双極性障害の人が仕事を続けるコツとは?向いている仕事も徹底解説! | キズキビジネスカレッジ  

双極性障害の人が仕事を続けるコツとは?向いている仕事も徹底解説!

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の寺田淳平です。

双極性障害(躁うつ病)をお抱えのあなたは、このようにお悩みではないですか?

「双極性障害になっても仕事は続けられるのか」
「どんな仕事が向いているのかわからない」
「いまの働き方で働きつづける自信がない」

そこでこのコラムでは、双極性障害を抱えながら就労中の人(あるいは就職をご検討中の人)に向けて、仕事を続けるコツを徹底解説いたします

3,500人規模の職場で人事を担当していた私の視点から、向いている仕事や働き方もあわせて紹介します。

この記事が、双極性障害にお困りのあなたの悩みを軽くする手助けになれば幸いです。

特に「双極性障害と就職活動」については、コラム「双極性障害の人が就職活動を成功させるための7つのポイント〜事例やサポートもまとめて紹介!〜」をご覧ください。

【本文に入る前に…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?

「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。

キズキビジネスカレッジ(KBC)を利用した方は…

初任給
うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
就職までの期間
通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
就職率
通常52%のところ、
KBCでは82%

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2022年7月現在9校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

執筆寺田淳平

てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

双極性障害の人の仕事上の悩み:事例で紹介

双極性障害の人の仕事上の悩み:事例で紹介

双極性障害の人の仕事上の悩みとしてよく挙がる事例に、「躁のときに遂行できないことを引き受けたり、態度が尊大になったりする」というものがあります

躁状態になっている人は、あまり休まなくても仕事がはかどるため、自分だけではできないことを引き受けがちです。

アイディアも豊富に湧いてくるため、平常運転では実現できないプランを提案し、ついていけない人には「こんなこともできないのか」とイラ立ちを覚えます。

こうした行動が、結果として、周囲への社会的信用を失うことに繋がるのです。

また、躁のときに、体力と気力を使って過重労働をしたことにより、うつ転したときにはぬけ殻のように何もしたくなくなって、欠勤が続くというケースもあります

調子がすこぶる良かったのに、突然休みがちになったことで、職場の同僚や上司から「スパンの長い仕事は任せられない」と判断され、昇進が遅れるということがあるようです。

双極性障害の人でも仕事を続けられるのか?

双極性障害の人でも仕事を続けられるのか?

双極性障害に関連して聞かれる質問として、「発症しても仕事を続けられるのか」というものがあります。

結論としては、「治療と並行して仕事を続けることは可能」です。

そのためには、ご家族の報告を含む、主治医の先生との定期面談・情報交換・カウンセリングが、非常に重要です

双極性障害の治療では、日ごろの生活習慣や心掛けの工夫に加えて、「薬物療法」がメインになります。

薬物療法では多くの場合、躁とうつの波を小さくする「気分安定薬」を基本とし、躁で衝動性が高まったときに、即効性が期待される「抗精神病薬」を併用するといった形を取ります。

しかし、この薬には体質ごとに合う・合わないがある上に、多少の副作用が伴うことは否定できません。

周囲を適切に頼りながらあなたに合うお薬を見つけること、そしてこれからご紹介する職業生活を保つためのコツや習慣を実践することができれば、双極性障害であっても仕事を続けることは十分できると考えていただいて大丈夫です。

ただし、もし何らかの症状が悪化したときは、「休職をするなどして治療に専念することも必要だ」という点は、心に留めておいた方がよいでしょう

双極性障害の人が仕事を続けるコツ5選

ここからは具体的に、双極性障害の人が仕事を続けるコツを5つ見ていきましょう。(参考:公益社団法人日本精神神経学会『加藤忠史先生に「双極性障害」を訊く』、貝谷久宣『よくわかる双極性障害(躁うつ病)』、野村総一郎『新版 双極性障害のことがよくわかる本』

