなたの症状を適切に診断してもらうためにも、リウマチ専門医とのつながりを保つようにして下さい。
まだリウマチの診断を受けていない段階であれば、まずは診察を受けることをオススメします(自分ではリウマチだと思っていても、他の病気の可能性もあります)。
目次
リウマチの人に向いている仕事

リウマチの患者さんは、多くの場合「今日は症状が酷くて動けない」と感じるほど痛みが強いときと、「普段よりはマシかな」と感じられる症状の軽いときを交互に繰り返します。
そしてその中で、基礎的な治療・対応(治療薬を服薬する、通院する、睡眠を十分に取る、正座を避ける、重いものを持たない、関節に負荷をかけないなど)を実践していく必要があります。
現代では、リウマチ治療に取り組むことで寛解(※)の状態を維持し、仕事を続けているリウマチ患者さんは多くいらっしゃいます(※かんかい。リウマチの症状・兆候がほとんど消失し、病気をコントロールできている状態。(参考: 中外製薬おしえてリウマチ「いざ受診へ ~どうやって治療するの?~」)
そこで、治療をしながら働く必要があるリウマチの人に向いてる仕事として、「関節に負担がかかりにくい仕事」の観点からは、以下のようなものが挙げられます。
- デスクワーク中心の事務職
- ITエンジニア、プログラマー
- デザイナー、イラストレーター
- ライター、webライター
- 軽作業(商品管理など)
- マンションの管理人
- 教師・講師
- 研究職
- 心理カウンセラー
- キャリアコーディネーター
- 受付業務
もちろん上に記した職種は一例です。「この仕事に就くべき」という意味ではなく、「リウマチがあっても、向いてる仕事はある」という安心材料にしてください。
また逆に、上記職種であっても、業務内容や職場環境によっては向いてないこともあり得ます。
ですので、「実際のあなた」に向いてる仕事や働き方は、リウマチの症状を考慮しながら、主治医や支援機関のスタッフと相談していくことで、具体的にわかっていくと思います。
リウマチの症状をコントロールし、悪化させないように注意しながら、あなたに向いている仕事を探していきましょう。
リウマチの人が仕事を続けていく方法

リウマチの症状と付き合いながら仕事を続けていくためには、注意しておくべきポイントがいくつかあります。
以下の2つのポイントを押さえておくことで症状の悪化に気をつけながら仕事を続けていくことができます。
①症状がひどいときは適切に休む
リウマチの治療においては、「全身」「関節」「精神」3つの安静が大切と言われます。
- 「全身」の安静を保つために
毎日早めに就寝し十分に睡眠時間を確保しましょう。
また、日頃から疲れすぎないように自分の活動量をセーブしておきましょう。
「がんばりすぎて疲れた」「一日中作業して全身がだるい」といった状態にならないように注意が必要です。
また、前述にもあったように、リウマチは「朝のこわばり」があるなど、時間帯によって症状の変動があります。
自分の「症状が強くなる時間帯などを把握」することが大事です。
それができたら、その時は活動量をセーブすることが望ましいです。
- 「関節」の安静を保つために
関節に負荷をかけすぎないことが大切です。
次のように心がけて、日頃から関節をいたわるようにしましょう。
重いものを持たない、長い立ち仕事を避ける、正座をしない、指に強い力がかからないようにするなど。
また、早めのサポーター(ゴムなどを織り込んだ包帯のような器具)使用をオススメします。
どういうサポーターがいいかは、医師に相談しましょう。
- 「精神」の安静を保つために
「リウマチなのに精神?」と不思議に思われるかもしれません。
ですが、リウマチの患者さんには、全身の痛みやこわばりから気持ちが落ち込み、抑うつ状態になることも少なくありません。
また、精神的に元気な状態を保つことで、リウマチの痛みが軽減するといったデータもあります。
なので「好きなテレビや映画を見る」「本を読む」などの、趣味を楽しむ時間、リフレッシュする時間を大切にしてください。
②軽い運動を習慣化する
次のポイントは「軽い運動を習慣化する」ことです。
安静にすることが大切と言われても、仕事には体力が必要ですよね。
仕事を続けるための体力作りとして、プールでの水中歩行などの軽い運動が重要になってきます(プールでは、自分の体重が関節にかかりにくいです)。
ただ、あまり関節に強い負荷がかかるような運動は逆効果になる可能性があるので、やめておいた方がよいでしょう。
また、あなたのリウマチの症状によっては「今は運動しない方がいい」ということもありえます。
実際に運動に取り組む前に、主治医に相談するようにしましょう。
生活習慣の調整が難しいときは...