基本的に、これから紹介することは、双極性障害の当事者ができることや心掛けです。

しかし、繰り返しになりますが、大切なのは「適切に専門家や周囲の人を頼る」という姿勢です

特に躁状態になっているときには、自信に満ちあふれているため、「ひとりでどうにかなる」と思い込むことが多いです。

以下にご紹介する「仕事を続けるコツを実践しているから」と過信せずに、主治医の先生やご家族などを適度に頼るようにしましょう。

コツ①医師や支援者の意見にきちんと耳を傾ける

コツ①医師や支援者の意見にきちんと耳を傾ける

仕事を続けるための1番のコツは、「医師や支援者の意見にきちんと耳を傾ける」ことです。

双極性障害の人は、躁状態にあるときには気が大きくなるため、人の意見に耳を傾けることが難しくなります。

そのため、躁転しそうな予兆を感じたときや、うつ状態にあるときなど、早い段階で自分の現状を知らせるなどして医師や支援者から意見をもらうようにしましょう

また、自己判断で薬の服用を中断したり通院をやめたりすることは、絶対にしないでください

先述したように、双極性障害では薬物療法がメインとなるため、怠薬したことで悪化したり、再発したりする可能性が高いのです。

調子が良くなったり、気分が上向いたりしているときでも医師や支援者の意見にはきちんと耳を傾けるようにしましょう。

コツ②疾患を受け入れる

コツ②疾患を受け入れる

コツの2点目は「疾患を受け入れる」姿勢を保つことです。

双極性障害は、再発しやすく、長期の治療が必要な病気と言われています。

軽快したから「完治した」と本人が思っていても、ふとしたきっかけで症状が再発する可能性が高いのです。

そのため、あなたが疾患を受けいれて、長期的なスパンで付き合っていく姿勢を保つことが大切です

幸い、治療法は確立していますので、再発の予兆を自分で把握したり、ストレスを感じたらリラックス法を実践したりといった心掛けをしていくことで、安定した社会生活を送ることができます。

双極性障害による気分の「むら」を自分の性質と考えて、疾患を受けいれる姿勢を持つようにしましょう

コツ③体内時計を整える

コツ③体内時計を整える

長続きのコツの3点目は「体内時計を整える」です。

双極性障害の人は、活動的な躁状態と、そうでないうつ状態が不定期に訪れるため、体内時計が乱れやすいです

体内時計が乱れると、入眠障害や中途覚醒などの睡眠障害を引き起こしたり、日中の抑うつ感が増したりと、双極性障害を悪化させるさまざまな症状のリスクが高まります

そのため、日頃から体内時計を整えることを意識してください。

体内時計を整えるためには、以下の3つのリズムを保つことが大切です。

  • 睡眠のリズム
  • 食事のリズム
  • 活動のリズム

就寝と起床の時間を定めるようにしましょう。

また、就寝前には覚醒作用のあるコーヒー・緑茶・エナジードリンクなどのカフェインの飲食は控え、脳を刺激するパソコンやスマホの使用を避けると良いです。

食事も1日3食、決まった時間に食べ、日中はできるだけ太陽の光を浴びるために、外で活動する機会を設けましょう。

数十分のジョギングなど、適度な運動も取り入れることも、体内時計を整えるのに効果的です。

コツ④できるだけ残業を避ける

コツ④できるだけ残業を避ける

4つ目のコツは「できるだけ残業を避ける」です。

双極性障害の人が躁転を起こしやすいタイミングとして、繁忙期に遅くまで残業をするなど、過剰に仕事に取り組むときがあげられます

躁状態のときは疲れを感じることもなくハイになっているため、無理をしてでも仕事を進めたくなる人がいるはずです。

しかし、前にも述べたように、双極性障害の人はこうした気分の波をできるだけ減らすことが大切になりますので、勤務時間や仕事量もできるだけ一定にするのが望ましいのです。

とはいえ、躁状態のときは自分で仕事を止めるのも難しいため、ふだんから同僚に「あまり残業が続いているようだったら声をかけてください」と一言お願いするとよいでしょう

コツ⑤休暇取得日を月初めに決めておく

コツ⑤休暇取得日を月初めに決めておく

最後のコツは「休暇取得日を月初めに決めておく」です。

これも前に説明したコツと同様に、「働きすぎを抑制する」ための工夫です

スイッチが入っているときには、休みを挟むことなく立て続けに仕事をするため、月初にあらかじめ休暇を入れて休日を決めておくことは有効です。

とはいえ、休暇を取得してもきちんと休まなければ意味がありません。

お勤め先によっては、休暇予定日の直前でも休暇(申請)をキャンセルできるかもしれませんが、「働けそう」と思っても、「入れた休暇は絶対に消化する」など自分で決まりを作って、周囲の人にもそのことをアピールするとよいでしょう

双極性障害の人に向いている可能性がある仕事

双極性障害の人に向いている可能性がある仕事

この章では、双極性障害の人に向いている可能性がある仕事を具体的に解説していきます。(参考:加藤忠史『双極性障害[第2版]』

精神科医として著名な加藤忠史先生によると、双極性障害であってもきちんと病気を理解して受けとめ、有効な予防ができていれば、仕事について何かを諦めなければならないということはほとんどありません

ただし、仕事の内容や環境によっては双極性障害を悪化させることがあるのも事実です。

まず、次のような特徴がある業務は向いている可能性があります。

向いている可能性のある働き方
  • 業務量が大きく変動しない業務
  • 勤務時間が大きく変わらない職種
  • 自分のペースでできる業務
  • 対人折衝の少ない業務

双極性障害の人は、双極性障害の人は、定型業務やマイペースにできる業務であれば、自身で業務量を調整できるというため仕事として続けやすいです

また、対人折衝の少ない業務であれば、人間関係によるストレスや、躁状態のときに招くトラブルなどを軽減できるでしょう。

つまり、以下のような業務が向いているということです。

  • 「仕事量」と「ストレス負荷」の変化をできるだけ抑えられる業務
  • 体調の波に合わせて仕事の量を調整できる業務

仕事量の安定感や調整ができることなどを踏まえると、以下のような仕事が向いているかもしれません。

向いている可能性のある仕事
  • 事務職
  • フリーライター
  • 在宅ワークなど

ただし、フリーライターや在宅ワークなどでは、会社勤めのように残業を命じられることがない反面、躁状態になったときには仕事を休みなく立て続けにこなす可能性があります。

同居人がいるなら、先述した「できるだけ残業を避ける」というコツのように、仕事をしすぎているときには声がけをしてもらうなどの工夫をすると良いでしょう。

また、上記の仕事はあくまでも例です。
「実際のあなた」と「実際の仕事・職場」によっては、向いている仕事はもっと多様に考えられます。後述する就労移行支援事業所などを利用することで向いている仕事は具体的に見つかっていくはずです。

双極性障害の人に向いていない可能性がある仕事

双極性障害の人に向いていない可能性がある仕事

反対に、双極性障害の人に向いていない可能性がある仕事にはどのようなものがあるでしょうか?

基本的には、前章で述べた「向いている可能性がある仕事」の特徴の裏返しになります

  • 向いていない可能性のある働き方
  • 外的要因で仕事の量が多く変化する仕事
  • 生活リズムが乱れるような仕事
  • 対人折衝の多い仕事

上記のような仕事は、どちらかというと避けた方がいいでしょう。

特に、「早朝勤務や深夜勤務といったシフト制」は、生活リズムの乱れによる双極性障害の再発の原因になります。

まとめると、以下のような仕事は残業や夜勤の多さ、業務量の変化が大きいため避けたほうがいいかもしれません。

  • 向いていない可能性のある仕事
  • 営業職
  • 接客業
  • 看護師
  • 工場でのシフト勤務

また、双極性障害の場合は薬物療法が前提となりますが、ほとんどの向精神薬には、「本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械類の操作に従事させないよう注意すること」という注意書きがあります。