上記のような生活習慣を身につけられるか不安がある場合、「教育入院」の利用が考えられます。
(例:三朝温泉病院「リウマチ教育入院」)
教育入院では、生活習慣の指導だけでなく「リウマチ治療とは何か」「それぞれの治療薬の効果は何か」などについても教えてもらうことができます。
短期のプログラム(3泊4日など)もあります。
次のように思う場合は、教育入院も検討してみてください。
- 「リウマチになって、どんなふうに日常生活を送れば症状が改善するのかわからない」
- 「リウマチの治療についてちゃんと理解して治療を受けたい」
リウマチとの付き合い方

リウマチの治療は、以下の4つのステップで進みます。
リウマチの治療は長く続くものなので、症状とうまく付き合いながら治療を進めていきましょう。
- ①関節の痛みやこわばりなどの症状を抑え、コントロールする
- ②リウマチによって引き起こされる関節破壊の進行を抑え、これ以上進行しないように予防する
- ③日常生活動作が難しくなる機能障害を予防し、QOL(Quality Of Life:生活の質)を高く保つ
- ④問題なく社会参加できる状態(例:仕事ができる)への寛解を目指す
上記の治療ステップを着実に踏んでいくためには、以下の3つが大切になります。
- 運動や食事などの生活習慣を整え、リウマチの進行を抑えるための「基礎療法」
- リウマチを引き起こしている免疫システムに働きかけるための「薬物療法」
- 関節の動きをスムーズに保つための「リハビリテーション」
また、症状の進行が激しい場合には「手術療法」が取られることもあります。
どの治療にどの程度取り組むかは、あなたの状態に左右されます。
効果的にリウマチを治療していくために、自らリウマチのことを学びながら基礎療法に着実に取り組んでいくことが大切です。
基礎療法(生活習慣改善など)において、自分で習慣を変えることが難しいものがあれば、主治医や支援スタッフに相談しましょう。
きっとあなたと共に考えながら、よりよい方法を見つけていけるはずです。
リウマチに関することの、職場への伝え方
リウマチになったことを「職場にどのように伝えればいいのだろう」と悩む患者さんは少なくありません。
業務などで配慮をもらうためにも、できるだけ早めに伝える必要があります。
職場にリウマチを伝える際には、次のようなことを、人事部や、信頼できる上司・同僚に伝えましょう。
- どういった動作がリウマチ悪化の原因になるのか
- どれくらいの頻度で通院する必要があるのか
- 症状が悪化するとどうなるのか
そうすることで、リウマチ悪化につながるような業務をなくしてもらうなど、配慮が期待できます。
以前の仕事をそのまま続けるのが難しい場合は、配置転換の相談をしてみるのもよいでしょう。
あなたの今後の人生をより良いもの、QOL(生活の質)の高いものにしていくためにも、職場へはできるだけ早く伝え、相談しておくことをオススメします。
リウマチについて相談できる場所

リウマチについては、できるだけ早くリウマチ専門医を受診し、治療を継続することが大切です。
早期発見・早期治療をすればするほど、寛解状態に持っていき、以前と変わらず仕事を続けていける可能性が高まります。
一般的に、リウマチ専門医はリウマチや膠原病(こうげんびょう)という名のついた診療科に所属しています。
ですが、地域によってはリウマチ専門医が少ない(いない)ケースも考えられます。
その場合、かかりつけ医に紹介状を書いてもらうか、以下の機関で近くにいるリウマチ専門医を調べてみることをオススメします。
リウマチ情報センターは、日本リウマチ財団が運営しているウェブサイトです。
日本リウマチ財団では、リウマチ性疾患の正しい知識の普及、調査・研究、社会的な対策などを進めており、「リウマチ登録医制度」を設けています。
リウマチのある人の仕事探しをサポートする団体など