そのため、重機の操作や自動車運転が必要な仕事にも課題が残るでしょう

その他、予防療法の第一選択薬である「リチウム」には、副作用として「手の震え」が起こることが知られているため、細かな手作業には向いていないという人もいるでしょう。

双極性障害の人にあった仕事探しのポイント3点

最後に、双極性障害の人にあった仕事探しのポイントを3点ご紹介します。(参考:秋山剛『「はたらく」を支える! 職場×双極性障害』

繰り返しになりますが、仕事探しをする際にも大切なのは、「周囲の人を適切に頼る」ことです

特に、転職活動をする際には、定期面談を受けているかかりつけ医の先生に相談するようにしましょう。

躁とうつの波がまだ激しいときに転職活動をするのは禁物です

しかし、双極性障害の人は「自分がまだ安定していないこと」を自覚することが困難な場合も多いので、専門医やご家族などの客観的な意見が大切になってきます。

こうした「周囲の人を適切に頼る」という点を前提として、以下の仕事探しのポイントを見ていきましょう。

ポイント①就労支援機関を利用する

ポイント①就労支援機関を利用する

1つ目のポイントは、「就労支援機関を利用する」です。

双極性障害のような精神障害のある人が仕事探しをするとき、以下のような点で悩まれることも多いのではないでしょうか。

  • 障害者手帳を取得すべきか
  • 障害を開示して働く「オープン就労」と、非開示で働く「クローズ就労」どちらがよいか
  • 一般枠と障害者枠のどちらを選ぶべきか

就労支援機関では、上記のようなお悩みに応えた上で、就職活動の手助けをしています

特に、障害者総合支援法に基づいて福祉サービスを提供している「就労移行支援事業所」では、最低0円から以下のようなサービスを受けられますのでオススメです。

  1. 日常生活のアドバイスから障害者手帳の取得方法
  2. 仕事に必要な専門的スキルの指導
  3. 就職先の紹介

ただし、就労移行支援を受けるためには、基本的には「専門医による診断書」が必要になる点にはご注意ください

就労移行支援の条件やサービス内容などに興味を持たれたなら、コラム「就労移行支援とは?サービス内容から就労継続支援との違いまで解説」をご覧ください。

また、「オープン就労」と「クローズ就労」については、コラム「オープン就労のメリット、デメリット、条件とは?人事の視点から解説」「クローズ就労のメリット、デメリット、就職先の選び方を徹底解説!」をご覧ください。

ポイント②繁閑の差が激しくない仕事を探す

ポイント②繁閑の差が激しくない仕事を探す

仕事探しのポイント2点目は「繁閑の差が激しくない仕事を探す」ことです。

先述したように、双極性障害が悪化したり、再発したりするのは、残業のしすぎなどをきっかけとする「生活リズムの乱れ」です

そのため、年末に突発的に忙しくなるなど、繁忙期と閑散期の差が激しいようなお仕事だと、躁とうつの波が激しくなる可能性があります。

また、繁閑の差が激しくなくても転勤や出張などの頻度が高いお仕事だと、移動や環境変化に伴って生活リズムが乱れやすいためあまりオススメできません

前章でも述べた「仕事の向き不向き」と重複するところもありますが、「繁閑の差が激しくない仕事を探す」というのを軸にするとよいでしょう。

ポイント③障害への配慮が厚い職場かどうかを確認する

ポイント③障害への配慮が厚い職場かどうか

最後のポイントは、「障害への配慮が厚い職場かどうかを確認する」です。

2018年に改正障害者雇用促進法が適用され、障害者の法定雇用率が2.2%に引き上げられたことにより企業における障害者への配慮が重視されるようになりました。

それに伴い、コンプライアンスの一環として、企業側でも障害者への配慮を厚くしているところが増えています

実際に障害に配慮している職場かどうかを見分けるポイントは、2つあります。

  1. 障害に関する研修制度が充実しているかどうか
  2. 福利厚生制度が整備されているかどうか

障害やメンタルヘルスを重視している職場では、それに関連した研修制度を複数取り入れています。

こうした職場であれば、オープン就労、クローズ就労を問わず、障害のある人にどのような配慮をすべきかを考慮していることが多いため、仕事が長続きしやすいでしょう

また、福利厚生制度を確認するのも重要です

家賃補助などの金銭的な面よりも休職制度や短時間勤務制度など「従業員が健康を害したときにフォローしてくれる制度があるかどうか」を確認するようにしてください。

長く働き続けるためには、障害に配慮している職場かどうかを見極めることが大切です。

改めて、双極性障害とは?

この章では、あらためて双極性障害の概要を紹介します。すでにご存知かもしれませんが、これまでに紹介した内容の理解も深まるともいますので、ぜひご覧ください。

双極性障害とは、気分が高揚する「躁」状態と、気分が落ち込む「うつ」状態を定期的に繰り返す精神障害の一種です(参考:厚生労働省『躁うつ病(双極性障害)|こころの病気を詳しく知ろう』、アメリカ精神医学会『DSM-5 精神疾患の精神疾患の診断・統計マニュアル』、加藤忠史『これだけは知っておきたい双極性障害 躁・うつに早めに気づき再発を防ぐ! ココロの健康シリーズ』

気分の波は誰にでもありますが、その変化が行き過ぎて、周囲の人が疑問を抱いたり、社会的信用を失うような突飛な言動をしたりする場合は、双極性障害の恐れがあります。

こうした双極性障害は、かつては「躁うつ病」という名前で知られていたため、「うつ病」の一種と誤解されてきました。

そのため、今でも双極性障害なのにうつ病と誤診されるケースは少なくありません。

しかし、双極性障害とうつ病は別の疾患で治療法も異なるのです

うつ病と診断されたが、なかなか治らず、気分の入れ替わりが激しいという人は、一度セカンドオピニオンを求めて他の先生の診察を受けるのもひとつの手段でしょう。

その際は、代替医療や民間療法ではなく「病院」で診察を受けることが大切です

双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違い

双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違い

双極性障害には、大きく分けてⅠ型とⅡ型があります。

Ⅰ型とⅡ型の主な違いは、「躁状態の激しさ」と「社会生活への影響」です

双極性障害Ⅰ型
  • 激しい躁状態を引き起こして失職したり、家族関係では離婚したりするなど、社会生活の機能を損なうほどの影響を及ぼします。
双極性障害Ⅱ型
  • 躁状態が軽いものの、うつ症状が重いため、「うつ病」と誤診されて、慢性化しやすい傾向にあります。
  • とはいえ、Ⅱ型は社会生活に大きな影響が出るほどではなく、本人が気分の入れ替わりに悩んだり、周囲の人から「あの人は気分屋だ」と思われる程度で済むケースも多いです。

なお、精神疾患の診断基準をまとめたアメリカ精神医学会の『DSM-5 精神疾患の精神疾患の診断・統計マニュアル』では、Ⅰ型とⅡ型の違いは以下のように定められています。

  • (i)躁状態が少なくとも7日間つづく場合はI型、軽躁状態が少なくとも4日間つづく場合はII型とする。
  • (ii)II型の軽い躁状態では、社会生活の機能はあまり損なわれないですむ。しかしI型の躁症状は、社会生活の機能を必ず障害し、問題になっていく。