リウマチなどの病気や障害のある人が仕事探しのときに利用することのできるサポート機関として「就労移行支援事業所」「ハローワーク」「転職エージェント」などがあります。
(※リウマチの状態によっては、すぐに働くことが難しい場合もあります。まず主治医と相談してOKをもらってから仕事探しするようにしましょう)
①就労移行支援事業所
「就労移行支援事業所」は、リウマチやうつ病などの病気や障害がある人に、就労に向けた支援を行っています(私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)。
就労移行支援事業所では、次のような幅広い支援を受けられます(具体的な支援内容は事業所によって異なります)。
- 仕事で活かせる知識・技能の習得
- 仕事や私生活で活かせるメンタル面のサポート
- 「どのような仕事や働き方が向いているのか」のアドバイス
- 転職先候補の業務や雰囲気を体験できる「職場体験実習(インターン)」の紹介
- 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
- 面接対策
- 転職後の職場定着支援
就労移行支援の利用可否は、お住まいの自治体が下記などに基づいて判断しています。
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある
- 18歳以上で満65歳未満の人
- 離職中の人(例外あり)
(※上記を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。)
就労移行支援事業所では上記したように「メンタル面のサポート」も行っているところが少なくありません。
長い治療生活の中で、気持ちの落ち込みや抑うつ状態を経験されることもあるかもしれません。
そういった状況になったとしても、就労移行支援事業所のスタッフであれば変わらすサポートをしてくれます。
就労移行支援事業所の詳細については、下記のコラムをご覧ください。
②ハローワーク
ハローワークでは、障害者枠(※1)と一般枠の求人を両方探すことができます。また、採用面接への同行やトライアル雇用(※2)といった仕事探しのサービスも行っています。(参考:「ハローワークのサービスについて(障害のある方向け)」)
障害者手帳を持つ人のための雇用枠のこと。
詳細は下記のコラムをご覧ください。
病気などのために安定的な就職が困難な人のための制度。
3か月の試行雇用(お試し期間)を経て、雇用者・被雇用者の両方が同意した場合に、期間の定めのない雇用へ移行することができます。
詳細は下記のコラムをご覧ください。
さらに、ハローワークは、「病気・障害のある人向け」のサービスとして、専門的な知識を持つ職員・相談員を配置しており、就職に関する相談に乗っています。
障害者手帳を持っていない人でも相談できます。
また、相談を通じて、就労に必要なスキルなどを身につけるための職業訓練(ハロートレーニング)につながることもできます。
先述したように、障害者枠の紹介なども行っているので、リウマチに関する相談にも乗ってもらいながら求人を探すことが可能です。
ハローワークの全国一覧はこちらをご覧ください。
現実として、仕事探し・転職活動は、ハローワーク「だけ」で行うことはオススメしません(ハローワークに求人を出していない企業・団体も多いため)。
ハローワークで相談したり仕事を探したりする場合も、次項の転職エージェント(転職サイト)などの併用をオススメします。
③転職エージェント
現代の仕事探しでは、転職エージェントの利用は一般的な方法と言えます。
近年では、リウマチなどの病気や障害のある人への転職支援も行っているところが増えてきています。
いずれも、基本的なサービスとして、「就職準備のサポート」「キャリア相談」「求人紹介」「求人元と就職希望者の条件の調整」などを行っています。
いくつか話を聞いてみて、ご自分に合いそうなところを(並行的に)利用してみることをオススメします。
リウマチの人が利用できる支援制度

リウマチは、長い間治療を続けていく必要のある病気です。
なので医療費など、金銭的な不安をお持ちになる人は少なくありません。
そういった場合には、支援制度・福祉サービスを活用することで生活を少し楽にすることができます。
ここでは、リウマチの療養生活を支えるいろいろな支援制度についてご紹介します。
制度の仕組みが変わることもよくあります。
実際に活用を検討される際には、市区町村の福祉担当窓口や病院のソーシャルワーカーに相談するようにしてください。
- 健康保険(高額医療費払い戻し/高額医療費貸付制度/限度額適用認定証)
- 自立支援医療制度
- 特定疾患医療制度(悪性関節リウマチもしくは合併症の場合)
- 身体障害者手帳(障害者医療費助成制度)
- 健康保険(治療用装具)
- 介護保険(福祉用具貸与・販売)
- 難病患者等居宅生活支援事業(日常生活用具)
- 身体障害者手帳(補装具)
- 介護保険
- 身体障害者手帳
- 介護保険
- 難病患者等居宅生活支援事業
- 身体障害者手帳
まとめ:あなたに合った働き方を見つけていきましょう

ここまで「リウマチの人に向いている仕事」「リウマチとの付き合い方」に加えて「リウマチの人の仕事探しをサポートしてくれる支援機関」「リウマチの人が利用できる支援制度」などをお伝えしてきました。
リウマチはかつて、治ることのない病気と言われていました。
ですが、医療の進んだ現代では寛解(症状がほぼなく進行もしていない状態)を目指していくことができる病気になっています。
実際に、治療に取り組むことを通じて寛解状態を維持し、仕事を続けられている人も大勢いらっしゃいます。
あなたも、リウマチ専門医と治療に取り組むことで症状をコントロールし、あなたに合った働き方を見つけていきましょう。
リウマチのある自分に向いてる仕事を知りたいです。
一般論として、次のようなものがあります。
- デスクワーク中心の事務職
- ITエンジニア、プログラマー
- デザイナー、イラストレーター
- ライター、webライター
- 軽作業(商品管理など)
- マンションの管理人
- 教師・講師
- 研究職
- 心理カウンセラー
- キャリアコーディネーター
- 受付業務
理由も含めて、詳細はこちらをご覧ください
リウマチのある自分の仕事探しをサポートしてくれるところを知りたいです。
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
執筆西村二架

にしむら・にか。精神保健福祉士。
1992年生まれ。関西学院大学文学部卒業後に京都医健専門学校で学び、2019年に国家資格・精神保健福祉士資格を取得。2018年8月から、キズキ共育塾(不登校・中退・発達障害・社会人などのための個別指導塾)で講師として勤務。現在は主任講師として国語・数学・英語・小論文・面接の学習支援およびメンタル支援を担当。また、うつや発達障害の方々のための就労移行支援事業所キズキビジネスカレッジでも英語などを教える。2023年現在、TOEIC890点を所持。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→