双極性障害の症状:躁状態とうつ状態

双極性障害の症状:躁状態とうつ状態

双極性障害の症状は、躁状態とうつ状態で異なり、その両極を行き来する形で現れます。

具体的な症状としては、以下が見られます。

躁状態のとき
  • 自分が偉くなったように感じる
  • ハイになりすぎて興奮したり、怒りっぽくなって、他人から別人のように思われる
  • 睡眠をあまり取らなくても平気になる
  • いつもよりおしゃべりになる
  • 色々な考えが次々に頭に浮かぶ
  • 抑制が効かず、後先を考えずに楽しいことに熱中する(散財、賭博など)
うつ状態のとき
  • ほとんど一日中憂うつで、気分が沈んでいる
  • ほとんどのことに興味や関心を失う
  • 寝つきが悪かったり、夜中に目が覚める
  • 話し方や動作が緩慢になる
  • 気力が低下して疲労感が続く
  • 自己肯定感が失われ「自分には価値がない」と感じる

また、躁とうつの悪い部分が合わさる「混合状態」にあるときには、特に注意が必要です。

双極性障害では、躁とうつが切り替わる「躁転・うつ転」のタイミングで、両方の症状が合わさる場合があります。

具体的には、気分がひどく落ち込んでいるのに加えて、ネガティブなことを絶え間なくしゃべり続けたり、夜に不安や焦燥感に駆られて、街を徘徊し続けたりという行動を取ります。

混合状態では気持ちのコントロールが難しくなるため、乗り越えるためには医師や医療機関などのサポートが必要な場面もあります。

こうした躁とうつの落差が大きくならないように心掛けることが大切です。

生活の上では、その日の出来事や気分を日記につけるなどして、あなたなりに躁とうつの病相変化のタイミングを少しでも掴んでおくとよいでしょう

まとめ:双極性障害でも上手に障害とつきあえれば仕事を続けられます

まとめ:双極性障害でも上手に障害とつきあえれば仕事を続けられます

双極性障害の人が仕事を続けるコツから、仕事の向き不向きまでを紹介してきましたが、あなたがお仕事を進める上で役立つ知識はあったでしょうか?

双極性障害であっても病気を受け止めて、適切な予防措置を取っていれば、仕事を続けていてくことは可能です

そのときには、あなた自身では気づかない変化を掴むために、専門医、ご家族、支援者といった周囲の人を頼ることが大切です

ぜひ、ひとりで抱え込まずに、周りにいる人に相談するようにしてください。

このコラムが双極性障害によるお仕事の悩みを抱えているあなたの助けになれば幸いです。

【最後に改めて…】
就労移行支援
という仕組みを知っていますか?

「就労移行支援」とは、「病気や障害のある人の一般企業での就職や仕事での独立と、その後の定着」をサポートする仕組みのことです。キズキビジネスカレッジは、就労移行支援の中でも、「これまでの職歴とは異なる、新たな業界・分野への就職」と「これまでの職歴を活かした就職」の両方に強いのが特色です。就労移行支援は公的な認可に基づいて行われており、病気や障害があることが診断書から明らかな場合などは、国の補償で最低0円から就労支援を受けられることもあります。

キズキビジネスカレッジ(KBC)を利用した方は…

初任給
うつや発達障害があっても、
KBCでは平均21万円
就職までの期間
通常約1年半かかるところ、
KBCでは平均4か月
就職率
通常52%のところ、
KBCでは82%
よくある質問

双極性障害の自分が仕事を続けるためのコツはありますか?

一般論として、次の5点が挙げられます。「医師や支援者の意見にきちんと耳を傾ける」「疾患を受け入れる」「体内時計を整える」「できるだけ残業を避ける」「休暇取得日を月初めに決めておく」。詳細はこちらをご覧ください。

双極性障害の人に向いている仕事(適職)はありますか?

一般論として、次の4種は向いている可能性があります。「業務量が大きく変動しない業務」「勤務時間が大きく変わらない職種」「自分のペースでできる業務」「対人折衝の少ない業務」。詳細はこちらをご覧ください。

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